オリジョン、学校の遠足に行く6
うとうとして目が覚めると、隣にリンが居なかった。
『リン?』
生乾きのズボンがすっかりと乾いていたので、割りと長い時間寝てしまったのかも知れない。
窓の外を見れば、あの豪雨は止んでいた。
そろそろ、帰り支度をすべきだろう。
リンを探そうと立ち上がった所で、戸が開き、リンが戻って来た。
『あ、目が覚めた?
雨、止んだよ。』
『ああ。
着替えたの?
乾いていたのかい?』
どうやら、トイレで着替えてきたようだ。
この小屋の中で鍵がかかる個室はトイレだけだからな。
『だいたい乾いてたかな。
オリジョンくんの服は後で洗って返すね。』
『そんなのは別に良いんだけどさ。
生乾きなら気持ち悪いだろう?』
『うん、でも、キミの服着てるの見られたら誤解されちゃうしね。』
『ああ、そうか。
くだらない事だね。』
俺が皆と親しくしないのは、面倒臭い事が嫌いだったのも理由のひとつだ。
学校とは、そこそこの成績を維持し、最低限の人と交流し、ほとんどの時間を寝て過ごせば終わるイベントのような位置付けだと思うのだ。
前世の記憶が混濁している俺は、この世の【常識】にない事を言ったりやったりする可能性が極めて高い。
面倒事をおこすのは出来るだけ避けたいのだ。
『じゃ、腹ごしらえしてから出発するか。』
昼飯に持ってきた弁当を取り出す。
料理長が作ってくれたホットケーキと、おにぎりだ。
『う、ん、、、。』
リンが萎れた返事を返す。
ああ、そうか。
弁当も全滅したんだな。
『ほれ、食えよ。
うちの料理長のお薦めだってさ。』
『良いの?』
『沢山あるしな。
水筒は無事?
無かったら何か飲み物出すけど。』
『有り難う。
お茶はあるわ。
ーーーでも、さっきの美味しかったから、又、飲みたいかも。』
『了解。
ちょっと待ってて。』
二人で昼食を分け合った。
中々好みの娘だな、なんてちょっと思った。




