進学!
やりました!!
空木遥はスロースタートながら中学受験を乗り越えて、冬哉さんの高校の付属中学に合格できました。
美夕ちゃんと合格発表の場で手を取り合って喜べたよ。
そして春休み。
リコちゃんの家に入った空き巣はまだ捕まっていないのが気になるけど…。
足を鍛えておこう!
いざという時に体力がなくて冬哉さんたちの危機に駆けつけられないとかも困る。
「あ…」
ランニングをしていると むこうから見覚えのある人物が…。
「がんばってるね。脇をもっとしめるといいよ!」
すれ違いざまにアドバイスを受ける。
最近顔なじみになった攻略対象の広瀬夏樹だ。
「わ、綺麗な人」
一緒にランニングに付き合ってくれてるリコちゃんは夏樹さんを初めて見たかもしれない。
「外国の人?」
「顔だちは確かにあっち系だけど日本生まれの日本の人だよ。たしかおじいさんかおばあさんがあっちの人らしいよ」
そう、それこそが夏樹さんのコンプレックス。
本人は日本人として生きてるつもりなのに「外人」とか呼ばれるのがね。
疎外感を感じると言っていた…ヒロインに。
「そーなんだ。日本語上手だなーとか思っちゃった。」
テヘっとリコちゃんは笑う。そう悪気はないんだよね。
だから夏樹さんは普段は笑ってそういう人も許せるんだけど、人間だもの、時にはやるせない気持ちになることも…あるってヒロインに言ってた。
「ねぇねぇ。今日もリリーにあってく?」
「うん!もちろん!」
泥棒に殴られて大けがを負ったリリーだけど、命は助かったけれど歩行に問題が出て、大好きなお散歩に行くのにちょっと支障が出るようになってしまった。
泥棒、許すまじ。
リコちゃんの家へリリーに会いにいくとしっぽを盛大に振って迎えてくれた。
リリーが人間嫌いにならなくて本当に良かった。
「ほらリリー。がんばってリハビリだよ。」
まだお庭しかお散歩できないけど、前みたいに一緒に公園まで歩けるようになるといいね。
ちょっとフラついてまっすぐ歩けなくなってしまったリリー。
可哀そうで哀しいよ。
オヤツで釣って、少しでも歩く訓練をしているんだ。
「そうそう上手よ。リリー」
「キャウン」
「どうしよう。どこか痛かったのかな?」
「がんばって。リリー」
リコちゃんは真剣だ。
「歩かないと、本当に歩けなくなってしまうんだって…。今度プールに連れていくの。
水中で運動して筋力をつけるんだって」
「…リリー」
可愛くて勇敢だったリリー。泥棒と対峙したときはきっとリリーだって怖かったはず。
だけど頑張った。泥棒に吠えて挑んだ。
そんな勇敢なリリーがこんなに苦しんでいる。
「リリーはなにも悪くないのに…」
本当、理不尽だ。世の中には自分で努力すれば何とか出来るのにそうしないで、盗んでまで手に入れようとする人がいる。何て短絡的なんだろう。そして少しも悪い事をしているという自覚はないのだろうか。
何でも自分の感覚と人の感覚が一緒とは限らない。善悪すら、きっと。
大人の遥はそれを知っているけど、子どもの遥はそれに納得ができない。
冤罪までかけられたからね。
自分を良く見せる為に他人を貶める、そんな事して相対的に自分の価値があがったように思うのかもしれないけど、実際は違う。
それに踏みつけられた人はいつまでもそれを覚えている。
何かの折にやり返すかもしれない。
自分がした事を他人からされたらどう思うのか。
まぁ 反省しない人は全然反省しないんだろうけどね。
人の言葉がしゃべれないリリーはやられっ放しって思う?
リリーにはリコちゃんも遥もご近所さんだってついている。
あと、事件を知った全然知らない誰かも泥棒に入られた家の飼い犬が殴られて大けがをしたって事を知っている。
遥ママの知り合いの愛犬家の皆さんのネットワークでも、喧々囂々、泥棒許すまじって息まいているらしいよ。なんか全国的に愛犬家の間で有名になっているらしい。
今までは泥棒に入っても捕まらなかったのかもしれないけど、こんなにご近所さん含め全国的に厳しい視線が集まっているから、きっと今まで通りにはいかないと思う。
黒のパーカーにジーンズ。中肉中背で性別は男。年齢は40~50歳くらい。短髪で身長は170センチちょっとくらい。
留守宅を狙って窓を割って侵入。ハンマーのようなものを持参。
こんな情報でも目撃情報を精査していけば、優秀な警察が検挙してくれるはず。
特に攻略対象の飯塚刑事は優秀だから。




