家の話
俺の家は、どうやらこの村の村長さんの位置付けらしい。
おじいさまが村長さんだった訳ではなく、おじいさまの兄が村長さんをやってて、子供がいなかったので、弟の子供に当たる人が跡継ぎとなったみたいだった。
その人が、俺のお父さんだったと言う訳。
貴族ではない平民で、特別裕福と言う訳でもない。
が、悠々自適なおじいさまや、この家の陰の支配者的なおばあさまや、おおらかだが他人を上手く使うお母さんに支えられて、それなりに慕われた村長をやっているらしい。
『オリジョン、勉強か?
えらいな。』
『あ、お父さん、お帰りなさい。』
『お帰りなさい、あなた。』
夕食の後に居間で作業をしていた所、お父さんが帰ってきた。
お父さんは今日は寄合いで食事会だったので、俺達ももう、夕食を済ませたのだ。
『うん?何を書いているんだい?』
『家の家計簿を付けてくれているですよ。』
『家計簿を?
何故、オリジョンが?』
『勉強の為に見せて欲しいって言うから、試しに渡したらすごく数字に明るいんですよ。
少し前からオリジョンに頼んでいるんです。』
お母さんの笑顔が黒く感じるのは何故だろうか。
『じゃあ、先日ワシの小遣いが減らされたのは、、、。』
『はい、飲み屋のお姉さんに渡す心付けは不必要ですわよね?』
『クウ〰️、オリジョン、、、。』
お父さん、俺を睨むのは止して下さい。
俺はただ、貴方の出した領収書を計算して多額の不明金に首を傾げただけですよ。
お姉さんに心付け云々は、お母さんが勝手に調べ挙げただけです!
『他所に子供は作ってないでしょうね?!』
お母さん、怖いです。
俺は地雷を踏んでしまったのだろうか?