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衝撃の事実

ニーナの入れてくれたお茶を飲みながら、俺たちは、しばしの雑談の末 本題へ話題を切り替える

切り出したのは俺だ


「なぁ、ニーナ この村で起こっている行方不明事件について、何か知ってることはないか?」


ニーナの顔が少し強張る 無理もない ニーナにとっては、人ごとではない事件だ 不安もあるだろう


「一番最初は、村長さんの家からだった…村長さんは 冗談が好きだったから みんな、また村長のイタズラかって思ってたの…」


「でも、戻ってこなかった?」



「えぇ…そして、村長さんがいなくなってから少しして、今度は、村の教会の神父さんたちが全員消えたわ 流石に、おかしいってことになって、王国へ 騎士団の調査をお願いしたの…でも…」


「取り合ってもらえなかったんですね…」


コトヤマの言葉にニーナが頷く


「それからは、村の人達がどんどんいなくなって…うっ…私も…」


ニーナが小さい声でせせび泣く


「ぐすっ…でも大丈夫 サクラギさん達が来てくれたから、サクラギさんとコトヤマさんが、王国から派遣されてきたって聞いた時は、嬉しかった これで、大丈夫だ!って思ったの!」


「それは…」


それは嘘だ コトヤマがでっちあげた、まるっきりのデタラメ 俺たちの正体は、親に迷惑を掛け続ける真正ニートの元勇者と、窓際部署の奴隷サラリーマンだ…そんな俺たちに、何かできるとは思えない…


でも、目の前の少女は…いや、きっと、村にも伝わっているだろう この村は 俺たちに期待している 重すぎる期待に押しつぶされそうに、なっている俺を横目に コトヤマが呟く


「任せてよ!僕たちがきたからには もう安心だ!必ず、この事件を解決し、ニーナちゃん達の安全を保障してみせるよ!ですよね!桜木さん!」


コイツ…ここまで後戻りできないところまできて、なお全力で突っ走るのか…いやでも、後戻りできない以上 行くところまで行くしかないのか 俺は、少しの後悔と多少の決意とごく僅かの投げやりな気持ちを胸に 力強く答える


「あぁ!もちろんだ!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「で、どうします?桜木さん?」


ニーナが自室に戻って コンマ数秒もしない内に この質問をしてくる窓際サラリーマンに多少の苛立ちを覚えたが、もう慣れた


「決まってる レベル上げだ!このまま だと俺たちは弱すぎる」


レベルを上げれば、おそらくスキルも増えるだろう 使えるものは増やしておくのが先決だ


「どうやって、レベルを上げるんです?この辺は、カスモンスターしかいないし、まず、私たち 武器すら持ってないじゃないですか」


お前の力で エクスカリバーの一本や二本くらい出してみろよ!と言いたいが、おそらく無理だろう 今のこの男には、なんの力も存在しない


「いいか?この世界は俺が元いた世界のオープンワールドゲーに似ている オープンワールドゲーの特徴として、最初から最終ステージまで、行こうと思えば行ける点だ!俺たちは今から 魔王城に行く!」


俺の発言に怪訝な顔をしたコトヤマは、まるで、アホを見るような目で


「何言ってるんですか?馬鹿なんですか?」


「馬鹿じゃない!天才だ!魔王城に行き 落ちている武器を拾って帰ってくるんだ 魔王城に落ちてる武器なら、この辺のモンスター相手なら負けないし、魔王城近隣の敵だって、倒せるはず、そうすればレベルアップの効率が良い」


それを聞いてもコトヤマの怪訝な顔は変わらない


「それは、そうと桜木さん この世界に魔王はいるんですか?」


完全に失念していた…てかいないの!?


「え?異世界って絶対 魔王がいるもんじゃないの?」


「何言ってるんですか…そんなわけないでしょ そもそも、桜木さんの世界には 居ないじゃないですか?」


「いや、俺の世界は その特別というか オリジナルというか?」


「はぁ?桜木さん もしかして、自分の世界がオリジナルだと思ってたんですか?はぁ たまにいるんですよね そういう方 良いですか、桜木さんがいた世界 r1-003421 通称地球 はr列1行目の3421番目の世界です ちなみに、r列の1行目は全部、微かに違うだけで、ほとんど同じです いわゆる並行世界ってやつですね。

その中でも 魔法が存在しない世界は、桜木さんのr1-003421だけです。」


そんな…そんな宝くじより当たらなそう確率で俺たちは、魔法を失っていたのか…


「まぁ、なのである意味特別な世界だとは言えますね、そう悲観するものじゃありませんよ、魔法を持った世界は、ほぼ人間の誕生から三千年ほど、経つと人間自らの手で 星を破壊し 終わりを迎えるのですが、桜木さんの世界では、まだ、ですよね…それは、素晴らしいことです!」


いや、俺の世界でも すでに人間は自らの星を壊し掛けてるが…まぁ、相手が魔法なら、きっとスケールが違うのだろう きっとそう


「なので、桜木さんの世界から 年間何人かを、他の世界に送り経過を観察するのが、我々の仕事なんです」


ん?ということは?


「おい!コトヤマ ということは、俺たちが前に救った世界も この世界も 元は地球で、魔法がもしあったらの世界なのか?」


「まぁ、魔法が基本ですので、桜木さんの世界が、もしなかったらの世界ですが、だいたいその認識で合ってますよ」


なにぃ!それは新事実すぎる…かといって どうにかなる問題ではないが…今はとにかく


「魔王がいるか聞いてみるか」


そう俺が言った直後


「2人とも!ご飯だよ!!」


ニーナが俺たちを呼ぶ声がした



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