二話 幼馴染は
「さつき、早月だよ…な?」
その状況を飲み込むことができず、少し震えながら尋ねた。
早月と思われるその少女はこちらを振り向き、うっすらと涙を浮かべながら答えた。
「そうだよ…たっちゃん…」
たっちゃんと呼ぶのはこの世界でただ1人、早月しかいない。だから早月に違いない。
ただ、いつもとは明らかに違う部分があった。
そう、ツノだ。
そのツノは早月の頭から二本生えていた。
それについて早月に聞くべきかどうか迷ったが、思い切って聞くことにしてみた。
「なあ…早月、そのツノはなんなんだ。あと、あの化物も…」
早月の顔は少し曇り、答えずらそうに俯いた。
「ごめんね、今は話したくないの…」
それだけ言い残して、早月は去っていった。
「ま、待てって早月!」
その言葉に一度振り返るだけで、そのまま戻ってくることはなかった。
「あー、早月ったら何も言わなかったわね。」
後ろの方からそんな声が聞こえたので、振り返るとそこには一人の少女が立っていた。
腰には刀を差していて、軍の制服のような物を着ていた。
手を差しのばしながら言った。
「私はレイ・ウルム、まあレイでもなんでも好きに呼びなさい。」
「ああ…、ありがとレイ。ところで…」
早月のことや、あの襲ってきた化物のことなど聞きたいことはたくさんあった。
「待ちなさい。聞きたいことはたくさんあるだろうけれど、ここは危険だから基地までついてきなさい。」
「基地?そこに早月もいるのか?」
「まだいないかもね。でもいずれ帰ってくるわ。」
まだレイの事を完全に使用したわけではない。けれど、早月に会えるのならという希望を胸についていくことにした。