オリジョン、救済する
『リン、俺と婚約しようか。』
『はぁ?!』
まあ、突然婚約なんて言われたら、俺でも驚くよな。
しかも、ほぼ会話した事もないような奴に。
『俺がその借金の事、何とかするから、婚約するのが一番手っ取り早いかなと思って。』
『それ、私をお金で買うって言ってるの?!』
『リン、怖いよ。
そうじゃなくて、一応婚約するけど、後で解消しても良いんだ。
俺が、婚約者として借金を肩代わりするって言う建前が欲しいだけで。』
『でも、膨大な借金なのに、オリジョンくんみたいな子供には無理よ。
結局はご両親にまでご迷惑を掛けるわ。』
『うーん、実はここだけの話、俺、個人の資産持ちなんだよね。
無闇には使えないけど、正当な理由があればリンの力になれると思うんだ。
で、正当な理由として、婚約者ってのはどうかな?』
『、、、何で個人の資産持ちなの?
悪いことやったお金じゃないでしょうね?』
『あー、【O.M.パン】って鍋あるだろう?
あれ、実は【オリジョン、メーカー、パン】の略で、俺の発明って事になるのかな?』
フライパンを金属で実用化し、料理革命をおこしたらしい。
領主様の奥様とうちの両親が作ったらしいので、俺はアイディアだけなのだが。
で、長男のアルデールが俺の行く末を考えてくれ、入ってきたお金を俺の個人の資産に分けておいてくれている。
『えっ、あの、大ヒットの【O.M.パン】がオリジョンくんのなの?!』
『まあね。(ただの前世の記憶だけどな)
あと、ホットケーキの店とか、パッチワークの店からもお金が入ってくるし。』
『ええっ?!
あの、王都でも人気のお洒落なホットケーキ屋とパッチワーク屋?!!
あなた、一体、何者よ!』
ただの前世の記憶持ちですが、とは言えない。
『昔神童だった、ただの腑抜け?』
『ううう〰️〰️ん!』
『ま、一度キミのお母さんもうちに連れて行くよ。
俺の家でもお針子募集してるしな。』
俺の将来を考えてくれている家族に感謝、だな。




