寝床
どうも皆さんこんにちわ。桜木です。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。俺たちは今、ふかふかのベッドで寝ています!!ふはぁ…気持ちいい
一昨日の夜の焼肉屋から追い出された俺たちがなぜ、こんなふかふかのベッドで寝ているかというとそれを語るには昨日の朝まで戻らねばなりません。そう、物語は村のはずれで野宿した俺たちがある少女と出会うところから始まる
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金があっても、意味ねぇな 宿ないし
「桜木さん、金がありすぎて、世界に飽きた大富豪みたいな発言ですね ニートのくせに」
うるせぇと、悪態をつきながら、ギリギリ 道としての程をなしてる砂利道を歩く
「ねぇ!あなた達見ない顔ね!外から来た冒険者?」
食べるものを求めて歩き回っていた俺たちの前に倒木に押し倒され、潰されている赤髪のツインテールの少女が話しかけてきた…
「わたしはニーナ・トッタヘルム!!ニーナって呼んで!村の宿屋で働いてるの!!」
いや、完全に倒木に押しつぶされてるのに、なに平然と話しかけてきてるのこの子
「俺は桜木、んでコイツがコトヤマ」
「こんにちは!」
突っ込むのも野暮かと思って俺としたことが、普通に挨拶してしまった
「サクラギにコトヤマなんて珍しい名前ね!こんなところで何をしてるの?」
「な、なにをって…その…朝の散歩を…ぐ〜〜」
お腹というのはいつも悪いタイミングで鳴る…
「え?お腹が空いているの?もし、ここから私を助けてくれたら お礼にご飯を食べさせてあげる」
か、神だ!!間違いなくこの娘は神だ!!ふと横を見るとコトヤマさんも女神を見るような目をしていた
きっと、こういうのを世間では、御都合主義なんて言うんだろうが、この際そんなものは関係ない 主人公特権として行使させてもらおう。
「娘を助けていただいてどうもありがとう!!この娘ったらいつもドジ踏んで迷惑ばかりかけて…冒険者さんがたまたま通ってなかったらどうなってたことか…」
ニーナに着いて村の宿屋に着いた俺たちはニーナの母親だという宿屋の店主さんに朝ごはんをご馳走していただいていた
目の前のテーブルに置かれた、パンやスープ、マッシュドポテト よだれが止まらない いただきます!!
「はしたないですよ桜木さん!ご飯は逃げないんだからゆっくり食べてください。すみません…汚い人で…」
まじかコイツ…パンをナイフとフォークで食べてやがる…
「ふふふ。面白い方達ですね」
「ねぇねぇ!!サクラギ達はどこから来たの?」
ニーナが笑顔で聞いてくる。少し可愛い
隣でコトヤマが 「ねぇねぇ、今彼女をエロい目で見てたでしょ ロリコンですか?桜木さん」
と解読不明な言語を発したが 解読不明なので無視する
「どこからって…日本だよ」
「日本?お母様聞いたことある?」
「うーん。この国の村や町の名前には詳しいつもりでいたけど、聞いたことないわね…」
あ、やべ!ここで出身地不明で怪しまれるわけにはいかないと内心焦ってコトヤマさんの方を向いたらコイツ無視してやがる…なんのフォローもしてくれないのか!
「小さい村ですからね…私たちの村は知らなくても無理はありませんよ…この村から南の方向にあるんですよ。」
コトヤマさぁぁぁぁんありがとう!!お前にまさか感謝する日が来るとは!!
「え?ここから南ですか?ここがこのナンドレシア王国の南の端ですから、ここから南というと大霊山しかありませんけど…」
おいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃコトヤマァ墓穴掘ってんじゃねぇかぁ!!!!
コトヤマは何も言わずにスープを一口飲むと大きく息を吸って
「すみません嘘をつきました…私達は…その前に今から話すことを誰にも話さないと約束できますか?」
おいおい…何を言いだすんだ!?
ニーナと母親は小さく頷く
「実は私達、ナンドレシア王国から依頼された騎士でして…異国の地から来たばかりで、まだこの辺の地理には疎いのです。このあたりでやっかいな事件が起きていると聞いてやって来たんですが、なにか心当たりはありませんか?」
何言ってんだこいつ…そんなの信じて貰えるわけ…
「やっぱり!!そうだと思ってたんですわ!コトヤマさんの優雅な佇まい騎士そのものですわ!!」
へ?お母さん?
「すみません…身元がわかるといろいろとやっかいでして…身分を隠させていただきました…」
「ということは、サクラギのその下品な食べ方も演技なの?」
「え、あ、うん!そうだよ!!ナイフとフォークを使わないのは久しぶりだったんだけど、様になってたかな?」
ニーナが突然そんなこと聞いてくるので、嘘をついてしまった
「うん!私騙されてたよ!!もう何十年も下品な奴みたいだったよ!!」
グサッ!!下品な奴…心に刺さる
「それで、私たちからお願いがあるのですが、お母様…もしよろしければ私達をここに匿ってもらえないでしょうか?もちろん滞在中のお金は払います。」
よくもまぁ、こんな嘘がポンポン出てくるなと感心していると
「もちろんですわ!!何日でも調査が終わるまでいて貰って構わないわ!!王国のためだもの!」
こうして、コトヤマさんの雄弁な嘘のおかげでふかふかのベッドで寝れることになったわけです。
ですが、この時俺達はこの嘘の事の重大さに気づいていなかったのです…
女の子がでてきたぁ