第13話 加速していく事態
「しかしさっきの音はなんだったんだ?」
「さあ?誤爆でもあった?」
「何の実験してるんだよ?誤爆って・・・・・」
龍牙は第三保健室から第二保健室へと移動していた
そこには海斗やグリアがベッドで寝ていて付添人としてミリアーナがいた
海斗のベッドの近くで先ほど起きた海斗と龍牙は今話している
「しかし何でまた吸血鬼が攻め込んできたのやら」
「おい、海斗今のうちに吐いておいた方がいいぞ。‶女性吸血鬼にセクハラして恨みを買いました〞と」
「何でそれでここまでのことに発展するんだよ!!」
あまり大声を出す海斗に龍牙は口元に人差し指を置いて静かにするように促すが
「君達がうるさいせいで起きてしまったよ」
そう言って海斗の向かい側のベッドで起き上がる気配がした
「ははは、悪い・・・・・」
海斗は本気で申し訳がなさそうにそう言う
「いや、さっきの衝撃音で起きていたから別に平気だ」
「まあ、確かにあれで眠ってたらどれだけ神経が図太いんだって話だが・・・・・」
それを言って龍牙はグリアの方を見ると
「あれが神経図太そうに見えないな。むしろ海斗の十分の一ぐらいしか神経の太さがないようだ」
「それって間接的に俺が神経図太いって言いたいのか?」
「違うな、海斗。図太いではなく極太だ!!」
その瞬間、海斗が殴りかかってきた
病人のくせに元気だ、と思いながらも龍牙はその海斗の殴り合いに応戦する
「ふっざけんな!!お前にだけ言われたくねー!!」
「僕はこれでも繊細な神経をしていてね。少しふれるといつもすぐに切れちゃうんだ」
と海斗の拳を交わしながら龍牙はカウンターを挟む
「それはそれで問題の様な・・・・・」
「大体!そんな神経極太だから覗きしてもばれるんだよ!!」
「あれはお前が邪魔ばっかするからだろうが!!『ふむふむ、あの子の形は綺麗だな。あっちの子は陥没しているだと!!』とか言いながらお前がずっと見てるせいで俺はぜんぜん見れねーんだよ!!」
今だ二人の殴り合いは続くがその予想外のカミングアウトにグリアは苦笑いを浮かべていた
そんな会話をしている中、ドアが開き海斗と龍牙は殴り合いを止める
入ってきた人物、副会長はその場を見合わせてため息をついた
「いきなりため息ってひどくないですか!!」
頬を殴られながらも海斗はその批判をまるで心外なという感じで言う
「今朝のあれを聞かされたらため息もつきたくなるけど・・・・・」
副会頭は小声で今朝の唯原が録音していた思い出しながらそっとつぶやいた
「はい?なんっすか?」
小声で聞き取りにくかったせいか海斗が聞き返すが副会長は「いや、なんでもない」と言って首を振った
釈然としない表情を浮かべつつも副会長がここに来た理由を聞く
「わざわざどうしてここに?」
「グリア、紅坂、如月。今すぐ動けるか?」
その質問にグリアが一通り見まわしてから頷く
ちなみにミリアーナは保健室の先生の手伝いで今はいない
「ええ、大丈夫ですが。何かあったんですか?」
「間接的にヤバい状況になるやもしれない状況だ。説明は生徒会室で会長以外の生徒会役員がそろった時点で始める」
「随分きな臭いですね。生徒会役員をそろえるなんて」
龍牙は何か不穏な空気に当てられたのか嫌そうな顔をしつつ言う
「まあ、本当にヤバい状況だからな。それも早急かつ速やかに行動を起こさねば手遅れになる可能性がある。説明は生徒会室に行きながら話す。ついてこい」
そして三人は副会長の後を追った
◆◇◆◇◆◇
龍牙達が生徒会室に到着するまでに聞いた情報は先ほど龍牙が捕獲した吸血鬼のお仲間さんが持ってきた情報を簡潔に済ませたものらしかった
龍牙がつくころには既に生徒会室には生徒会役員が集結していた
「俺にはここは場違いだと思うんだが、龍牙はどう思う?」
「ああ、僕もそう思うよ。な、グリア?」
海斗の質問を返しながらグリアに聞くがグリアからは返事が返って来なかった
「おーい、グリア?」
しかしグリアの視線はある一方向にしか向いていなかった
その視線を追うように龍牙は目を向けるとグリアの兄であるカイドス・リーディアンが座っていた
口端にガーゼをつけている所を見ると何やら怪我をしたらしい
それが気になっているのかと思えばそんな視線ではなくむしろその逆の視線だった
無機質な上無感情なそんな冷たい視線だった
・・・・普通身内に向ける物じゃない
その視線を見るなり龍牙は一瞬だけ寒気に襲われた
「グリア・・・・・?」
海斗が心配しながらもおずおずとグリアをよぶ
グリアもそれで気付いたのかいつもの優しい笑顔へ戻っていた
たださっきのあの眼はなんだったのか、龍牙には問えなかった
いや他人の問題に顔を突っ込むのは今この状況を打破してからにしようと決意した




