表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/269

生まれ変わるなら 1

ベッタベタな内容の新作を書かせていただきます。


よろしくお願いします。



─────ふと気づけば、真っ暗な空間にいた。

立ち上がり周囲を見渡すが、暗闇のせいか何も見つからなかった。


「うわぁ、なにここ?」


思わず呟く。


真っ暗なのに、何故か自分だけが光ってるからか見えているので、お化け屋敷やドッキリ、とかではないのを悟る。


「─────あ、これ、もしかして。」


とあることに思い当たった瞬間、目の前に人の姿を視認した。

それはアニメで見る瞬間移動してきたので、突然すぎて思わず後退りながら身構える。


「お待たせして申し訳ありません。山本(やまもと) 花子(はなこ)様ですね?」


あまり呼ばれたくない本名に、嫌気を感じつつハイ、と返答した。


改めて現れた人物を見る。


銀色の髪は肩まで伸ばし、キレイな宝石のような紫色の瞳。知的な印象がある美形で、体つきは細身だがそこまで身長は高くない。

160センチの私と目線が近いから、相手は165センチ位か。顔も同じかちょっと年上位に見える。


中々のイケメンに少しニヤニヤしつつ、心の中のカメラのシャッターを連打する。


「現状の確認をさせて頂きます。貴女様は、先程バス事故に巻き込まれて亡くなった、ということでよろしいですか?」


そう問われ、へっ?と思った後にじわじわと何かを思い出し始めた。


──────楽しみにしていたアイドルのコンサートに行く為、高速バスに乗ったんだ。

しばらく経った後、座ったままぼんやりとうたた寝していたら、物凄い音と衝撃の後、体が浮く感覚、窓から見えた谷底。

そして、意識が途切れる前に感じた激痛と血の匂い。


「ウグッ!」


思わず吐きそうになり、慌てて口元を手で塞ぐ。うずくまって何とか押さえて耐える。イケメンの前で吐いてたまるかっと無理矢理押さえ込んだ。


「配慮が足りず失礼しました。気分は大丈夫でしょうか?」


うずくまった私を下から見上げるようにのぞきこむイケメン。

イケメンの急接近に、思わずのけぞる。でも、心のカメラでシャッターを連打する。うはは、眼福眼福。


「あ、はい。もう大丈夫です。」


「大変失礼しました。亡くなった後の話をさせて頂きますので、落ち着いて話せるように席をご用意します。」


イケメンの指が鳴らすと、一瞬で周囲が変わった。


明るく日差しが指す空、白い大理石の足元、過ごしやすい気温で微風の野外に、屋根のあるテラスのような場所に一瞬にして移動したようだった。


「こちらへどうぞ。」


イケメンに誘われ、テラスの下にあるテーブルと椅子の元へ。そこには紅茶セットが用意されていて、イケメンに椅子を引かれて恐る恐る座る。


座り心地最高の椅子で少し嬉しくなっていると、すっと紅茶の入ったカップを差し出された。


「花子様のお気に入りの、アールグレイをご用意しました。」


イケメンがさらに近づいたメイドに何かを注文し、直ぐ様テーブルにはマカロン、ケーキとたくさんのスイーツが並ぶ。

────どれも全部、私のお気に入りの店のスイーツだった。


「あ、これ。」


「気持ちが落ち着くように、こちらでご用意しました。遠慮なくお召し上がりください。」


イケメンにそう言われて、おずおずとマカロンを手に取り、一口食べるとやはり、お気に入りの店のスイーツだった。


────ああああ、うまぁぁぁぁぁいぃ。


もう食べられないとか思うと、余計においしく感じる。叫びたいが、イケメンの手前とりあえず押さえた。


「では、食べながらお聞きください。」









私は死後、魂は新たな命として再び地球に生まれる為に、一度輪廻の輪に飲まれる予定だったらしい。


「それを我らが偉大なる主神により、こちらの世界にお招きさせて頂きました。」


「しゅしん?主審って野球の審判的なヤツ?」


「それとは天と地ほど違います。」


キッパリとボケを切り捨てられたぁ。


「我らが偉大なる主神はこの世界を創造・運用し、命あるもののすべてを見守る、唯一無二の神です。」


うわお、すげぇ推しっぷり。主神さん、大変そー。


私は顔にも出さずに紅茶をすすり、イケメンの話を聞く。


「これにあたり、主神から伝言と使命を賜りましたのでお伝えいたします。」


「へっ?」


「読み上げます。─────突然のことで、驚いているだろう。事前に連絡出来ずに申し訳ない。」


イケメンが伝言が書かれてる紙をどこからか取り出して読み上げ始める。

しかも、声までも変えている。渋くてステキなイケボだ。この声はその主神さんの声なのかな?


「君をこの世界に招いたのは、この世界に大きな変革をもたらしたいからだ。」


何でも、この世界の住人では限界があるらしく、今のままでは世界を維持すら厳しい状況らしい。


「そこで、君にお願いがある。君にはこの世界で生きて好きなことを好きなだけしてもらいたい。」


「───は、はぁ。」


「信じられないだろうが、それにより世界には大きな変革をもらたすのだ。ただのフルーツジュースに、炭酸を入れて違う飲み物にするイメージでいてくれてかまわない。」


きっちり例えを伝言に盛り込むとか、出来る主神さんだな。

どんな人、いや神様なんだろうなぁ。


「君には許される範囲で、万能な能力を付与してある。これは君に伝言を頼んだノインに説明されるので、よく聞いてほしい。では、異世界を楽しんでくれ。─────以上になります。」


イケメン────ノインが読み上げた紙を畳んで胸元にしまった。


「ここまでの説明で、何かご質問ありますか?」


「あ、はい。えっとー、ノインさん?」


「はい、ノインとお呼びください。」


すっと立ち上がって一礼するノインに、慌てて私もノインに頭を下げる。


「えーと、ノインさん。その、主神さんは私に好きなことを、って言ってますけど、具体的にはどんなことをしていいんですか?」


「貴女様にはほぼ、制限はございません。逆にしてはいけない方をあげたほうが早いです。」


マジかよ、何でもやりたい放題の状態じゃん。人生でそんな幸運に出会ったことないんですけどぉ!

───あ、人生終わったわ。ん?再出発した、のか?


「その、してはいけないことは?」


「一つ、この世界の生命全ての絶滅行為です。これは一つの種なら問題ありませんが、全てだと対象になりますのでご注意を。」


うわぁ、のっけからスゴい内容だった。

私、そんなに物騒なことしたくないから、多分しないかなぁ。


「二つ、この世界の大陸、島等への破壊行為です。こちらも一つの島、山等は問題ありませんが、全てだと対象になりますのでご注意ください。」


────なんか、スケールでかすぎませんか?島も山も規模でかすぎなんだけど。


「三つ、我々──属神や我らが偉大なる主神への反逆行為です。ただし、我らが偉大なる主神により、その行為は致し方ない、と判断された場合は例外です。」


ついに神殺しまで許可下りたらやっていい、とまで言われたんだけど!?

何か期待されまくってない!?


「四つ、その他の"この世界の維持に関わる行為"です。こちらは我らが偉大なる主神により、判断が別れます。その行為が行われた際、我ら属神や我らが偉大なる主神により、審議が行われます。多少の時間を要しますので、その際には時間停止処置を取り、貴女様には待機、又は審議参加を要請する場合がございます等でご容赦下さい。」


───なんかもう、ハイ、としか言えないレベル。


「以上が、してはいけない事項となります。貴女様がこれらの無自覚に行ったとしてもこちらから適切な処理にて対応いたしますので、あまり考えすぎずに、ご自由に行動していただいて構いません。」


「それはつまり、やっちゃったら全力でフォローするから心配しなくていい、ってことなのかな?」


「さすがは我らが偉大なる主神の客人、ご理解が早い。」


────なんだろ、この稀にみる超厚待遇(チートしほうだい)

違和感通り越して嫌悪感ぶっちぎりなんだけど。


「あの、ペナルティは?」


「ございません。してはいけない行為を仮に行った場合は我らが偉大なる主神の判断によりますが、それ以外の行為に関しましては一切ございません。」


うっはぁ、ノーリスクハイパーリターンとかマジであり得ないわ!

どんだけ姫プレイさせたいの!?いや、この場合、神プレイか!


「例えば、王様になって贅沢三昧したい、とか。美形さん囲んで毎日ちやほやされたい、とかは問題ないのね?」


「そんな些細なこと、容易いかと思われます。」


容易い!?ついに容易い、とかの話になった!次元違いすぎてる!


「我らが偉大なる主神は、貴女様をこの世界に招いた。その御力を振るったのならば、それなりの理由を有しております。」


ノインは変わらぬ表情だが、発せられた言葉に若干の重みを感じる。


「どうか、我らが偉大なる主神の意志を察していただけたら幸いです。」


「察しろ、と言われても。」


すっ、とノインは頭を下げた。私は戸惑いながら、立ち尽くす。すぐにノインは頭を上げて、いつも通りの無表情で話を続ける。


「他にご質問はございますか?」


「な、ないです、けど。これから疑問が出来たら、質問していいですか?」


「それは、当然でございます。」


───よし、とりあえず、やってみよう。


私は立ち上がると、気合いをいれるために拳を握った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ