オリジョンは幸せに暮らします、多分
金貸しのデンタは、様々な不正を行っていたらしく、領主様によって断罪されたらしい。
リン母娘の借金は領主様に正規の金額で支払う事になった。
もともとの元金から計算すると、ほぼ返済し終わっていた事になるらしく、残りはうちでお針子として働く賃金の前払いという形で貸し付け、返済を終えた。
住まいも俺の家の敷地にある借家に移し、次男の婚約者として祖母や母に教育されている。
まあ、時々のぞくが、ただの女子会と化しているので、そこまで厳しいものではないと思うが。
『オリジョンくん、何してるの?』
リンが、俺を探しにきたようだ。
『算盤を作ってる。』
俺は今、お爺様の工房で、そろばん作りに励んでいた。
子供の頃、母さんにやらせて貰ってた計算をもっと効率良くやりたかったのを思い出したのだ。
流石に電卓は作れないが、そろばんならば珠の数を揃えれば何とかなりそうだからな。
前世でそろばん塾に通ってた事があり、足し算・引き算はもちろんの事、掛け算・割り算も多分出来る。
こんな只の珠の羅列だが、かなり優秀な奴なのだ。
『サンバンってなあに?』
『計算が早く出来るようになる道具だよ。
仕上がったら教えてあげる。』
『ふうん?
良くわからないけど、オリジョンくんって凄いのね。
尊敬しちゃうな。』
『ああ、そうだ。
これ、リンにあげるよ。
リンの声みたいに可愛らしい音が鳴るんだ。』
『ありがとう?
あら、本当、可愛らしい音ね。
まるで、リン、リン、リン、って鳴ってるようだわ。
嬉しい。』
それは俺が作った鈴だった。
彼女の名前から想像して作ったのだ。
単純に喜ぶリンはとても可愛らしい。
近い将来、俺たちの子供を交えてこんな幸せな日々が過ごせると想像出来てしまう。
ああ、前世の父さん、母さん、央太は異世界に転生して、幸せに暮らしています。
これからも山あり谷ありの人生でしょうが、幸せに暮らします、多分。
だから、俺の心配はしないで下さいね。
そう思って、婚約者のリンを抱き寄せた。
Fin.
あとがき
これで一応、完結します。
彼の人生はまだまだ続きますので、番外編あるかも、です。
張った伏線は回収したつもりですが、気になった所があったら教えて頂けると嬉しいです。
読んでいただき、有り難う御座いました。




