翌朝
「オハヨー!コウ」
完全に油断していたところに、急に耳元で大きな声がした。
「そんな、バカでっかい声だすなよ、びっくりするだろ」
「あんたがボーっとしてるのが悪いんでしょ。」
まぁ、ボーっとしてたのは認めるけれど。朝なんて、みんなそうじゃないのか?
と思ったら、例外が目の前にいた。
「コウ、部活決めた?」
「まだだよ。」
昨日の今日で、そんなに簡単に決まるわけないだろ。
「そうなんだ。決まったら、いちばんに教えてね!」
え?なんで?まぁ、ほかに話すやつもいないから、たぶんそうなるだろうけれど。
「じゃぁね。バイバイ」
そういいながら、アユミはつむじ風のように走り去っていった。
なんだったんだ?
校舎に入り、げた箱の扉を開けたときに、心地よい声が耳をくすぐった。
「コウくん、おはよう」
ユリさんだ。やっぱり、落ち着いてるときは、すごく大人っぽい。
しかも、なんだかシトラス系のいい匂いがする。
「おはようございます。ユリ先輩。」
「ございます、は、いらないよ。」
「でも、いちおう先輩だし。」
「いちおう?」
上目づかいににらまれて、なぜか笑っちゃった。
ユリさんも、同じように笑ってくれた。
楽しい。