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愛と終着の奏  作者: いなほ
10/23

人間関係も上履きみたいに新品にできればいいのに


 私が教室に入ると、先に来てた子達がぎょっとしてこっちを見た。


 「空木さん、どうかしたの?」


 なんて聞かれる事もなくヒソヒソされる。


 いやぁなかなかに心が折れる。


 「え?どうかしたの?」


 隣の好感男子の吉田君、君だけだよ。そう聞いてくれるのは…。


 「実はね。びっくりすると思うけど…」


 そう話をしだすと、吉田君と吉田君の友人ズが集まってきて、話を聞いてくれた。


 「あぶないなぁ。」 

 「遥ちゃん、普通そこは通報を先にするとこだよ」

 「空木っておとなしいと思ってたけど、意外と…」


 「え?意外とって何?」

 笑いながら言うと「いやいやいや。ごめん言えない」

 って笑いながら返された。


 こういうやりとりってクラスメートっぽくてすごく楽しい。


 そのまんま楽しい雰囲気のまま担任の先生がきて朝の会がはじまって、1時限目がはじまった。

 うぇぇ。進んでるう。

 冬の星座…星座ブックを作ったんだね?

 私のは出来てないから隣の吉田君のを見せてもらう。

 休み時間にでも作らないとね?


 宿題を集めるの?私はやってないから仕方ない。

 帰ってからやろう。ふむふむ机の中のプリント…これかな?

 今日の音楽は一人ずつリコーダーの演奏?うへぇ課題曲練習、万全じゃないよぉ。


 たった2日休んだだけなのに、世間はどんどん進んでるぅ。

 遥は中学受験するつもりだから、がんばらないと。

 あ、津川。

 目、そらされた。


 まぁ上靴事件は彼女もかかわってるみたいし。私も怒っている。

 視線があわないようにしようっと。

 

 帰りの会で篠宮と津川が担任に呼び出されてた。

 さぁどうでるか?

 逆恨みしてくるか?一旦反省でもするフリしてくるか。


 なかなかに胃が痛い思いだ。

 あと半年。

 あと半年我慢すれば違う学校に行ける。

 もちろんそのためには受験を頑張らないとだけど。


 けっきょくさ?私って彼女達からしたら「仮想敵」じゃん?

 彼女達の中では自分達が正義で私は悪ってなってるんだと思うし。

 彼女達の敵認定がなくならない限り関係が改善することはないと思うのよね。

 それについて遥が思い悩んだり、自分を責めたりする時間がとられるのは無駄だと思うんだよね。

 あくまでも彼女達の問題なんだから。

 とかく転生しても世間は生きにくい。 

 12歳という年齢は、まだまだ社会のルールっていうのかな倫理よりも自分の主観とかが大事だと思ってるんだと思うんだよね。

 そういう子にルールとかやっちゃいけない事とか説明してもなかなか納得できないと思う。


 世の中には成人したってそういうのができてない大人も多いけれどさ。

 

「あー。めんどくさ」

 

「どこがわからなくなってるの?」


 星座表を作ってる時に口にしちゃってたみたいで、吉田が声かけてきてくれた。


「ここからの展開がわからない」


「ああ、そこはね、ここの印とそこの印を合わせてね」


 吉田ってマジでいい奴。 


「わぁ!できた!ありがとう!吉田君」


 「どういたしまして」


 クラスメートってさ。こういう関係が理想だよね。

 ドロドロしたのはノーサンキューだ。


 篠宮が尊が好きなら幼馴染という私抜きで頑張ってアピールすりゃいいし、津川がカースト上位グループに入りたいなら自助努力して入ればいいし。

 そうできない理由を人のせいにしてぶつけてこないでほしいよね。


 あんなお互いの悪口言い合ってるグループになぜ入りたいのかわかんないけどさ。

せいぜい頑張ればいいよ。


 私は私で受験とゲームの攻略者死亡フラグを何とかするので忙しいんだからさ。

 本当、巻き込まないでほしい。



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