表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/65

8-5 俺たちの決意

「——もう、戻れないぞ」

 そう言いながら、臆病だなと自嘲する。

 聖剣セレスティア・オリジンを見つめながら、ゆっくりと呼びかけた。


「ここから先は、“あとはよろしく”とか言って逃げるわけにはいかねぇからな」

「覚悟なら、とっくに決めてます。英雄様のためにも、魔王様のためにも。この世界のためにも」

 聖女が、自分の胸に手を当てながら答える。


「私も同じです。“物語の正しさ”なんてどうでも良い。私たちの正しさを作りだすために、先代の英雄様にもわがままを聞いてもらいますから」

 リリスが、穏やかに微笑んだ。


「……そうね。悪魔は、“新魔王”として境界を超えてくる。黙って突っ立ってても、物語は止まらない」

 ルシフェリアの視線が、保管庫のあちこちを巡った。

「ただ、ここで聖剣の能力を全開にしちゃうと、共鳴した聖遺物による影響が出るわ。最悪、内部から“大暴走”が始まるわよ」


「ですから——」

 聖女が、ゆっくりと口を開いた。


「“ 聖剣セレスティア・オリジンを清める”という名目で、一度地上に持ち出すのはどうでしょうか」


 責任者の顔が、引きつった。


「せ、聖剣を……持ち出す……?」

「はいっ。魔王の血や世界の怨念や、いろいろ溜まってしまっていますから。改めて儀式で“清め”を」

(理屈としては、間違ってないな)


 リサが、即座に乗ってきた。

「教会による“浄化の儀”として持ち出し、商会としては“再査定”と申請します。王家には、“再鑑定”ということで」

「それで通るのか?」

「通します。各所に協力を要請しておきます」

「文言はこちらで用意します。“当該聖遺物の価値保全を目的とした持ち出し。管理責任は商会が負うものとする”——これでいけるはず」

(価値のためって言っておけば、だいたい通るんだな)


「儀式場所には条件があるわ」

 ルシフェリアが、ゆっくりと続ける。


「人間領と魔王領のどちらでもない。天界の光も魔界の瘴気も、均等に揺らいでいる場所がベスト。世界の“釣り合う場所”ね」


「昔、集落だった荒野がある。魔王領と人間領の明確な境界で、今も魔力の鉱脈が乱れたまま残っている——そこを、儀式場にしましょう」

 リリスが頷くと、ルシフェリアがそれに同意した。


「私は境界補強陣と、防衛結界の準備に取り掛かるわ」

「お願いします。魔王軍の残存戦力は、こちらで集めておきます。辺境領の防衛師団を振り分けます」

 魔王軍の方針が固まったようだ。


「王国には、私からもそれとなく圧……いえ、協力要請を」

「圧って言ったな、今」

「督促を見送る、という交換条件付きで」

 聖剣の元に集った、教会の聖女、商会の代表、魔王軍の参謀、元天使、王女、そして骨の英雄。


 世界のあちこちで、別々に動いていたはずの登場人物たちが、ゆっくりと一つの方向へと揃い始めていた。

(いよいよ、本当に“舞台”が整ってきたな)


 聖剣セレスティア・オリジンの剣身を見つめながら、骨のどこかで、何かが燃え始めるのを感じていた。


 ——聖剣を中心に、物語が動き始めていく。

読んでいただき、ありがとうございます!

定期更新してますので、よろしくお願いします!


ブクマ登録していただけると、感謝感激雨あられです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ