第七話 異世界生活のスタート
今回は説明回です。
僕が異世界に来たのだとわかったあの晩から三年の月日がたった。
この三年間で起きた事を話したいと思う。
一つに、魔法についてある程度の事がわかった。
この世界の人間、その他動植物には魔力という物が宿っていて、それを使い自然にあるものを操ったり、生み出したりできるようだ。
そして魔法の属性というのは魔力の色とでもいうのか、その属性の魔法を使うときの魔力の通しやすさの事らしい。
魔力が通しやすいことで規模の大きな魔法を使う際に少ない魔力で魔法がつかえる。
その中で無属性とは属性のない魔力であり、得意な属性のない魔力持ちの人の事であるようだ。
僕の無属性発覚が両親や周りの人にショックを与えたのは、僕が当主になることができない……つまりこの家を継ぐことができない為だ。それは僕の家――アルケスト家が水属性の名門であり、歴代の当主は水属性として偉業をなしてきたようだ。そのため、アルケスト家の当主は水属性の魔力を持つものがなることが習わしとなっているようだ。
次に僕の妹が生まれた。宣託の儀が終わってから一年後に生まれた。僕とは丁度一歳差である。
名前はエステル、金髪碧眼のデイブ似である。魔法属性は水。当主の魔力である。
現在アルケスト家ではエステルを当主としていくようである。
僕にはつけられなかった専属の使用人がつけられた。リンダは僕ら兄妹の育児全般の責任者であり、エステルに付けられた使用人はジーウという女性である。彼女は以前からアルケスト家に仕えていたが、エステルの宣託の儀以降エステル専属として働くことになった。
ここまでさんざん当主やらなんやら言ってきたが、この世界では貴族という物がいる。
この世界のでは民主主義の考え方は少なく、王族や、皇帝を頂点とし、その下に貴族がついて政治をする形態のようだ。
とはいっても、中世のような世界ではない。電気がないだけで、魔法を使った技術によって一部では地球を上回っている。多くの点では地球の技術の方が優っているけどね。
例を挙げるとすれば、家や町の照明。この世界では魔石という魔力の結晶を使うことで電気の代用品としている。先ほど言ったように魔力には属性がある。これは魔石も同じ事で、光の魔石を燃料として使い、簡易的な魔法を使い明かりを灯している。――とは言っても夜間は明かりを消してしまうんだけどね。魔石だって無駄遣いはいけないということだ。
この世界に生まれてからの四年間。僕はこの世界の住民として生きていく覚悟が決まった。
前世の僕ではない、エミリーとデイブの子供、アルケスト家の人間として生きていくんだ。
ご指摘等いただけたら幸いです。