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おわり
君が家を出て行ったのが深夜だったなら、もう暗いからと引き返してきたかもしれない。
君が家を出て行ったのが雨の日だったなら、傘を取りに引き返してきたかもしれない。
君が家を出て行ったのが冬だったなら、寒さで引き返してきたかもしれない。
いや、どれもこれも責任から逃れるための言い訳に過ぎない。
君を忘れたい。
呪縛から解かれたい。
苦しみから逃れたい。
君を知らなかった頃に戻りたい。
こんなに苦しいなら、君と出会わなければよかった。
この頭が無ければ。記憶を保持する脳みそが壊れてしまえばいいのに。
そう思って、思いっきり首をそらして、勢いよく地面に頭をたたき付けた。
どうか最後までよろしくお願いします