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異世界が日常化した世界のお話  作者: アンライク
第一章 泥被りの英雄と吸血鬼
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第5話 吸血鬼

「我が改造を施した死霊傀儡がまさか壊されもせず捕縛されるとは・・・・・」


その聞き覚えのない声に海斗は一気に目を開き起き上がる

海斗の目の前にはマントを着た灰色の黒髪が片方だけ長く伸びた青年が立っていた

その青年はとがった犬歯を見せながら真紅の瞳を細めて笑う


「吸血鬼、だと・・・!?」


「ええ、我は闇の異世界であるヴァルヘイムルから来た、ビートハイス・エスレイダ。一様吸血鬼の中では貴族の位に位置します」


その言葉を聞いた瞬間、海斗は顔の輪郭を沿うように汗が一筋垂れた


・・・・・・吸血鬼の貴族だと!?


顔には出さなかったが恐怖で少し足が震えている

吸血鬼はよほどのことがなければこの世界には来れない

もちろん、その理由としては奴らの主食であるのが血液であるということや奴らが血液を呑んだ後、誰も手がつけられぬ凶暴性を発揮すること

そして最も、面倒なのが魔力が極限に高められることだ

それに立ち向かえるのはおそらく生徒会役員の上位者か、


・・・・人為的に人外的な力を手に入れたやつだけだったよな?


「成程、つまりこの生徒が強かった理由はお前がこいつの血を吸って魔力を高めて改造を施したってわけか」


「残念ながら我は血など吸っていません。死人の血はおいしくありませんから」


・・・・・・つまり、さっきの改造はこいつの本来の力と言うことか


「まあ、こちらは二人しか会うことができなかったのは残念ですが少しくらい楽しめそうなので良かったです」


「ちょっと待て、まさかもう一人・・・・・」


「ええ、今頃、体育館で大暴れしているころでしょう。彼は我と違って対多勢用戦闘魔術を持っていますから」


ビートハイスは気味の悪い笑い声をあげて笑った


「さて、さっさとこちらも終わらせましょう」


マントの中から腕を出して指をさした

何をするか知らないが、あの腕さえつぶしてしまえば、と海斗が魔術を行使しようとした時だった


「クヒヒヒヒヒ・・・・・」


「アハハハハハ・・・・・」


「ウヒヒヒヒヒ・・・・・」


と周りから気色の悪い笑い声が聞こえてきた


「何だ!?」


辺りを見渡すが他に人がいる気配がない

海斗は眉をひそめた、だがその正体はすぐに気付いた

足元からくるドライアイスの様な寒気が徐々に海斗の身体を侵食し縛り付けて行く


「くっ・・・・!?」


そしてそれは人の姿へと変わり、海斗の周りに三人の女の形をした冷気が海斗の顔の輪郭に沿うように撫でる

別段寒いというわけでないのに全身には鳥肌が立っていた


「我の能力はおわかりでしょう?死霊傀儡術師。それが我の能力ですよ」


「くそっ!!」


全く言うことの聞かない身体を動かそうとする


「無駄です。あなたはすでに黄泉に引きずり込まれる一歩手前なのですから」


ヒヒヒ、とまたも気味の悪い笑い声を出す

おそらくは死霊である冷気の女が海斗の頬に両手を添える

そしてそのまま顔を近づけて行く


「やめろ・・・・・・」


海斗の顔には恐怖で染まりきって行った


「やめて、くれ・・・」


しかしそれでも女の顔は徐々にせまる


「やめ――――」


そう言った瞬間、海斗の顔の横に風が吹き荒れ女の顔が吹き飛ばされそれはビートハイスのマントを突き破り傷つける


「くっ・・・!!」


今度はビートハイスが苦悶の声を上げる

死霊から解放された海斗はそのまま膝をついて横に倒れ込んだ


「流石、海斗だ。本来、ビートハイスの死霊に取りつかれた瞬間に、黄泉へ行くはずなんだがな」


「この雷撃。やはり貴方ですか」


怒りの表情を表しながらその雷撃が来た方向を見る

そこには頭から一筋の血を流しながら立ち右手にはまるでリボルバーの様に配置された雷槍が6発出現していた

先ほど死霊を追い払ったのはこの雷槍の一撃である

本来雷系統の魔術と言うのは攻撃スピードが速いのだが一撃必殺にはなりにくいものばかりである

だがこれは唯一と言っていい例外であり、膨大魔力を乗せ雷系統の魔術で生み出すスピードを生かした一撃必殺級の遠距離射撃魔術である、故に習得できぬものがほとんどであり、この魔術を学ぼうとするものはほとんどいない

しかし、龍牙が何故それを会得出来たかは不明である

龍牙は牽制目的で右手を掲げた


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