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再び巡る想い出の道 6

こっからもちょっと長くなりそうなのでカットカットカットォ!していきます。


うん、十分長いわ、ごめんて。

翌朝、再びドラゴンズキャッスルの出入口に立ち、私は振り返ってシュヴァルツァ達を見る。


「また帰って来ますね。」


朝、早々と出ると言ってたのにシュヴァルツァを含めたモモ達が勢揃いしていた。


「待ってるわね。」


モモが再びぎゅっと抱きしめてきた。それに重なるようにサラが加わる。


「早めにね!お土産いっぱいでね!」


「サラちゃん。」


またサラをたしなめるミーゲルに、私がふふっと笑っていると、シュヴァルツァが近づいて優しく頭を撫でてくれる。


「何かあればちゃんと言うんだよ。私達は何があろうと、アネモネの味方だ。」


「勿論です、お祖父様。どうかお祖父様達もお気をつけて。ヴァッツお義父様にも。」


「伝えておくよ。」


シュヴァルツァが離れたその先に控えめにガラードとシルトが手をふって返すのが目に入る。私もニッコリ笑って手を振ると、ドラゴンズキャッスルを出るために足を外へ向けて歩き出した。


「じゃあ、また来ます!」


名残惜しさを再び堪えながら、私達はドラゴンズキャッスルを背にした。


龍人族の集落を抜けた頃に一度、魔人族達が住まう建物を見る。米粒のような小ささの建物が目に入ると、私は見えもしないのに大きく手を振った。


何となくヴァッツ達魔人族の人達が手をふっていた気がしたからだ。


その後、しばらく魔の森と呼ばれた明るい森の道を歩いてから、街道を外れるように茂みの方へ足を向ける。


今日着ている服装が森の中を歩くつもりだったので、薄手の白い長袖に金糸で刺繍された茶色のフリルベスト、堅い生地のズボンに武骨なブーツ、マントをポンチョ型にし、鎧を装着してある。

髪型はポニーテール後にお団子にし、アネモネの髪飾りと組紐でまとめた。いつものアクセサリーも忘れない、この冒険者仕様な服装が幸いして、茂みをかき分けても問題なかった。


「じゃあ、ノイン。」


「うん。」


ノインの瞬間移動は本当に瞬きの間に終わる。次に目を開いた瞬間には、ぶわっと幻想的な光が沸き上がったので、ビクッと震えた。

青白く幻想的な灯りが連鎖するように森全体に広がっていくその光景に見覚えがあった。


「ブラックエルフ族の集落近くかな。」


「うん。」


「うわ!うわ!ドンドン光るよ!」


従魔達のはしゃぐ姿を見守りながら、ノインの案内で集落に向かう。すぐに目に入ったのは森の中に開いた広場にコテージ風の家が規則正しく並ぶ、リゾートのような場所。

ついさっきまで鬱蒼とした森の中だったのに、一気に青白く幻想的なリゾートにたどり着いた感じは最早懐かしさを感じる。


「ッ!貴女様は!?」


ブラックエルフ族の集落と森の境界線に、まるで門番のように立っていたブラックエルフ族の青年が声を上げた後にガバッと片膝で座り込み、深々と頭を下げた。


「我らが偉大なる主神の御使い様!またご来訪頂き感謝いたします!」


「お久しぶりです、リディオさん。」


まさかすぐに会えるとは思わなかった人物の一人、ブラックエルフ族の大長老の息子リディオだ。

最初に会った時は異端者として忌み嫌われていたファレンジア神教の司祭ジークの亡霊と、森に生息する闇潜者(ダークストーカー)にとり憑かれてSAN値0の狂人だったのだが、


「はるばるこんな森の奥地まで来て頂き感謝します!来訪のご用件は、父上でしょうか?」


リディオのあれが別人かまたは嘘だったかのような変わりっぷりに、私は思わずひきつった笑みを浮かべてしまう。


「あ、まぁ。メインはそうですね。」


「かしこまりました!確か父上なら、神殿にいると思います。ご案内しましょうか?」


「いや、大丈夫、です。」


私のぎこちない笑みにも、リディオは爽やかな笑みを崩さずに対応してくる。


「どうぞごゆっくり、何かありましたらすぐ対応していますので。」


居心地悪くて愛想笑いでそそくさと去る私にも、爽やかな笑みのまま見送るリディオに、内心ギャップがすごすぎてひく私。


「まるで別人だわ。」


「本来はあっち。」


「SAN値0、恐るべし。」


小声でノインとやり取りしながら、私達はブラックエルフ族の神殿────あの大理石の石造りのドデカイ建物に向かう。


「変わらずデカイね。」


と感想を言いながら、ささっと神殿に入る。ノインの案内で大長老の部屋に向かう。礼拝堂のような場所を抜け、目的の場所に到着する。ドアをノックすると、大長老の声が聞こえた。


「失礼します。」


と遠慮なくドアを開けて入ると、ビックリしたまま固まった大長老とフリージアの二人がいた。


「突然お邪魔してすみません。」


「なんと!これはこれは御使い様!出迎えが出来ず申し訳ない!」


「いえ、こちらも連絡なく来ましたから。フリージアも久しぶり。」


また会えて嬉しい、とフリージアも目を潤ませて再会を喜んでくれた。


「何かありましたかな?」


「特に急ぎではなかったのですが、放置出来ない事が起きまして。」


私はそう前置きをし、大長老とフリージアに災厄の魔王のクローンであるロベリアと悪魔族ジュリアスに関する話を説明する。

最初は話さなくてもいいかな、とは思っていたが、何かあっても気分が悪いのでついでに立ち寄ったのだ。


「なんと、"災厄再現"とは──また罰当たりなことを。」


「念のために警戒をお願いします。」


「かしこまりました。我々ブラックエルフ族は皆、貴女様への敬愛と援助は惜しみませぬ。何があろうと必ずお役に立ちますぞ。」


大長老はそう言うが、私は特に今は何もしなくていい、と念を押しておく。


「あと、ヴァーレデルド王国のブラックエルフ達のことは───。」


「いやぁ、その件は誠に申し訳ない。我々も引きこもりすぎたせいか、中々あちらの者と話が通じておらず、誤解を招いてしまい申し訳ない。」


どうやら誤解は解けてたようで、大長老とフリージアは何度も頭を下げた。


「森にいた闇潜人がほぼ居なくなったのと、ヴァーレデルド王国の国王から、過去の精算と再び交流を、と親書が届きましてな。返答の親書を今日には使者に届けさせるところでした。」


おお、ここにもか。

ムデルガルドはあちこちに親書を送ってるなぁ。ディオルドの遺した負債を何とかしようと頑張ってるみたいだね。


「そうでしたか。私もこの後ヴァーレデルド王国へ向かいますから、私が国王に届けましょうか?」


「それはありがたいですな。フリージア、せっかくのご厚意に甘えると良い。」


と大長老がフリージアに言うので、使者がフリージアだったことに私はビックリして、彼女を見ると愛らしい笑みを浮かべて頷いた。


「アネモネ、一緒に行って良い?」


「勿論だよ!」


こうして遠回り道の最後に、ブラックエルフのフリージアが加わることとになった。











大長老への挨拶を終え、使者として同行するフリージアの準備が出来るまで集落の出入口で待つことにした。


「今回の使者に私も同行したかったのですが、私はあちらでは指名手配犯ですから。」


リディオがとても残念そうに言うが、私はそれに違和感が生まれて、何となく聞いてみる。


「リディオさん、それはいつの話ですか?」


「えっ?最近ですよ。ジーク様を手にかけた時ですから、まだ60年も経ってません。」


────いや、それ大丈夫じゃないかな?

内心そう思ったが、一緒に来られてもアレなので余計なことを言わずに愛想笑いで濁しておく。


「お待たせ、アネモネ。」


と声をかけられて振り返ると、いつもの格好とはまったく違うフリージアがいた。


灰色の髪をハーフアップにし、ベールのような薄い布で髪を覆い、いつもビキニスタイルだった服装はインドの民族衣装のサリーのような、全体的に赤めの生地に豪華な刺繍や染色で鮮やかな見た目で、金色のアクセサリーで飾り付けされていた。

肩から腰にかけて透ける素材の布を幾重にもかけてあり、長い丈のスカートから豪華な細工がされたサンダルを履いている。


「うわぁ、似合うよ!フリージア!」


「えへへ、ありがとう。」


ブラックエルフ族の使者としての正装をしたフリージアは、いつもよりも輝きが違った。


「フリージア、気をつけて。」


「ありがとう、リディオ。」


リディオに声をかけられたフリージアは、優しい笑顔で返答する。初めて二人が話す姿を見たときと想像がつかないほど、仲がよさそうにしているのを見て、私はビックリしつつも内心ホッとしてしまった。


あんなことがあったから、もっとギクシャクしてそうかな、と思ったが打ち解けていたようだ。


「じゃ、行こうか。」


私はフリージアに手を差しのべると、彼女は照れ臭そうに笑って、私の手を取った。

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