【020】今後の方針
遅くなりました。更新しました~。
「ふぅ~……全属性の魔法が使えてしかも上級魔法が使えるって何それ、ありえない! ありえない…………けど、でも、実際目の前でアキラは『全属性の魔法』と『上級魔法の七色の壁』を展開した………あーーーーーー! もう、何が何だかわからないっ!!」
混乱の真っ只中にいるルビアに、
「ルビア先輩!」
と、モコが声をかけてきた。
「ルビア先輩が中級魔法までしか使えない以上、これで決着ですよね?」
「決着? どうしてそうなるのよ?」
「え、だって、上級防御魔法である『七色の壁』は中級魔法では破れないですし……」
「ふん……モコちゃん、勉強不足のようね。中級魔法でも上級防御魔法を破ることは…………可能よ」
「「「ええっ……!?」」」
と、モコだけでなくサヤやキーマも反応した。
「それじゃ、見せてあげるわねっ! 急進せし火炎、急進せし火炎、急進せし火炎!!」
ルビアが魔法を連発させてきた。しかも今度は先ほどの火属性の中級魔法を『一点集中』で放ってきた
ガガガガガガガッッ!!!!!
「くっ!!」
火属性中級魔法の一点集中連弾により、地響きのような音と強烈な振動が、七色の壁を軋ませる。
徐々にアキラを守っている七色の壁が綻びを見せ始め、そして……、
「あっ!」
バキャン!?
一点集中で連弾を浴びせた七色の壁がついに破れた。
「終わりよ、アキラ! 急進せし火炎!!」
ルビアはそう叫ぶと同時に俺に詰め寄り、拳と共に魔法を繰り出した。
「うわっ!!」
ドドドドッッ!!!!!
ルビアの拳と一緒に火の玉の連弾で俺の身体は大火に巻き込まれながら吹き飛ばされた。
「大治癒!!」
すぐにサヤが中級治癒魔法を発動させ、俺の身体の治癒回復を行ってくれた。
「ふぅ……ま、こんなもんよ」
ルビアが腰に手をあて、平然と勝ち名乗りを上げた。
「す、すごい、中級魔法の一点集中連弾による突破なんて……そんなことが……」
キーマがルビアの連弾攻撃に驚嘆していた。
「中級攻撃魔法をあれほど一点集中させるなんて、そんなのやろうと思っても中々できないぞ…………さすが『学院マドンナ』の名は伊達じゃないということですか」
サヤもまたルビアに驚愕と羨望の眼差しを向けていた。
「まったく…………壁が思ってた以上に高いことを改めて思い知らされたわね」
モコも三人と同じくルビアを改めて再評価した。
「い、いてて……ま、まいりました」
そして、俺はルビアに敗北宣言をした。
「うむ。アキラの敗北宣言承りました」
ルビアが笑顔で俺の敗北を承ってくれました。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「まーでも、とりあえずアキラは想像以上に強いことはわかったわ」
先ほどの姉弟対決が一段落し、腰を落として一休みしていた俺にルビアがそんなことを言ってきた。
「あ、あの、俺、負けたんですけど……」
「まあね。でも、それは『あなたが魔法をよく知らない状態』だったから私は勝てたのよ」
「えっ?」
「……正直、魔法を全属性、しかも上級魔法をアキラが把握して使えている状態なら私にはほとんど勝ち目はなかったわ。まあ、魔法だけでなく格闘術も込みでならわからないけど……」
負けず嫌いの固まりのようなルビアからそんなことを言われるとは正直すごく意外だった。
「なによ、その顔? 何か言いたいことでもあるわけ?」
「い、いや、ルビアからそんなこと言われるなんて思っていなかったから……」
「あのねー……私だってちゃんと力の差くらいは把握しているし認めるところはきちんと認めるわよ! 正直、アキラ……あなたの力はかなりのレベルだと私は見ているわ。おそらく『潜在能力』だけなら、この学院の全生徒の中でトップテン以内でしょうね」
「マ、マジでっ!!」
「ふんっ! あくまで『潜・在・能・力』よ。今みたいにまだ力がうまく利用できていない状態では全然大したことないわ。経験豊富な人であればいくらアキラが能力が高くても勝てないわよ」
「そ、そうか……」
俺は『チート能力』をもらったからすぐに強くなったと思っていたが、実際、ルビアと戦ったときは何もできなかった。これがもし本当の戦闘なら……命を…………、
そう考えると俺はゾッとした。
生死を伴うことなんて異世界に来た時はあまり実感できなかったが、さっきのルビアとの戦いを振り返ると…………もし、あの戦いが本気の殺し合いだったら、治癒魔法や魔法の使い方をよく知らない状態で殺し合いをしていたら、おそらく俺は殺されていただろう……間違いなく。
俺は改めて自分があまりに無知であり、無謀であり、浅はかであると実感……反省した。
「なーに、しょぼくれた顔してんのよ」
「痛てっ!」
ルビアが俺の頭を軽く小突きながら声をかけてきた。
「今、私が言ったこと『ちゃんと』理解していないでしょ?」
「えっ?」
「私が言いたいのは、アキラは魔法理論や格闘術をちゃんと勉強すれば確実に最強クラスで強くなれるってこと……そしてそれは、これからのイシュタット家との戦いにおいて大きな勝算につながるってことを言っているのっ! わかった?!」
「は、はい……」
ルビアは俺の額に人差し指を当てて力強くそう言い切った。
「よーし! それじゃあアキラ! 俺が早速格闘術を教えてやるよ!」
すると、ルビアの後ろからキーマが勢いよく言ってきた。
「じゃあ、私とサヤで魔法を教えてあげるわ! ねっ、サヤ?」
「うむ! ビシビシ教えてやる!」
モコとサヤがキーマの後から続く。
「あ、いや……あの~、皆さん午後の授業は?」
「「「授業を受けている時間なんてねーよ(ないわよ)!!!」」」
三人がハモってそう言い切った。
「ええええ~~~!!!! ル、ルビア、これ、良いのかよ?!」
俺はあの怖い担任にまた呼ばれるのは嫌だったので、何とかルビアから三人に諭してもらおうとした。
「んーでも、たしかに時間がないからな~実際……………………うむ、見なかったことにします」
「ええええ~~~~!!! いいの~~!!??」
「て言うか、イシュタット家は今日中にでもまた仕掛けてくる可能性はあるからね。とりあえず、今、身に付けられる範囲で魔法や格闘術を習っておきなさい…………命に関わる可能性があるからね」
「あっ!…………そ、そうか、そうだよな……今の俺じゃあ……」
「そこまでわかってるなら何とか午後から夕方までに形にできるよう頑張りなさい。キーマ君、サヤちゃん、モコちゃん、弟をよろしくね」
「「「は、はい! わかりました、まかせてください!!」」」
ルビアは三人に俺のことをお願いするとドアに向かって歩いていった。
「じゃあ、アキラ、私は授業を受けるから授業が終わった頃に合わせて正門に来てね! 一緒に帰るわよ!」
「わ、わかったー!」
そう言ってルビアはドアを元気よく開け教室に戻っていった……と、同時にお昼休みの終了を告げるチャイムがなる。
「よーし、それじゃあ、早速、特訓しにいきますか?!」
と、キーマがニコニコしながら言った。
「ど、どこに行くんだよ、キーマ?」
「へへ……特訓にうってつけな所があるからさ、そこに連れて行ってやるよ!」
「特訓にうってつけな場所?」
「!! ああ、あそこか……」
「なるほど、あそこね!」
サヤとモコも同時にピンと来たようでキーマへとすぐに反応を返した。
「俺たちの秘密基地を案内してやるぜっ!!」
そう言うとキーマは、ニッと口角を上げながら俺の手を掴み足早に移動を開始した。




