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伏せ字

作者: 二杭弐糸

ノリでかいたやつです。

 最近、俺、名藁(なわら)の日常がバグってきている。


 「貧血気味だから鉄分いっぱい摂ってたら体に磁石つくようになっちゃったぁ~」

 「わかる~磁界発生しちゃうよね~」


 登校中の会話でさえも頭がおかしくなっているのだ。


 大体何なんだ。鉄分摂りすぎても磁石はつかんだろ。


 とんちきな通学路を歩き、ようやく学校に着いた。



 教室でもバグは起こっていた。


 「おはよー名藁。古典のノー◯貸して~」

 「な、なんて?」

 「古典のノー◯!もしかしてお前も持ってきてないの?そりゃ困ったなぁ」


 三拍ほど間が空いてようやく気付いた。


 「あ、ノートね。何て言ってんのかわかんなかった。持ってきてるよ」

 「え?俺最初っからノートって言ってたよ?」

 「え?」

 「え?」

 

 え?


 聞き取れなかっただけかと自身の耳の衰えに若干ショックを受けていた。


 だがまた一文字聞き取れないという事態に陥る。

 

 それは選択の音楽の授業での出来事。


 「はい、じゃあ名藁!お前にとって◯ックとはなんだ!」

 「はい?」

 「◯ックだよ!◯ックン◯ール!お前の心に宿ってる◯ックは何かって聞いてるんだよ!!!」

 

 質問を聞く振りをしつつ先生が何と言ってるのかを考える。


 聞こえない文字に当てはまる単語は…なん…あっ!


 「ロックか!!」

 「そうだ!名藁!ロックだよ!お前にとってロックってなんだよ!!」

 当てはまる文字を考えるのに夢中で全く質問を考えていなかった。


 「ロック…は…」

 「おん!!なんだ?!」

 「熱い…志でしょうか…?」


 めちゃめちゃに恥ずかしいことを言った。


 でも満足のいく答えになってるだろ。


 「そうか。」


 さっきの熱量はどこへやら、淡白すぎる返答に背筋から空気まで凍っていた。


 お前なんなんだよ。


 やっぱりおかしい。音楽の先生だって前はこんなに熱量を持った先生じゃなかったはずだ。


 昼休み。隣の席ではキムチ鍋パーティが行われている。


 キムチの匂いが全部こっちに来るから俺の購買のパンはいつもより韓国風味になっている。できればやめてほしい。


 「Uber Eatsでーす」


 おい誰だ。昼休みに丁度着くように出前頼んだやつは。


 教室の匂いが段々と飲食店みたくなってきた時に、ある警報がスピーカーから流れてきた。


 『今、校内にテ◯リス◯が入ってきました。生徒の皆さんは至急体育館に集合してください。繰り返します』


 また、文字が伏せられている


 「え、テ◯リス◯だって~やばくなーい」

 「は、速くいこうぜ!やべぇって!」

 

 みんなの焦り具合と文字列で当てはまる文字は「ロ」だとわかって、流石に危機感を持ち体育館へと急いだ。


 しかし、移動に遅れた俺は体育館に続く廊下で鉢合わせてしまった。

 

 一人。また一人と現れてくる奴らに立ちすくむしか無かった。


 「一人目発見」


 まずい…殺される…っ。


 「他の生徒はどこだ?」


 居場所を言うか言わないか、言ったら殺されるのか。頭を駆け巡り口を開いた。


 「言わない!!」


 「そうか、面倒だな…」


 殺される。こんな日常でも楽しいと思えてたんだ。最近はおかしかったけど。


 俺は目をつむり腹をくくった。


 男は背負っていたカバンを下ろし中から何かを取り出す。


 殺すなら殺せ!


 「よし、やるぞ」


 男は仲間と近付いてくる。


 今までありがとうお母さん、お父さん、友達、保育園の時に好きだった咲妃(さき)ちゃん。


 「おい、何してる。はやくやるぞ」


 そう言って男は俺の分のゲーム機を渡してきた。


 画面にはテトリスが映っている。


 え…?


 俺は考えた。このよくわからん状況をなんとか理解しようと。


 そしてテ◯リス◯に当てはまる文字を考えた。


 あっ。


 こいつら、テロリストじゃなくて、




 テトリストだったのか…。

読んでいただきありがとうございました。

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