校内フェスティバル
それからの1か月は、あっという間に過ぎ去った。
ヒカリ小学校。
卒業して、まだ3か月ほどしか経ってないのに、なんだかもう懐かしい。
校門でヒカリちゃんと待ち合わせて、そのまま、体育館裏の控え室へ案内される。
体育館には、もう生徒たちが集まっているようだ。
ほどなくして、僕らの出番の時間。
生徒の前で、プロジェクターの接続、画面の調整。
生徒たちの視線を背中に感じて、焦る。
設定は生徒を入れる前にしたかったな。
なんとか無事に映った。
「ヒカリ小学校のみなさん、こんにちは。」
ユリさんが、ステージの真ん中であいさつを始める。
自己紹介とクイズ研究会の案内を少ししてから、
「では、コウくん、お願いします。」
僕の番だ。
「問題…」
ーーー
「みんな、楽しそうだったね。」
ユリさんが振り返る。
「そうだね。」
僕は楽しむ余裕なんてなかったけどね…。
とは、言わずに飲み込む。
「この後、音楽ライブもあるんで、よかったら見ていってください。」
ひと仕事終えた僕らは、後のステージをゆっくり見学させてもらうことにした。
ーーー
音楽ライブは圧巻だった。
長髪のアイドルのような男子が、ステージの真ん中でスポットライトを浴びて、ギターを弾きながら歌っている。
小学生たちは、音楽に合わせて手を叩いたり、踊り出したり。
かっこいいな…。
誰だろう。僕はあの人を知っている?
「ユリさん?」
「タカミ先輩だよ。うちの中学のバスケ部のキャプテン。」
そうだ!部活見学の時に見た、王子様。
バスケ部は去年の県大会で準優勝。そのキャプテンがバンドのボーカル兼ギター。加えてあの容姿。
神様はどれだけ不公平なんだろう?