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かくも楽しき(?)異世界リハビリライフ  作者: mitsuzo
第一章「異世界リハビリライフ、最高かよっ!」
9/20

【009】激突!? イジメ集団

挿絵(By みてみん)



 その……おそらく転生前のアキラをイジメていたであろう男と一緒に俺は自分の教室であろう中に入っていった。


「おお、マジか! アキラきゅんじゃねーか!!」


 教室に入って早々、見た目どうみても『イジメる側』のチンピラ風な男が俺に向かってニヤニヤしながら叫んだ。


「だろう~、俺は信じてたぜ~! アキラきゅんがあの程度の『イジメ』…………あ、間違えた、『おふざけ』で死ぬことなんてないってことをよっ!」

「なんでてめえ生きてんだよっ! ふざけんなっ! 今度は手加減しねえからよ、覚悟しとけよ、アキラ~~~」

「おいおい、お前ら皆に聞こえるっつーの。もう少し、『配慮』を持って発言しろよ? ぎゃはははは!!」


 この男たちは何を言っているのだろう…………ていうか、よくもこんな公衆の面前でそんなセリフが言えるもんだ。何なんだ、この学校は。


「おい、アキラ。早速行くぞ…………屋上」

「?!」


 屋上…………すごく嫌な響きのワードだ。


「じゅ、授業……は?」

「はっ? 授業?」


 と言うやいなや、いきなり前にいたさっきのチンピラ風の男が俺の顔を殴る。


「…………っ?!」


 俺はビックリした。


「おい、何、ビクってんだよ? いつものことだろうが?! いちいち反応してんじゃねーよ!!!」


 そう言いながら男はさらに二、三発殴る。


 俺はさらにビックリしていた。何にびっくりしていたかと言うと…………、


「あれ? 痛くなーい」(CM風)


 つい、声に出してしまっていた。


「「「「…………はっ????」」」」


 その男と周囲の男たちが同時にハモった。


「て、てめえ、なめてんのかっ!!」


 チンピラ風の顔をした男がさらに殴りかかってきたが、そいつのパンチは………………めちゃめちゃ遅かった。


 ヒョイ。


 俺はギリギリのところでパンチをかわした。


「なっ……?! ア、アキラ、お前、何逃げてんだコラーーーー!!!」


 そう言うと、男はさらに殴りかかってくる…………と同時に、俺のすぐ横にいた男も殴りかかってきた。しかし、どちらもめちゃめちゃ遅かったのでヒョイヒョイかわす。


「「ええっ!? バ、バカな……?!」」



挿絵(By みてみん)



 それは俺も同じ反応だった。最初は何の冗談かと思ったがどうやらそうではないらしい。となると、どうして俺にこんな芸当ができるんだろうと考えてみた。すると、簡単に答えは出た。


「あっ! 基本的身体能力の向上か」


 まあ、それしかないだろう。しかし、それにしても、だ…………人のパンチがこんなにゆっくりとスローモーションに見えるなんて、俺の『基本的身体能力』ってどのくらい向上したってんだよ? 俺は自分のことながら、今、起きている現象に『異世界転生もののラノベ主人公』な気分にさせられた………………あ、いや、


「違った! 俺、今、当事者だった」


 またも声が出てしまった。


 俺は心の声がいつの間にか声に出ていることに反省をするやいなや、『あの声』が唐突に現れた。


≪よっ! やっと体験したか!≫


(か、神様…………!?)


 唐突に、まさに突然、神様の声が脳内に響き渡った。


≪どうだ? ワシが昨日お主にサービスで与えた力、役に立ったじゃろ?≫

(は、はい。いきなり、役に立っています。て言うか、役に立っている…………最中です!)


 俺は神様と言葉を交わしつつ、同時に四人を相手にしていた。


≪ほほう…………お主、思ったよりすぐに力をこなせているようじゃな、意外じゃ≫

(えっ? そうなの? まあ、でも、かわしているだけだけどね)

≪いやいや……かわしているだけとはいえ、初めてでワシと会話しながら力を使えていること自体、大したもんじゃ≫

(あ、あざーっす……)


 あまり褒められることがなかった人生だったので褒められ慣れていない俺は頬を真っ赤に染めた(お恥ずかしい)。


≪まあ、こんなもんじゃ。お前は今の時点でこのレベルの相手なら何ら問題はないということがよくわかったじゃろ?≫

(あ、ああ……)


 まったくだ。今の俺はまさに『俺つえー系』の主人公を演じていると言っても過言ではなかった。


≪というわけで、後はこいつらを煮るなり焼くなり好きにせい。もう、お前にはそれができる力が備わっているからな……≫

(!?…………お、俺は)


 神様とそんな会話をしている間、ずっと四人の攻撃をかわしていたのだが、気がつくと四人とも疲れてヘトヘトにその場に座り込んでいた。


≪ほれ? そいつら疲れているみたいじゃぞ? 今じゃ≫

(あ、ああ……)


 俺は、暴れ疲れて座り込んでいる四人のところへ向かった。


「あ、あの~……」

「ハアハア……な、なんなん……だ……よ……オメーは……ハアハア」


 俺は右の拳を振り上げた。


「な、や、やろうっての……か……よ、てめえ……ハアハア」


 俺はその振り上げた握りこぶしを左手の指で差して、


「もう、こういうのやめてください。これ以上、俺に構わないでください。お願いします」


 そう言うと俺は、四人に向かって…………頭を下げた。


「う、うっせー!? 覚えとけよ、この野郎っ! お、おい、いくぞ!!」


 チンピラ風の男がそう言うと、残りの三人もバツの悪い顔で教室からスタコラ去って行った。


「ふう……何とか凌げたか」


 俺は『ふぅ~』と大きく深呼吸をした。すると、


 ワアアアーーーーー!!!


 パチパチパチパチ……!!!


 突然、教室にいた生徒全員が一斉に拍手をした。


「す、すごい! 一体、どうしたんだい、アキラ君?!」

「何々、今の! 全然早くて見えなかったんだけど! アキラ君って何かやってるの?」

「やだ、アキラ君って、そんなに強かったの?! どうしてそんな強いのに今までイジメられたままだったの!」


 やいの、やいの、と変わりばんこに生徒の質問攻めが始まった。


「あ、いや、その、何というか、ハハ…………」


 俺はしばし『異世界ラノベ主人公』の気分を実体験で味わい、その余韻に浸っていた。


≪おい、アキラ、今すぐに教室から出て生徒のいない場所に移動せい…………話がある≫

(えっ? なんで? ちょっと今、気持ち良いからそのままにして欲しいんだけど……)

≪まあワシもできればそうしてあげたいのじゃが…………しかし、あいつらがまた襲ってきそうじゃからの~、今のうちにお主に力の使い方を教えておこうと思ってな。それとも今はやめておくか?≫

(えっ? 力の使い方? 聞く聞く聞きます、教えてください!)

≪うむ。じゃあ、人気のないところに移動するのじゃ≫

(ラ、ラジャー!?)


 俺は教室にいる生徒に囲まれていたのだが、隙間を擦り抜け教室を出て行った。


「ア、アキラ君! どこへ! 君に聞きたいことはまだいっぱいあるってのにっ!?」

「ちょっとアキラ君! もう授業始まっちゃうわよ!」

「ご、ごめん! 俺、具合悪いから保健室で休んでるって先生に言っといてーー!」

「ちょ、ちょっとアキラ君ーーーー!!」


 俺はクラスメートにそうお願いをしながら教室から出て行った。ちなみに、何人かが俺の後を追いかけていたのだが身体能力向上のおかげですぐに煙に巻くことができた。


「なっ?! き、消えた! ウ、ウソだろっ! アキラのやつ、あんなに足が速かったなんて…………しかも尋常じゃねーぞ、あの足の速さ?!」

「うーむ…………本当にあれは昨日までのアキラ君なのだろうか? まるで別人のようだ」

「いったいどういうことなの? あれが、あの昨日までの『アっくん』だなんて…………わたし信じられない」


 煙に巻いたクラスメートたちがそんな会話をしていたとは露ほども知らない俺は……………………校内をさ迷っていた



更新、更新♪

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