魔の森に住まう者 4
明けましておめでとうございます。
年末年始が忙しく、更新できずに年越しとなってしまい、読んでくださる皆様をお待たせしすぎて申し訳ないです。
また頑張って再開していきますので、よろしくお願いいたします。
次の日、朝食の席でマルスにも、昨夜決めた話をすることにした。
「マルスを無事にヴァーレデルドまで送ったら、私達は主神様の命を受けて、魔法道具を探すことになったの。」
マルスはそうか、と頷いた。
なんか"お、そうだな"的なあっさりとした返答で私は心の中でホッとした。
けれどマルスの懸念はそこではなかった。
「しかし、悪用されているとはな。」
やっぱそっちか。アイズの異母弟だからか、そこは気になるところだよね。
「魔法道具のことも調べたけど、どれもかなりのリスクはあるけど有用だからね。」
百科事典にあったヴェゼルディの項目には、封じられた魔法道具のこともかかれていた。
「まずは、龍人族の集落で魔王の足を回収する。それから魔人族の集落に行くから、マルスを魔法研究所に送るのに時間かかっちゃうかも知れないけど、いいかな?」
「ああ、その辺りは気にするな。魔法研究所に伝えてある日数までには余裕がある。」
私達の事情を聞いてもマルスはいつも通りの対応だった。
「ありがとう。付き合わせてごめんね。」
「いや、構わない。魔王を封じた魔法道具は気になるしな。」
マルスは白いご飯を口にし、やや嬉しそうに笑った。
「いやぁ、和国の米はうまいな。ノイン、この黄色いのは卵か?」
「うん。」
「甘い方がソイソースと相性がいいな。」
ノインもマルスも和の朝食がお気に入りのようだ。
良かった、たまに和食を出してもマルスなら大丈夫だね。
朝食を済ませ、支度を整えて玄関に集合となった私達は各部屋に戻った。
今日は以前に着た水色のワイシャツ、黒のコルセットハーフパンツにマントと同じ青色のショートブーツ。
マントを腰よりも上の短くして、武器が一目で見えるようにした。
髪型を左側でまとめてサイドテールにして、アネモネの髪飾りをつけた。
「よし。」
いつものヘルム抜きの鎧を装備して、タンス等を腕輪にしまうと部屋のドアを開けた。
ちょうどいつものてるてる坊主なマルスも出て来て、顔を合わせた。
「────似合うな、それ。」
と、マルスが指差したのはサイドテール。私はサイドテールの先を指先でくるくるしつつ笑った。
「ありがとう。試しにと思ったけど、今後もやってみようかな。」
「アネモネは髪型のアレンジが多彩だな。どれも似合ってる。」
マルスの言葉に思わず彼を見上げると、フードを深くかぶりながら喋っていたのが見えた。
わざと回り込んでのぞきこむと、マルスが真っ赤な顔でうつむいた。
「恥ずかしいからやめろ。」
「あはは、無理して言わなくても良いのに。」
「っ──────俺だって!」
マルスはそこまで言って、ハッと我に返った。
─────俺だって、って?何?
私は首をかしげるも、マルスはすたすたと歩いていってしまった。
「───んー、なんだろ。まいっか。」
深く考える前に、ノイン達に手招きされたので私は返事をして駆け寄った。
今日も再び、私達は魔の森の街道をひたすら歩く。
道中、魔物やブラックトレントに遭遇するもあっさりするほど撃退した。
────慣れってある意味怖いね。剣振るうだけでビクビクしてたのになぁ。
そんなことを思いつつ街道を歩くと、左には身長の何倍もある高さの岩山が並ぶ道に変わっていた。
「もうすぐだな。」
マルスが言うには、この岩山群を辿っていくと大陸の中央にそびえる神山の麓に着く。その付近に、龍人族の集落があると。
その話を聞いて、私は地図を広げる。
「あぁ、やっぱりか。」
アッシャルダと龍人族の集落は神山の麓に近く、その位置は横に直線上に並んでいた。
「どうした?」
マルスが地図をのぞくので、今気づいたことを話した。
「ここをこうして、街道をひくことは出来ないの?」
私がマルスに指差しながら、そう話すとマルスは渋い顔をして唸った。
「出来れば確かに便利だな。だが、この辺りはブラックトレントがかなりの数生息してる。全て駆除しないと街道は整備できないだろうな。」
「むぅ、キツそう。」
「あとは───龍人族の了承を得ないとな。あそこの龍人族は魔王城を悪用されないように守護している。街道を伸ばしたら城を悪用するやつが増える、と考えるかもしれないな。」
街道をまっすぐ見据えていたマルスから、深いため息がこぼれた。
「中々、難しいね。」
私がそう呟くと、マルスは全くだ、と頷いた。
「見えた。」
そんな声がかかり、私達はノインに駆け寄った。
神山の麓から見上げる位置に、まるで山から生えたようにそびえる古く褪せた色の石壁の大きな城があった。
その城の足元には、多くのレンガや石壁の家屋が見えた。
「うわぁ、たくさん家があるね。」
「あぁ、この大陸の龍人族全てが集まってるからな。」
私はマルスの言葉を聞いて、再びたくさん並ぶ家屋を見つめる。
ここに大陸中から龍人族が集まってるんだ。
「狭くないのかな?」
「まぁ、ほとんどは神山で修行したりしてるだろうな。ここには"人化"出来るやつしかいないだろう。」
マルスの説明を聞きながら、私達は集落の出入口らしき登山道に入った。
そして、ただならぬ物々しい雰囲気漂う一団と遭遇したのだ。




