【016】アキラ…………キレる
「お前が俺の兵隊をやっただと……?」
「ああ、そうだ。あんたの兵隊を全員やっつけたのは俺だ。もうお前たちには屈しない」
俺の前で威圧しながら質問するイシュタット家のガルア・マイヨール・イシュタットに向かってはっきりと兵隊をやったことをガルアの威圧など気にせず答えた。
「ア、アキラ……」
ルビアが俺のことを驚きや困惑の目で見る。また、ルビアだけでなく、他の生徒たちも同じように俺の発言に驚いている様子で食堂がザワザワし出した。
「お、おい……今、あいつ、イシュタット家のガルアにケンカ売ったぞ?」
「あ、あいつ、アキラ・ファドライド・ビクトリアスじゃねーか? あいつってあんなキャラだったっけ?」
「いやいや、そんなことより、あいつちょっとやばいんじゃないか? 相手はイシュタット家
だぞ?」
バンッ!
突然、ガルアがテーブルを思いっきり叩いた。
「うるせーよ、てめえら!! 少し黙ってろっ!!」
ガルアの一言でザワザワとしていた食堂内がシーンと一瞬で静まり返った。
「お前、本当にあの…………『便所虫』のアキラ・ファドライド・ビクトリアス君かよ?」
「?!……この……やろ……」
ルビアがガルアの『便所虫』という単語に反応し、完全なる『般若フェイス』でガルアに掴みかかろうとした………………が、
ガッ!! バキャ!!!
「ぐはぁ……!?!!!」
ルビアより先に俺は『便所虫』というガルアの言葉に無意識に反応し、気づけば右手でガルアの頭に手を掛け、そのままテーブルにガルアの頭を叩きつけた。
「「「「「「「「……?!!!!?!??!」」」」」」」」
「あ、す、すみません、つい『便所虫』って言う言葉に反応しちゃいまして…………あ、あのう『便所虫』っていうのもうやめてもらえません? 俺はアキラ・ファドライド・ビクトリアスっていう名前なんで……」
アキラは自分でも無意識にやったこともあり、すぐに手を離してガルアに申し訳ないという手振りを入れながら『便所虫』って言うのをやめるよう告げる。
「て、てめえ…………お、俺に、こんなことして、わかってんのか?! お、俺はイシュタット家のガルア・マイヨール・イシュタットだぞ? お前、こんなことしてただで済むと思ってんのか、ああっ?! この便所む……」
アキラはガルアが言い切る前にもう一度同じようにガルアの頭をテーブルに叩きつける。
バギャアアアアアア!!!!!!
「ぐはぁあっ……!?」
今度はテーブルが真っ二つに割れ、ガルアは地面に叩きつけられた。
「『便所虫』って言うのやめてもらえませんか……て言いましたよね?」
ゴギギギギ……!!?
アキラは今度は手を離さず、ガルアの頭を右手で掴みながらさらに地面にゴリゴリと押し付けていった。
「あががが…………や、やめろ……この……やろ……?!」
「『便所虫』って言うのをやめてもらえますか?」
「へっ!! だ、誰がやめるかっ!! お前の指図なんて受けね、ええあがあががあがあががあがぐがががああ…………!!!!!!!!」
ギャギャギャギャギャギャリャ……!!!
アキラは二回目に『便所虫』と言われた瞬間から目が虚ろになり無表情になっていた。そんな虚ろな表情のアキラがさらに力を加えガルアの頭を潰す勢いで地面に押し込んでいく。
「お、おい! お前、やめろ、コラー! このままじゃガルアさんが死ぬだろうがっ!!」
朝、俺を殴った不良が止めに入ろうと俺に殴りかかってきた。しかし、
ガッ!!
アキラはその不良の手を掴む。そして、
グギグギギギギ……!!!
「あ、あがぁ~~~~~~!! や、やめろっ!? お、折れる~~~~~!!!」
アキラは殴ってきた不良の手首を掴み、ぎゅううっと握り締め上げながら不良に向けて静かに呟く。
「……あんた、俺には死んでほしかったようなこと朝、言ってたよね? 死ぬって言う意味わかっていないのかと思っていたけどわかってんじゃん?」
「ひ、ひぇ……!!」
不良は無表情の冷めた目で呟く俺に完全に怯えていた。
「アキラはな、一度自殺しようとしたんだぞ? それだけあんたらに追い込まれていたんだぞ? しかも一人に対してあんな大勢でリンチとか何考えてんだよ? お前らがやっていることはな、ただの犯罪なん、だ……よ」
アキラは気づくと『新堂アキラ』として不良に言葉を語り始めていた。
ミシミシミシミシミシミシミシミシミシミシミシミシ…………不良の手首とガルアの頭から嫌な音が響き始める。
「す、すみませんでした!! お、俺が悪かったから…………だ、だから、手を…………離してくれ…………お、折れる……!!??」
「うぐああああ~~~~~~!!! わ、悪かった……俺が悪かった……もう二度とお前に『便所虫』なんて言わねー!! だ、だから、あ、頭から手を…………離して……」
ガルアと不良が必死になってやめるようアキラに訴えかけている…………が、
「…………」
アキラは虚ろの顔をしながら力を緩める様子がなかった。
「ぐあああ~~~……あ、頭が……割れ、る…………だ……誰か、助けてくれ~~!!!」
ガルアが涙目で必死になって周囲に助けを求めた。
「アキラ! もう、やめてっ!!」
すると、ルビアが後ろからアキラに抱きつき二人から手を離させた。
「…………あっ」
俺はどうやら我を忘れてしまったようでボーッとしていたが、ルビアの声で正気を取り戻した。気づくとガルアの頭と不良の手を壊そうとしている自分の姿にビックリし、すぐに手を離す。
「ぐはあ……?!!!??」
「あ……が……」
ガルアと不良は痛みが酷かったらしく、しばらく地面でうずくまったままだった。
「ル、ルビア……」
そこには、顔面を蒼白にし怯えた目で俺を見つめるルビアがいた。そして、ルビアの後ろのモコやサヤ、キーマ、そして周囲の生徒たちもルビアと同じ顔をして俺を見つめていた。
「お、俺、その…………ごめん!!」
俺は自分のやったことの重大さに気づき、その場から逃げるように走り去った。
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