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コンピューター ボーイ  作者: てっちゃん
12/20

小さな依頼人

部室にて。


僕は自分のパソコンを毎日、持ってくるようになっていた。

2人で作業するのに、1台だとどうしても不便だから。

ユリさんと、お互いの作った作品を見せ合いながら、「ここはこうした方がおもしろいかも。」なんて意見を出し合っていた。


コンコン、とドアをノックする音。

ユリさんが、「はい。」と返事をして、ドアに近づこうとすると、ドアが静かに開いた。


顧問の黒田先生だ。

僕より年下っぽい女の子を連れている。


先生は部屋を見渡し、僕のパソコンに目を止める。


ヤバっ…。パソコン持ってくるの、許可取ってなかった。怒られるかな。


「あのパソコンは?」


「僕の私物です。」


怒られるだろうな。


「部室に置きっぱなし?」


そこ?


「いいえ、毎日持ってきてます。」


「そうか、落とさないように。」


それだけ?


「先生、その子は?」


ユリさんが話題を変える。


「ああ、きみたちに頼みごとがあるそうだ。」


「はじめまして、ヒカリ小6年のヒカリといいます。」


ヒカリ小というのは、僕の母校。


「ヒカリ小のヒカリちゃん?」


言われた通り繰り返しただけなのに、すごくイヤな顔をされた。これ以上、突っ込んじゃいけないとこらしい。


「ヒカリちゃん、私たちになんのご用?」


ユリさんが優しくたずねる。


「じつは先輩がたに…。」


しっかりしてると思ったら、ヒカリちゃんは児童会長とのこと。要望は、来月の校内イベントで、僕らにクイズ大会をやってほしい、というものだった。


「去年の文化祭、とても楽しかったです。」


ヒカリちゃんは去年のユリさんたちの文化祭に来ていて、あのお兄さんたちが作ったクイズをずっとやっていたらしい。


「鶏肉のクイズがいちばん好きです。」


あの、鶏肉のクイズを友達に紹介したところ、学校中で流行ってしまい、ついには児童会長に推薦されてしまったのだとか。


お兄さん、こんな子にまで影響を与えてますよ…。


「それで、来月、児童会で校内フェスティバルするんですけど、ぜひ先輩がたに力を貸していただきたいと…。」


ユリさんは、ちょっと困っているみたい。

黒田先生に目を向けると…。


「君たちがしたいようにすればいい。」


あぁ、この先生はこれしか言わないんだ。


「先輩がたのご予定もおありでしょうから、お返事は、来週中で結構です。」


ほんとにしっかりしてるな。


ペコリと頭を下げると、黒田先生と一緒に部室を出ていった。


「どうする?」


「私は、やりたい。」


ユリさんがやりたいのなら、僕に反対する理由はない。


「やろう。」


こうして、僕らのクイズ作りがはじまった。

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