パッチワークは大変だった
毎日、少しずつ時間を作ってママゴトセットを製作する。
妹のキャサリンに見つからないように進めるので、結構大変だ。
今はテーブルクロスが欲しいので、小さい布切れを縫い合わせてパッチワークのようにしている。
大きい布は高いので勿体ないからね。
所詮オモチャなんだし、捨てるような端っこで充分だろう。
適当に縫い合わせて行くだけなので、模様だとか色の組み合わせなんて何も考えてないよ。
『ぼっちゃん、面白い事してますね?』
長年うちに通ってくれてる、お針子のマーサが声を掛けてきた。
『遊んでるだけだよ。』
『ちょっと広げて見せて下さい。
あら、まあ、これはお花の模様ですか?
上手ですね。
うん、これならば、、、』
『マーサ?』
ぶつぶつ言いながらどこかに行ってしまった。
呆けてきたかな?
たしか、もう70歳過ぎてる筈だし。
まあ、この家の中で徘徊しても危険は無いだろう。
出入口には立ち番の使用人がいるし、まだら呆けかもだから、もう少し様子を窺うか。
随分大きな布になったな。
そろそろママゴトのテーブルクロスには足りるかも知れない。
お花の模様って言ってたけど、見えるかな?
日本のプリント技術が凄かったから、こんなのはただの色の組み合わせにしか思えないけどな。
『奥様、こちらをご覧下さい!
私めは絶対に売れると思います!!』
『あら、まあ、本当。
これは素敵な布に変身したわね!』
マーサとお母さんで盛り上がった。
俺は適当に縫い合わせただけだぞ?
パッチワークが広まるのはあっという間だった。