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生まれ変わるなら 4

再び、あのテラスに戻ると、先客がいた。


テーブルに腰を掛けて優雅にお茶を嗜むナイスミドルな紳士と、そのテーブルを背にしてどこかを見つめるビキニからはみ出る筋肉が満載の短髪の女性だった。


「お邪魔しているよ、ノインくん。」


声を掛けてきたのはモノクルをつけた髭を蓄えた紳士で、その声に反応して女性も振り返る。


女性はビキニメイルから惜しげもなく筋肉が見せつけるようで、顔立ちは幼げに見えるが逞しい見た目が歴戦の戦士のようだった。


───わぁ、マッチョレディにインテリミドルだ。


「これはサージュ様、ヴァレア様。お待たせしてしまい、申し訳ありません。」


ノインが深々とお辞儀したので、私も軽く会釈すると、サージュと呼ばれた紳士がおお、と呟いて立ち上がって近づいてきた。


「君が我らが偉大なる主神の客人ですな。私はサージュ、魔法の属神です。」


サージュはふわっと燕尾服をなびかせて跪くと、私の手を取り、軽くキスをする。


リアルで遭遇するとは思わない行為、第二位───跪いて手の甲をキスされる。


しかも、ナイスミドルに!渋いイケオジに!年季がある分隙のない重厚な色気!こんなの、心のカメラの残量が足りなくなるほどシャッター連打するわ!


「あ、ありがとうございます。」


「おやおや、挨拶に礼を言われるとは。客人────いや、アネモネ様には馴染みのないものだったかな?失礼しましたな。」


うっかり心の声が漏れた。しかし、イケオジのそんな優しさもたまらんッ!


「よぉ、アネモネって名前に変えたんだったな?私が闘争の属神、ヴァレアだ!よろしくな。」


「はい、よろしくお願いいたします。」


「かたっくるしぃな、普通に喋っていいからな?」


がはははっと豪快に笑う彼女に、苦笑するサージュ。


闘争、魔法───いよいよ異世界っぽくなってきたな。


「ノインくん。我らが偉大なる主神から聞きましたぞ。アネモネ様の同行を申し出たと。」


「はい、サージュ様。アネモネ様の全面サポートが必要と判断した為です。」


「いい判断ですな。アネモネ様はこの世界をまだよく存じてない。だから、可能な限りは我々がサポートせねばならないからな。」


サージュはノインに対しては好印象のようで、爽やかな笑みを向けて会話している。


「アタシとサージュは元々、身動き取りづらい位置にいるから、アンタみたいにアネモネをちゃんと守ってやれるヤツが必要だと思ってたからな。」


ヴァレアも同様にノインの肩を叩きながら、頼んだぞと話しかけていた。


────よかった。ノインはそこまで嫌われてないんだね。


「承りました。全身全霊をもってアネモネ様をお守りいたします。」


「アンタもかってぇ喋り方だな。ま、これからアンタも何かを持ったら変わるのかもな。」


ヴァレアはノインから私に近づいてきて、真っ正面からじーっと見つめてくる。頭から足まで念入りに見られた。


「あ、あの───ヴァレア、さん?」


「ん?なんだ?さん付けもいらん。」


「えっと、何かありましたか?」


ヴァレアは腕を組んで唸る。


「アンタ、あんまり動かないだろ?」


「へ?あ、あー。確かに体育以外は運動してません。」


小さい頃は柔道をちょっとやってたけど、中学に入ったら辞めちゃったし、高校は帰宅部でさっさと家に帰る生活だったからな。


「んー、だとするとアタシが加護を与えても慣れるまで時間かかるかもな。」


「───加護?」


また何かくれる話なのかな?どんだけ大盤振る舞いなんだろ。そろそろ怖くなってきたわ。


「ああ、では私から話をしましょうかな。」


サージュがごほんと咳払いする。少し真面目な顔に変わり、私を見る。


「我らが偉大なる主神の命で、貴女に我らから加護を与えよ、と申し付けられましてな。」


「今のアンタを見て、合点がいったよ。そりゃそんなにヒョロヒョロじゃ、この世界で生きるのはちーっと難しいかもな。」


うぐ、すいません。


「我らが偉大なる主神から聞いた話では、アネモネ様が生きていらっしゃった世界はこの世界よりも平和ですから、落ち着いた生活が長らく続いてるようですからな。」


「戦わずに住む世界なら、アタシは居られないな。」


───あっちでもある意味で戦わずに生きるのは難しいけどね。


「ノインくん。我々の加護は与えておくから、下界に降りたら、君がサポートしてくれたまえ。」


「かしこまりました、サージュ様。」


いざとなったらノインがいる、という安心感がヤバい。

あんまり頼りすぎもいけないなぁ、頑張ろう。


「では、アネモネ様。失礼。」


サージュは私に近づいて、頭を触る。


「魔法の属神──我が名において、かの者に加護を与える。」


ふわっと体に何かが巡る感覚があったのち。


「全ての魔法は、貴女に微笑むだろう。」


それをいった直後、サージュが私の額にキスをした。


あばばばばば!イケオジのデコキス入りましたああああ!


「おや、熱がありますかな?真っ赤ですぞ?」


「あっ!いや、そんな!大丈夫です!」


ブンブンと手をふって大丈夫アピールをする私を構わずに、ヴァレアが近づいてきた。


「よぉし、次はアタシだな。利き腕どっちだ?」


「えっ、あー、右です。」


するとヴァレアが私の右肩に、自身の左肩を合わせ、手を握る。


「闘争の属神ヴァレアは、汝に加護を与える。」


ヴァレアがそう言うと、彼女の肩が光り、私の肩に流れるように光が走る。


「力なきものに力を。すべての闘争はかの者に勝利をもたらすだろう。」


光が全身に広まると、体中からはち切れんばかりに力がわいてきた。


よし、と呟いたヴァレアが離れたと同時に、光は収まり、沸いた力も鎮まった。


「これでアネモネは誰にも負けないぜ。あっと、さすがにアタシや我が偉大なる主神にはかなわないからな?」


「戦う気は毛頭ありませんので。」


「そうか?アタシは大歓迎だぞ?」


この世界の誰よりも強いはずの脳筋に挑むほど無謀なことはしたくありません!


「では、おいとましますかな。アネモネ様、どうか良き旅路を。」


「じゃな!戦いたくなったらいつでも呼んでくれよ!」


「サージュさん、ヴァレアさん、ありがとうございました!」


さん付けいらねぇよ!と私の頭を撫でてからヴァレアは瞬く間にいなくなり、サージュは丁寧なお辞儀の後に、同じようにいなくなった。


───これで仮に旅をしたりする時に困らなくなったわけか。


あまりにももらいすぎて、もうハードル爆上がりでいてもたってもいられなくなってきたなぁ。

イケオジ=イケてるオジサマ。


イケメンの進化系。

年を重ねた渋さと器のデカさにより、

より女性を魅惑してしまう。


ちなみにちょいワルオヤジとは類友である。

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