アユミ
「オハヨー!」
朝から元気なヤツがいる。
振り向かなくても声でわかる。
こいつは、いとこのアユミ。
いつもテンションが高くて、元気があふれてる。
クラスの人気者で、人だかりの中心には、だいたいこいつがいる。
アユミは父さんの姉さんの娘。つまりいとこってことだ。
昨年までは、市内のとなりの小学校だったから、家族で帰省した時にたまに会うくらいだったけど、中学では、同じクラスになっちゃった。
いいヤツだけど、いつもテンションが高くて、ちょっと、ついていけない時も、たまにあるかな。
「コウ、部活決めた?」
コウ、てのは、つまり、僕の名だ。
「まだだよ。てか、まだ部活見学もしてないじゃん。アユミはどうなんだよ?」
「アタシはチアに決まってる!」
そうだった。
彼女は、小さいころからずっとダンスをやっていて、中学のチアリーディング部で全国優勝することが夢なのだ。
「夢なんかじゃないよ。予定。」
はじまった。いつものやつだ。
「アタシの夢はアメリカの大学でチアリーディングで優勝して、プロになること。中学での優勝なんて、通過点だよ」
これ、小学生の頃からずっと言ってるんだもんな。素直にすごいと思う。
「コウもなんかスポーツやりなよ!」
「へいへい。」
かるく聞き流しておいた。
自慢じゃないが、スポーツは全然ダメなのだ。