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3-2 骨、オークションデビュー

 翌日。灰商会の地下オークション会場。

 俺は商品として展示台に置かれている。

「いやん、なんかちょっと恥ずかしい」

 棺桶から声だけ出す。

(一歩間違うと、まるで英雄廟のように)


「皆様。英雄様は素晴らしい方ですっ! 少し死んでて臭いですが、心は清らかです!」

 聖女が壇上でプレゼン。全くもって魅力が伝わってなかった。


「投資価値を数値化しました」

 リサも横でプレゼン。悪い情報は先に見せておくようだ。

「マイナスですが、愛があれば問題ありません!」

「ああ計算できない……でもきっとこれが恋……」

(何のために壇上にいるんだよ!)


「がんばれー! 沢山入札されるといいねー!」

 姫が見物席から、ヤジを飛ばしてくる。

「最後は、爆破で解決?」

 しないでくれ。

 ——借金のカタが、また負債を生み出しちまうからな。

 司会のジャックが高らかに宣言する。

「それでは、伝説の英雄24時間レンタル権!」

「開始価格は10万オーリス!」

 シーン。

 誰も入札しない。


「くさいしなぁ」

「死体だしなぁ」

「やる気ないしなぁ」

「マイナス資産だしなぁ」

「英雄の魂は私のもの。魔王の私が生涯を買い取るわ」

 客席からひそひそ声。一つ明らかにおかしいのが混じってるけど。


「誰も入札しないなら、私がっ!」

 聖女が会場の様子を見ながら、逡巡していたが、ついに痺れを切らして参戦した。

「20万ですっ!」

「おおーっ! 教会やりますねぇ!」

(ちょっと盛り上がってきたな)

「教会に出し抜かれては……」

「無駄。無駄だと分かってるのに、入札の手を止められない!」

 リサも対抗。商会が本格参戦した。

「ああ、30万!」


 聖女がリサを睨むように見ると、どんどん二人の争いがヒートアップしていく。


「50万ですっ!」

 聖女。

「盛って80万!」

 リサ。

「清貧であるべきですっ! 100万!」

 聖女が血涙。


「聖職者が浪費しすぎでは?」

「商会こそ、私情が入りすぎですよ!」

 女同士の入札バトルが始まった。

 後で高額入札だからって、永久レンタル権に切り替わったりしないよな?

 ——その時、観客席から大口の入札が。

「あ、じゃあ200万!」

「「ひ、姫様!?」」

 姫があっけらかんとした顔で。

「だって、面白そうじゃん。英雄様と一日中遊べるんでしょ?」

「あの、姫様。どこに、そんなお金が?」

 執事が顔面の汗をハンカチで何度も拭きながら。

「あるよー。さっき城の宝物庫から」

「灰商会が何でも担保にするって」

「ひ、姫様っ! 我が国の歴史を爆破しないでください!」

 姫の入札で他の客にも火がついたようだった。見えの張り合い合戦。

「王国に負けるわけには。300万!」

 大型商人。

「商人にはやらせませんよ。400万!」

 貴族。

(もはや生産力の殴り合いだな)

「うわーん、500万!」

 聖女、もう泣いてる。教会なくなっちまうぞ。

「愛、これは愛! 大好き、600万っ!」

 リサ、アバカス壊れそう。

 と、その時——

「1000万。存在ごと買い上げてあげる」

 会場の奥から、女性の低い声が。

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