オリジョン、学校の遠足に行く4
『その台所には簡易コンロと小さい鍋があった。
食材はなかったが、水はあった。
俺は持参した物で、温かい飲み物を入れた。
『リン、着替え終わった?
温かい飲み物を入れたんだけど、入っても良いかな?』
『はい!どうぞ!!』
どこから出てるのか分からない甲高い声で返事が返ってくる。
カップを二つ持って入ると、俺の服を着て恥ずかしそうに俯いた彼女がいた。
(これは、ヤバイな。
想像以上にインパクトがある。)
全体にダボダボした服だが、胸の部分はパッツンで強調されてしまっている。
じっと見る訳にもいかず、カップを手渡し、辺りを見回した。
『ストーブと薪がある。
上手く燃えるかな?』
ストーブの火等の事は使用人がやってくれてたので、触った事が無かった。
が、薪を手に取ると火の付きやすい並べ方が頭に浮かび、程なく火を興す事が出来た。
うん、空気の流れを考えてやるんだよな。
うん、うん、自画自賛で頷いていると、
『オリジョンくん、凄いね。』
そんな声が掛けられた。
前世の記憶が助けてくれたからね、と言う訳にもいかず、曖昧に笑って濁す。
『この飲み物もおいしい。
これ、なんて言うの?』
ココアに似た味を追究した物だった。
庭で栽培したものを粉にしたものに、ハチミツで練って甘味を付け、携帯しやすくしたものだ。
それを沸かしたお湯で溶かしたのだ。
『ココアって俺は呼んでるけどね。
さ、濡れた服、乾かそうか。』
広げて干さなければいけないのだ。




