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「ゲーマー篇」開幕の卷

〈佃煮と成りて蝗の成佛す 涙次〉



【ⅰ】


じろさんとテオが語らつてゐた。カンテラの事である。

「カンさんあのカンテラ、棄てたつてな」-「さうなんですよ、兄貴のアイデンティティを根幹から覆すんぢやないかと、僕心配で」-「ま、人間・神田寺男としての、一つのレッスンさ。彼には剣があるし、* 橘川靜禅師仕込みの『修法』がある。** 火焔のスピリットである點も變はつてゐない。結局何事も起こらないんぢやないかな」-「さうだといゝけど」



* 前シリーズ第61話參照。

** 彼は灯油の替はりに、火酒からエネルギーを摂るやう自分の躰を變へた。



【ⅱ】


涙坐が魔界に*「面談」しに行つた際、面白い(?)話を仕入れて來た。

「魔界盟主交代ですつて。今度の盟主は『ゲーマー』つて云ふらしいですよ」

じろさん「ゲーマー? ** ロールパンに継ぐ珍名さんだな」-涙坐「彼が私たち一味全員に話あるつて云つてる、と云ふ事でした」-じろさん「ほお? 向かうさんからコンタクトを求めて來るとはね。珍しい話だ。然も全員とは。何の話だらう」-「さあそこ迄は訊かなかつたんですが」



* 当該シリーズ第34話參照。

** 当該シリーズ第87話參照。



【ⅲ】


カンテラ「まあみんなして魔界に行つてみやうよ。レクリエイションの一種だと思へばいゝ」-で、カンテラ、じろさん、テオ、悦美、安保さん、杵塚、金尾、涙坐、牧野、時軸と云ふ面子で魔界に降りた。〈翁〉、白虎、ぴゆうちやん、タロウ、ロボテオ2號、君繪、由香梨、「シュー・シャイン」はお留守番である。

「やあ良く來てくれた」と「ゲーマー」、愛想がいゝ。彼は野球帽をあみだに被り、だぶだぶのTシャツにデニム、スニーカーと、およそ【魔】らしくない出で立ち。



※※※※


〈窓の外眺める猫の何思ふ産まれ落ちたる千葉の小山か 平手みき〉



【ⅳ】


「皆さん勢揃ひしたところで、一つ提案がある」と「ゲーマー」。「俺たちも日々の死闘に飽き飽きなんだ。こゝは一つ、ゲーム仕立てに趣旨替へしやうぢやないか」-「巫山戲るな。遊びぢやねえんだぞ」とカンテラ。「だつてゲームの方が面白いぢやんか」-「全く舐め腐りやがつて。俺たちがどれだけ骨身を削つてきたか、分かつてんのか!」-「まあまあ、さういきり立たずに。もつとフランクに行かうよ」



【ⅴ】


ぎりぎりと齒ぎしりするカンテラ。比較的冷靜なテオが訊く。「話を伺はう」-「流石猫ちやん。天才だけあつて話が分かる。かう云ふ提案だ」-「一つ【魔】を斃す度にポイントを進呈しやう。ポイントはその【魔】の強さによつて變はる。詰まりお宅らにとつての、斃す難易度によりポイントが決まる」

テオ「うちらにとつて利點はあるのか?」-「100ポイント迄到達したら、あの* エスパーお嬢ちやんに纏はる、俺ら側の契約を破棄しやう」-カンテラ「何!? 何か保証はあるのか?」-「約束破つたら、そん時や俺の首を差し上げやう。その代はりと云つちやなんだが、あんた方が一回でも負けるやうな事があつたら、全てパアだ。話は最初からなかつた事にする」



* 当該シリーズ第9話參照。



【ⅵ】


(パパ、その男、本心からさう云つてるわ)テレパシーで傍受してゐた君繪が云ふ。「ぢやま、第一彈」

「ゲーマー」がまづ用意してゐたのは、お懐かしや、*「三匹【魔】」であつた。「俺たちが相手だ」「俺たちが相手だ」「俺たちが相手だ」

カンテラ直ぐ様、「こんな雑魚。しええええいつ!!」と撫で斬りにした。「あゝやつぱり。一人頭1ポイントとして、現在の獲得ポイントの累計は、3」


じろさん「何時までもにやついてやがると」と、ぽきぽき指を鳴らした。「おつと此井先生、そいつはなしにしやうぜ」-「ゲーマー」すつと姿を晦ました。



* 前シリーズ第55・58話參照。



【ⅶ】


「畜生。完全に相手に翻弄されてるな、俺たち」とじろさん。「まあ然し君繪が成長出來るかだうかの瀬戸際だ。致し方ない。話を受けやう」-カンテラ。

金尾「問題はだうやつて収入の面をクリアするか、では?」-カンテラ「だうにか『魔界壊滅プロジェクト』に話を付けてみやう」



※※※※


〈靑田から刈田に變ず日本の景 涙次〉



「プロジェクト」の方としては、一體斃す每のポイントに應じて、金額を決めたい、と。さて、『カンテラ』、「ゲーマー篇」の幕開けである。讀者皆様も、獲得ポイント、數へてゐて下さい!(作者が間違へないか、監視の為・笑。)何せ君繪の將來が掛かつてゐる。頑張れカンテラ!!

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