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幸せのスタンプカード

???「待ってください!


十円じゃ何も食べられないんです....はぁ...」


私...篠田絵里香は肩を落としました。




私は遊女。


毎日身体を売ってそのお金で生活....しているのですが。



先程の通り、私....もう二週間もお風呂に入っていません。



パサパサの髪を撫でるとフケが出てきました。





とりあえず、今日は商店街の優しいおばさんからもらったパンの耳でお昼ご飯を終わらせようかな...。




*********


私...篠田絵里香は生まれてすぐに捨てられました。


そんな時....私を拾ってくれたのが篠田財閥の方...。



社長が私を養子にしてくれたのです。


それから...地獄のような英才教育が始まりました。




父「ええい!そんなこともできんのか!」


父はいつも失敗すれば暴力を振るいました。


めげずに頑張れたのは父への恩義でした。




父「いいか、高貴な言葉遣いを覚えろ。


庶民などただのクズだ。


見下して喋ろ!いいな!!!」


父の教育方針で私の心は歪みました。



学校では高いプライドを持ち他人を蔑み嘲りました。




私は何よりも父と財閥に誇りを持ちました。


父の操り人形マリオットとして...。







そんな生活はある日突然崩れ去りました。


財閥が倒産したのです。


全財産が借金の帳消しに当てられて私は家を追い出されました...。



*********



絵里香「はむっ...もぐもぐ...」


そして今...私は身体を売ってかろうじて生きています。


お気に入りの着物一着で追い出された私...。


綺麗だった着物は汚れて私みたいに窶れてしまいました。




でも...仕方ありませんよね?


罰が当たったんですから...。




商店街のおじさんがくれた歯ブラシで歯を磨くと私はボロボロのポシェットを肩にかけて歩き出しました。



絵里香「誰か...男の人いないかなぁ.........」


そう思いながら歩いていた時、急に交差点から誰か飛び出して私にぶつかりました。


絵里香「きゃっ!」




尻餅をついてしまいました。


目を開けると...やっぱり...私のポシェットが無くなっていました。


絵里香「スリ...ですよね...」


でもあの中には150円しか入っていません。


恐らく捨てられるでしょう...。




私は足元に一枚のカードが落ちていることに気づきました。



絵里香「『幸せのスタンプカード』?」


そう印刷されたスタンプカードには47のスタンプを押せるコーナーがありました。


絵里香「一番...東京都...『オルゴールの小さな博物館』?」



*********


東京都文京区にそれはあります。


オートマタや自動ピアノなどの機械が並び心地好い音楽が心を癒してくれる場所です。


頑張ってお金を貯めた私は(それでもそこまでの行き賃で限界でした)電車に揺られながらそこへ向かいました。



徒歩で歩いているとそれは見つかりました。



絵里香「わぁ...」


私は窓から中の風景を眺めたり入り口から中の様子を見たりしていました。


と...


絵里香「きゃっ!」


私の背中を誰かが強く押し、入り口に入ってしまいました。


絵里香「はぁ...不幸者ですよね...あれ?」


気がつくと袖に入場料ピッタリの額のお金が入っていました。


絵里香「(誰か分からないけど...せめてこのスタンプカードの一番くらいはやりたいなぁ...)」


私は受付にお金を払うと中に入りました...。






いろんな音楽が左右の耳に入ってきます...。


絵里香「幸せ....しばらくずっと聞いてなかったオルゴールの音...」




??「お疲れ様でした。」


突然拍手が聞こえたので振り返ると...普通の服を着た好青年が拍手をしていた。


??「幸せのスタンプカードを持っているかい?」


絵里香「え...?


あ...はい。」


私は袖からスタンプカードを取り出しました。


彼は一番にスタンプカードを押してくれました。


??「おめでとう!


幸せのスタンプカードを始めてくれて嬉しいよ!


はい!一回目のご褒美はこれ!」


絵里香「これって...」



それは...銭湯の一日無料券でした。




*********


絵里香「はぁ...生き返ります...」


私はあの好青年から貸してもらった洗面道具を使って身体や髪を何度も洗い続けました。


垢やフケが身体から取れてとてもスッキリしました...。




お風呂上がり...受付のおばあちゃんが私に美味しい牛乳をわけてくれました。


絵里香「ありがとうございます...。」

その味を忘れないようにちょっとずつ飲みました。





銭湯を出るとあの好青年が待っていました。


絵里香「ありがとうございました...。」


洗面道具を返却すると彼は笑顔になりました。


??「二番の場所で待っているよ。


いい旅を...。」


彼は手を振ると立ち去り―


絵里香「待ってください...」


??「?」


絵里香「お名前は?」


??「聞いてどうする?」



絵里香「親切にしてくれた人の名前をもう短いかもしれない私の命に刻んで生きていきたいから...。」


??「なかなか面白いね!君は!ハハハハハハ!






僕の名前は『赤銅 一平』。


よろしくね!」



一平さんはゆっくりと立ち去りました...。



絵里香「二番は...」


私はウキウキしながら次の目的地へと向かいました...。

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