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10-4 終焉の祝砲と、戦場の遺骨拾い

「——本体、崩壊開始です!」

 リリスの声が、現実へと俺を引き戻した。

 悪魔の身体のあちこちに、亀裂が走っている。


 天使の白と魔王の黒が、不格好なまま露わになっていた。


「先代魔王の魂を消滅させた結果——」

「“高位の天使”の側面だけが残った状態です」

 リリスが、解析結果を重ねる。


「気に入らない。こいつも要らなくなったら、廃棄ってわけ?」

 ルシフェリアが、冷たい目で天を睨んだ。


「もう、この世界を変える可能性ではないわ——ただの“天使の残骸”。私みたいにね」

「なら、ぶっ壊しちゃおーう!」

 姫が、砲台の上に立ち上がった。


「今よ、姫! 思う存分、やっちゃいなさい!」

 ルシフェリアが親指を立てる。


「了解ーー!! 王国特製・境界対応型・対悪魔破壊主砲〜〜!」

「ネーミングが適当すぎますっ!」

 聖女のツッコミも無視しながら。


「はい、どっかーーーん!!」

 物語の終焉を知らせる祝砲が、悪魔を貫いた。


 消滅する天使と、崩壊する魔王の瘴気と、姫のマジで意味不明な火力が、全部混ざり合って——悪魔の身体は、無数の光の破片になって霧散していった。

(どこかで見てるか、レイナ)


 世界の悪役は——英雄でも魔王でもない連中によって、派手に打ち砕かれたのだった。

「……やったのか?」

 俺は、地上でぼんやりと呟く。


 聖剣なんてもう無い。指の骨も何本か無くなっていた。


「英雄様っ! よくぞ、ご無事でっ!」

 聖女が駆け寄ってくる。


「欠損とかありませんか!? うわ、たくさんある!」

「あとで一緒に拾いましょう! 見落としてはいけません!」


「完全に戦場の遺骨拾いの図なんだよなぁ……」

 捲し立てるような勢いの聖女に、俺は苦笑する。


「王都・教会・商会の記録。旧英雄譚周辺の扱いが、かなり変更されていますね」


「多分、セレス札の信用は崩壊しましたが——」

 リサがあーあ、といった様子で、少しだけ嬉しそうに微笑んだ。


「ちなみに王国・教会・商会の三者保証による“復興債”を発行済みですよ。今度は、物語頼みではない、三位一体の信用モデルとして」

 リサが忙しそうに帳簿をめくっていた。


「簡単に言うと、“物語は終わった”ってことね」

 ルシフェリアが翼を畳みながら言う。


「旧英雄譚が改変されたことで、世界全体の修正はかなり小さく済むはず。ただ、その代わり——」

 ルシフェリアの視線が、俺とリリスに向けられる。


「“不要な存在”の修正が、これから少しずつ始まるでしょうね」

 リリスが柔らかく微笑んだ。

(ついに来ちまったな)


 世界は助かった。


 セレスの英雄譚も、この物語で閉じた。


 ——じゃあ、俺たちは?


 骸骨英雄の主人公と、ヤンデレ元カノの魔王とリリス。


 筋書きから外れて生まれてしまった、“物語に不要な存在”は——

読んでいただき、ありがとうございます!

定期更新してますので、よろしくお願いします!


ブクマ登録していただけると、感謝感激雨あられです!

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