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8-1 いざ王都へ

「準備が整いました」

 リリスの宣言が響くのは、普段よりも静かな魔王城の大広間。

 魔族たちは、魔王不在の状況対応に追われていて、ほとんどが現場に駆り出されている。

(トップが居なくなったってのに、ブラック企業化が進んでるのが不憫だよな)


「ルシフェリアさんも転移しますか?」

「ええ、一緒にいくわ」

(そうだよな。行動は共にしてるけど、こいつらが正面から行ったら、王都が非常事態体制になりかねん)


「では転移陣、起動します——」

 さっき辺境に飛んだ時の大型陣とは違い、小型の転移陣が描かれている。

(慣れねぇんだよな、この光の帯)


 魔王とリリスでも陣の描き方が違うようで、綺麗に引かれた線を見ていると、彼女がとても丁寧な性格であることが分かった。


 中心には、俺(棺桶+骨)。

 その周りに、リリス、聖女、ルシフェリア、リサ、姫。


「座標はどこにしましょうか?」

 リリスが転移陣を展開しながら。


「王都の真上は流石にちょっと。教会の敷地内も駄目だろうし、商会本部のすぐ隣、変な像のある公園あたりに落ちましょう」

「……あの、私のご先祖さまを変な像呼ばわりは」

 リサが小さく呟いた。

 転移陣が強く輝き始める。

 黒と銀の光が交錯すると、空間がぐにゃっと歪む。

(なんか、また落ちる未来しか見えねぇ!)


 と、思った次の瞬間——


 ドゴッ!

 やはり落ちた。棺桶から骸骨が踊るように飛び出した。

(細かい骨を落とすと、探すのが大変なんだよ!)


 どうやら地面から半メートルくらいの高さで微妙に浮いていたらしく、ロックが甘かった棺桶の蓋から飛び出して、最後は街路樹に全身の骨を強打した。


「英雄様っ! お身体をなくさないように、壺にしまっておきますから!」

「しまうな! 聖女が骨の壷抱えて地下に潜るなんて、どう考えてもただの納骨にしか見えなくなっちまうだろ!」

「骨壷?」

(しまった。この世界では土葬が当たり前だった)


 俺は細かい骨を拾いながら、パズルのように身体を作り上げていく。

「英雄様の骨って、丈夫ですよね」

「発育が良かったんじゃない。健康そうだったし」

 リリスとルシフェリアが何かに感心していた。

「この辺はバキッとはめる。ここは慎重に置く」

 骨を組み直して周囲を見渡すと、久しぶりの王都の光景。

 石畳の広い道。

 遠くに見える、教会の巨大な尖塔。

 商会本部らしき建物は、横に長い。

(人があまりいないな。こっちにも影響してんのか)


「通貨の価値が崩壊してますからね。英雄信用失墜騒ぎから、オークションでの暴走、そして今回魔王不在という噂で、英雄の存在価値はなくなり、セレス札の信用が崩壊したままに」

「そして“魔王不在”の状況で、魔王領との交流も不安定。外に出れば魔物に襲われる可能性もありますし、各地の交易も途絶えかけてます」

 リサが淡々と述べていた。


「まさに、世界規模の信用不安というわけですね」

 何かに気づいたらしく、ああ、興奮します、と身をくねらせ始めていた。

(英雄信用の裏付けが、魔王との対立にあったんだもんな)

読んでいただき、ありがとうございます!

定期更新してますので、よろしくお願いします!


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