彼女とのいけない過ち
どうしてこうなったのか。
一瞬だった。まさに一瞬。
悪斗は罪悪感を痛感していた。
宮永桜とのいけない過ち。
快楽にあらがうことはできない。
両手を縛られ、上に跨る彼女。
遠くを見るような恍惚の目で悶え喘ぐ彼女。
彼女にされるがままにされる。
純潔をお互いに失った証がソコにはあった。
そんな強い意志を感じさせる動きにあらがうすべなどあるはずもなく、ただぐったりとした。
ふと、我に返って彼女に無理やり犯されたという行為に罪悪感と喜びを感じてしまう。
考えることも辛く、横たわったまま目をつぶった。
そんな弱気が胸をよぎったが辛うじて残った理性で振り払った。
とりあえず、冷静に落ち着きを取り戻し語らう必要がある。
「桜さん……そろそろこれほどいてくれよ。話をしよう」
うっとりと頬笑みながらうなだれる彼女を刺激しないように優しく語りかける。
だが――
「……ごめんね、悪斗さん。もうしばらく、そのままでいて」
「えっ? ど、どうして!? ……って、あっ……」
驚き問い返した、悪斗の顔を桜が鼻先が触れ合う至近距離で覗き込む。
青い瞳が小さくなっていったその目は、背筋の震えが止まらないほどに狂気に満ちていた。
下手に刺激してはならないことを感じさせる。
そう本能的に悪斗は察した。
「今日のことでよくわかったんです。私が一番傍にいなきゃって。何も心配いらないって思いましたけど……違いました……いつもそばには悪斗さんの行動を支配してる悪魔がいて……私たちの仲を邪魔するような屑が多いです。だからですね、悪斗さん……しばらく私と二人だけで暮らしましょう。……誰かが助けに来てくれるまでずっと二人で。あ、でも、この島で二人で暮らすってのもいいかもしれませんね。……そう、二人だけの世界を気付きましょう。だって、私たちはもう夫婦なんですから。あはっ、あはははははははっ♪」
見つめあったままま歓喜の笑いを上げる彼女。
背筋が凍りつく。
呼吸もままならないほどの迫力にのまれてしまった悪斗は彼女をそれ以上刺激することなく、ただ無言で見つめ続けた。
この先、彼女の行動がどうなるのか不安に思いながらに眠りに落ちていった。