音
ヒカリ小学校のフェスティバルのことが、頭から離れない。
初舞台は満足のいくできばえだった。
小学生たちも楽しんでくれてたと思う。
でも、タカミ先輩の音楽ライブはすごかった。
音楽も演出もほんとうにかっこよくて、小学生たちも、大盛り上がりだった。
僕らのことなんて、誰も覚えてないんじゃないかな。
比べれば比べるほど、自分たちの作品が貧相に思えてくる。
なんか、ぱーっとかっこよくならないかな。
授業中、ずっと、もやもやしながら、放課後を迎えた。
「違うものだから、しかたないよ。」
と、ユリさん。
わかってる。
僕らのクイズで、あんなふうに盛り上がるわけないし、踊り出す子もいないけれど、去年の文化祭のヒカリちゃんみたいに、楽しんでくれてた子もいたと思う。
でも…。
なんとかならないかな。
「音を入れるのはどうかな。」
「音?」
パワーポイントのアニメーションには、音を入れることもできるらしい。
確かにそうだ。
テレビのクイズでも、問題のあとに、
「ジャジャン♪」
て言うのがあるじゃないか。
それに、正解や間違いのときの
「ピンポンピンポン」
「ブッブー」
を、僕が口で言ってた。
これじゃあ、確かに雰囲気でないよな。
音ってどうすればいいんだろう。
「お兄ちゃんたちが集めた素材もあるし、インターネットでフリーのものもあるから、探してみようよ。」
それから僕たちは、いろんな音を探し回って、たくさんの音を聞いてみた。
音って、どうやってパワーポイントに入れるんだろう。
「それは、こうやってね…。」
ユリさんは慣れた手つきで、アニメーションのメニューから、効果のオプションから、アニメーションに、音を設定していく。
「正解や間違いの時の音はどうやって入れるの?」
ユリさんも知らないみたいだ。
これは、宿題だな。