オリジョン、学校の遠足に行く7
スコールの過ぎ去った後の山の天気は、余計な塵芥を流し去り、空気が澄んでいた。
足元は所々泥化してぬかるんでいたが、靴の中もまだ湿っぽいので、滑って転ばなければ問題はない。
とりあえず元の道まで戻り、頂上を目指すか、下山するか迷っていたら、上から級友が下りて来るのが見えた。
『リ~ン!!
あんた、どこ行ってたのよ!
心配して探しちゃったんだからね!!』
リンの友達らしい。
『ちょっと、どうしてオリジョン と一緒なの?!
どう言う事?!!』
まあ、そこ、気になるよな。
『ごめん、ごめん、
私がちょっと調子が悪くなって、オリジョンくんが気にしてくれたの。
で、雨も降ったから、止むのを待ってたのよ。』
これは先に打ち合わせしておいた内容だ。
その友達は納得いかなげな顔だったが、それ以上突っ込んではこなかった。
『体調は大丈夫なの?
歩ける?
私、先生に言付けてくるから、ゆっくり下山してて!
オリジョン、リンに付いててあげて。
無理させないでよ!!』
『・・・・・、良い友達だな。』
俺に対する評価はかなり低そうだけどな。
二人でゆっくり下山する。
鳥のさえずりや、虫の音が聴こえ、静かだった。
『あのね、オリジョンくん。』
ポツリとリンが話し出す。
『うちのお母さん、離婚しててね、お針子をして私を育ててくれてるんだ。』
まあ、良く聞く話ではあるかな。
『で、金貸しのデンタさんに借金があって、【お妾さん】にならなきゃいけなくなって。』
金貸しのデンタは黒い噂が絶えない奴だな。
『お母さんだけでなく、そのう、私にもって、、、。』
うん?
そのエロ爺は、こんな子供にも妾になれって言ったのか?!
『なんか、色々考えちゃって、、、。』
俯きトボトボ歩く姿が切なかった。
『ごめんね、こんな話されても困るのに。
忘れて!!』
『いくら?』
『えっ?』
『借金、いくらあるの?』
『私たちでは、どうにもならない位だから。
聞かなかった事にして!!』
『リン、教えて?
どのくらいの借金なのさ?』
他人に無関心でいようとしたけれど、やっぱりそれは無理だった!




