ヲタッカーズ23 ヒロピンクラブ
ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!
時空海賊、ギャング、宇宙人の聖都侵略が始まった!
聖都の危機にアキバのCharlie's angels
"ヲタッカーズ"が立ち上がる!
オトナのジュブナイル第23話です。
今回は、路地裏で発見された異次元人の死体から、スーパーヒロイン専門の地下ファイトクラブの存在が浮上します。
"リアルの裂け目"から落ちこぼれた異次元人を専門に闘わせる謎の女が登場、ヲタッカーズタッグも闘いのリングへ…
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 風の星のナウナ
風の星、最期の日。
仰ぎ見る空一杯に輝く不気味なガス惑星。
ピラミッドをかすめて降り注ぐ彗星爆弾。
大地を直撃し地殻が悲鳴を上げるw
「皇女、危険です。こちらへ」
崩れたピラミッドの瓦礫の中を走る2人は、彼方此方に転がるプラズマ人の死体を見る。
「大丈夫ですか?」
「火の星のカプセルだ。コレに乗って来た使節団は?」
「王の勅命で皆殺しです。火の星自身も冷却爆弾で波動が消え、滅びる運命に」
さらに大ピラミッドに直撃弾!
巨大構築物崩落の危機が迫るw
「自業自得ね…でも、私、火の星のカプセルの操縦は出来ない。目的地の設定は?」
「私が出来ます。失礼…」
「カプセル発進シーケンス、スタート」
合成音声を聞き流し、皇女はキャノピーを締め親衛隊長をカプセルに閉じ込め送り出す。
「皇女、何をなさるのです!ダメです!」
「親衛隊長、貴女は生き延びて。最後ぐらいは私に従って。私は…みんなと残る」
「いけません!皇女、私は…」
カプセルは彗星爆弾が飛び交う空へ。
皇女は、星と運命を共にした…のか?
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
時は今。特殊能力観測中のジャドーメッド。
「…そして、脱出したのか?」
「YES」
「…とゆーコトは、ココが大事ナンだけど、君は皇女ではなくて、護衛なワケね?」
「偉大な王族の偉大な護衛だけど何か?」
「悪名高き王族だろ。特に皇女はクズだったって噂だ」
「ウソよっ!その噂は何処から?」
「オカルト雑誌"ラー"の特集で読んだんだけど」
「え?あの"ラー"が?じゃホントなのかしら…で、私がアキバ天文台から"遊星艦隊"に送った信号に応答は?私の他に生き残りはいないの?」
「現時点で応答ナシ」
「そう…それじゃ!暗い話題は終わりにして飲みに行きましょう!踊りは?ガラータは?」
「おぉ強い性格だ!え?ガラクタ?」
「ドラゴンを召喚してやるサッカーだょね?ソレも"ラー"に出てたけど」
「ドラゴンサッカーは無理だけど、遊びならプレステ5とか」
「いいね。じゃあ外でやろう。そのプレなんとか」
「君は、ジャドーの外には出られない。君の力を全て把握出来るまでの安全措置だ」
「…仰せの通りに」
「よし。じゃあ私は行かなければ」
「え?司令官、何処か行っちゃうのですか?」
「プライベートょ」
「貴女にプライベートが?」
「悪い?」
「い、いえ…ははぁラギィね。デート?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ラギィは万世橋警察署の刑事。
デートではなく殺人捜査だたw
「遺体を見る?1時間前にパーツ通りの路地裏でホームレスが見つけた」
ラギィが放置車のトランクを開けると、人型トカゲの死体…黒ブラ&ボトムだと?女子?
「渋谷のハロウィン仮装の帰りかな」
ソコへ舞い降りる、ヲタッカーズ。
飛ぶ系スーパーヒロインのエアリ。
「ホラ、相棒が来たわょ?レイカ司令官」
「エアリ、どの種族?」
「サイヴァリア人ね。地底文明の1つ」
妖精担当のエアリは、地球が冷え固まって以来の存在なので、大抵のコトなら知ってる。
「とにかく、全身が傷痕だらけよ。拳に痣がアルわ。好戦的な種族なの?」
「サイヴァリアは地下の理想郷ょ。住民は興奮するコトも知らない。何か事件に巻き込まれたのでは?」
「爪に皮膚片ナシ」
「じゃあ…彼女が襲撃した方?いずれにせよ、考えられないわ」
「酒場で喧嘩の線は?」
「彼女が死んで、パニックになった犯人が遺体を路地裏に捨てたとか。人類も地底人もやるコトは変わらない」
手袋で遺体を探ってたラギィが声を上げる。
「待って!死体にトゲが刺さってるわ」
「犯人もサイヴァリア人ってコト?」
「…ジャドーは、死体はお持ち帰り?自分達のラボで調査したいわょね?」
「モチロン。万世橋警察署は、街で情報収集をお願い」
「もう始めてる」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ワラッタ・ワールドワイド・メディアHQのタワービル最上階で編集会議が行われてる。
「主筆!今朝、リクエストしたゴミ捨て場で死んでたキリンの記事は?」
「え。あ、調べてたけど、難しくて…ソンなコトより、万世橋のツテから仕入れた殺人事件のネタがある。地底人対異次元人の喧嘩ナンだけど」
「え。昭和な怪獣映画のタイトルみたいですが、大丈夫ですか?どういうネタ?」
「今、話した通りサ」
「主筆のツテは、オフレコなしの情報?遺族のコメントは?検事局にアポは?起訴はいつ?検視結果は?経済的、人口統計学的に地底人と異次元人の関係性を調べましたか?」
「良い質問…ばかりだな。サスガは校閲部長だね」
ヤリ手のサリアCEO不在中にワラッタを任されたスズキくんだが、社内には対抗勢力もw
特に"紙面の独裁者"の異名をとる校閲部長は何かとスズキくんの足を引っ張りたがる←
「主筆のネタはいつも生焼けだ。ちゃんと焼いてから記事にしてください。もっと焼きまくれ!GO!」
全くどっちが主筆やらw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
地下アイドル通りの裏にある"リアルの裂け目"から転げ落ちた異次元人専門の御屋敷。
「おかえりなさいませ、御嬢様。コチラは初めてですか?」
「ただいま。私は異次元人ではないのだけれど、ジャドーのレイカ司令官からココのコトを伺って」
「ヲタッカーズのムーンライトセレナーダーさんですょね?スーパーヒロインは大歓迎です。同じ秋葉原のハミ出し者同士、仲良くしましょう!」
「ハミ出し者同士?…ま、まぁ良いわ。少しお話しを聞きたいの。貴女、ミーンさんょね?"月世界王朝"の最後の生き残りって伺ったけど…ねぇ。どうやって脱出したの?」
「ムーンライトセレナーダー、ソレは…」
「どうしても聞いておきたくて。火の星の追っ手に襲われたでしょ?」
「小惑星帯の抑留キャンプに連れて行かれました」
「ヒドいトコロだった?大勢が死んだとか?」
「家畜みたいに監禁されました。動く隙間もない。囚われた者は無作為に殺され、毎日がパニックでした。風の民の死体が積み重なるのを黙って見るしかなかった」
「どうやって逃げたの?」
「ある火の星の民が上層部に背き、風の民を助けたのです」
「そんな人が?火の星の民の中に?」
「彼女は他のマーシャンとは違いました。私達をコッソリ逃してくれた。今から3万年前の話です」
「生き延びたのは立派ょ」
「私は、生き延びるためなら何だってします」
「似た境遇みたい。ねぇ?絆を結ぼ?」
「テレパシーで?」
「貴女さえよければ」
「今は御主人様方をお迎えスル身なので…また、お願いします」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ジャドー司令部にもリングがある。
トレーニングセンターを兼ねてる。
「おお!もう空手はマスターだね!」
「もっと分厚い瓦が必要ょ。コレでは、楽の勝だわ」
「ソレは"楽勝"だね。言葉は、つなげて言って良いンだょ」
「じゃ楽勝」
ソコヘレイカ司令官がリングインして来る。
「サイヴァリア人の遺体に刺さってたトゲはプレバク人のモノと判明したわ。護身用のトゲらしいけど…恐ろしいわょね」
「プレバク人?」
「秋葉原デジマ法により登録されてるプレバク人は、秋葉原には1人しかいない。住所もわかる。ホント、取り締まりが楽になったわ」
「ジャドーの特殊部隊を送り込む?」
「いいえ」
余裕で断って、スマホを取り出すレイカ。
「ラギィ?私、Missレイカ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
メイド通りの裏通り。
深夜宅急便の荷さばきを急ぐ女子。
ソコへ声をかける女子のふたり組。
「時間ある?」
「なぃわ。誰なの?」
「万世橋警察。殺人の捜査中なの」
「ふーん」
突如女の腕からトゲが飛び出す!
反射的に拳銃を抜くラギィ刑事!
だが、女の鮮やかなソバットがキマって、彼女の拳銃は宙高く飛ぶ。
だが、ラギィは配送車の屋根を飛び越えて、逃げる女に飛びかかる。
さらに加勢に加わるのはレイカ司令官だ。
手強い相手を2対1で何とか取り押さえる。
が、ふたりは背後からスタンガンで襲われ、次々と路上に転がって無残にピクピク痙攣w
「やめて!助けて!」
宅急便女子はバンに押し込まれ拉致される。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ジャドー司令部。
警察と行動中のレイカ司令官が襲われたとあって騒然となりヲタッカーズも駆けつける。
「で、何者に襲われたの?」
「戦闘訓練を積んだプロだと思う。多分傭兵だわ」
「司令官もでしょ!どーかしてる!」
「あら?ムーンライトセレナーダー、不機嫌ね?何かあったの?」
「え?心配ないわ…平気ょ」
「トボけないで!」
「ミユリ姉様、司令官を怒らせると怖いですょ?」
ムーンライトセレナーダーことミユリさんはフト長い長ーい溜め息をつくと話し始める。
「実は、レイカ司令官から"月世界王朝"の生き残りがいると聞いて…」
「え。もう逢いに行ったの?素早いw」
「例の異次元人メイドカフェに行って話してみたンだけど…しくじったカモ」
「なぜ?」
「絆を結びたいと申し出たら…」
「初対面で?!」
「誤解しないで!スーパーヒロイン同士の精神融合のコトょ。伝統的なコミュニケーションで、心を通わせ夢や感情を共有するの。記憶も。互いに秘密を持たない。自己中心的なモノが存在しない世界ょ。嘘もナシ」
「え。ヲタッカーズもソレやってるの?その精神融合を?」
「YES。だって、スーパーヒロイン同士なら普通のコトだから。でも、彼女は嫌がった。私の申し出を退けたわ。スーパーヒロイン同士のつながりって特別なの。絆がより深い。自分を取り戻せる気がするのに」
「そうキチンと伝えなきゃ!」
「とりあえず謝ってみたら?」
スーパーヒロインのエアリ&マリレから助言のダブルパンチだ。
さすがのムーンライトセレナーダーもバツが悪そうにモジモジ←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
で、リーダーのムーンライトセレナーダーをやりこめた?片割れのマリレだが…
司令部の会議室で、コンパクトを取り出し化粧直し…と思ったらホログラムだ。
「ママ。私、ヲタッカーズに入って何とか頑張ってるから」
「自分自身を信じなさい」
「ええ」
通りかかったナウナが声をかける。
「あら、何やってるの?"オビワン、貴方だけが頼りです"ごっこ?」
「プライベートよ」
「ごめん」
「貴女は、スーパーヒロイン能力の測定中でしょ?」
「貴女の大事なTOダマヤ分析官がマッタリしようって言ったから…マッタリって意味不明だけど。さっきのホログラムの人は?」
「ママよ。ママの知識と思考を入力したホログラム」
「風の星にも似た装置があるわ」
ココでホログラムの"ママ"が口を挟む。
「空の星の姉妹星ね?住民は傲慢で強欲」
「ママ、ちょっち待ってw」
「ソレに、わがままで…」
「ごめん。ママが止まらない」
「いいの。割と当たっているし」
「時々こうやって、その日の報告をするの。ホントのママじゃないけど紛れるの…」
「孤独が?」
「YES」
「彼女イケてる」
「誰?」
「貴女のお母さん」
「なるほど」
「空の星では美人をイケてると言うのかと」
「あ、またダマヤがヘンなコトを吹き込んでるのね?ダマヤの言うコトは気にしないで。ソレから彼とマッタリしちゃダメ絶対!」
「それじゃマリレが言葉を教えてよ」
「私が?」
「ヲタッカーズと一緒なら、私は外に出ても安全でしょ?貴女達は世界一強い女子ナンだから」
ソコへマリレに電話。
「はい…あ、ミユリ姉様。はい…えぇ。わかりました」
「情報が入ったの?ヲタッカーズ出撃?」
「いいえ。先ず、ミユリ姉様だけ。しかも…ドレスアップして」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
メイド通りの裏道に、やたらドレスアップした美女軍団…ラギィとレイカとミユリさん。
「キマってる!」
「そぉかしら?貴女も素敵!」
「靴も髪型もバッチリ!」
ソツなく褒め合い牽制し合うがアンクレットの分だけラギィに負けたと思ってるレイカ。
「何が始まるの?」
「お楽しみに。はい、貴女達の分」
「え?楽しそう!」
はしゃぎながら、マスカレード風の羽根付きの仮面をつけて手をつなぐ。
見回すと、他はハデな仮面のタキシードにドレス姿のカップルばかりだ。
廃ビルの地下に通されると、天井から豪華なシャンデリアが吊るされたアリーナ。
カクテル片手の男女に囲まれ、中央にはロープが張られた四角いマット?リング?
「この人達は?」
「秋葉原の富裕層よ。いわゆるIT長者。スタートアップの経営者、銀行頭取とかファンドマネージャー。あとは議員センセと言ったトコロ」
「ココで何を?」
「すぐにわかるわ」
赤絨毯の花道の奥から真っ赤なドレス女子が屈強なボディビルダーに手を取られて登場。
「いくつもの時を越え、彼女達はやってきた。何10億年の時の彼方から…何のために?侵略のため?違う。それとも友好を結ぶため?モチロン、違う。彼女達は、私達を楽しませに来たの」
突如、地下アリーナに大歓声が沸く。
「このリングにルールは無いわ。彼女達は、命を賭けて、私達のために闘い、ピンチに陥る!今宵は、クラブ史上、最大のヒロインピンチよ。青コーナー!原始太陽系の女殺し屋プルバック人、クイン!」
リングに投げ込まれたのは、抜群のプロポーションを誇るビキニ美女…だけど肌が紫色w
「ココは…スーパーヒロイン専門の地下ファイトクラブ?」
「あのビキニトカゲの遺体は、ココのリングで殺されたンだわ」
「しっ!静かに」
真っ赤なドレス女子のMCが続く。
「クインの対戦相手は…負け知らずの美しき獣。火の星の最後の生き残り。ミスマーシャン!」
再び沸き起こる大歓声を浴びリングインしたのは、全身に赤い電流を走らせた女子。
不敵に微笑んで生贄を指差す…電流が消えると赤い肌に黒ビキニのコスプレに変身。
ややっ?彼女は異星人メイドカフェの…
「開始!」
真っ赤なドレス女子が叫ぶと、ロープに青白い電流が流れ、透明なバリアが四角く囲う。
スーパーヒロイン同士の対決だ!
「コレじゃ今宵も死人が出るわ」
「私達も危ないわ。11時方向に恐らく傭兵」
「ソロソロなんだけど…」
突如、ヲタッカーズのマリレがロケット兵装備でリング中央に舞い降りる!
アリーナ全体からドヨめきの声が上がり驚いた真っ赤なドレスの女が叫ぶw
「みなさん!今宵は、予期せぬお客様がリングに乱入です!私も知らされてないサプライズの特別ゲスト。ハガネをまとった女性にしてナチス最後の生き残り、Missライヒ。対戦相手はドレガ」
え。対戦相手も追加?
2対1でボコるハズがw
リングインしたマリレだが、背後から肩をつかまれロープに投げつけられる。
ソレを見て不敵に笑う真っ赤なドレスの女。巨女(デブ専w)のドレガが囁くw
「私、ナチを殺すのは初めてょ」
「ナチじゃなくて国防軍ナンだけど」
「月世界で大人しくしてれば良いモノを」
マリレが殴りかかるが、軽く投げ飛ばされてバリアに叩き付けられる!
リングでは、ミスマーシャンが紫の肌のクインを圧倒!ヒロピン倍増w
お客さんは大喜び←
「ミユリさん、マリレって弱い」
「え?コレってピンチになった方が勝ちナンでしょ?」
「もぉ限界。行くわよっ!」
レイカとラギィは、背後に忍び寄った傭兵にダブルで肘鉄を食らわせる。
ドレス美女の肘鉄に喘ぐ傭兵は腰のホルスターから拳銃を抜き取られる。
そのママ拳銃を天井に向け発砲するラギィ。
「万世橋警察署!全員、その場を動くな!」
ムーンライトセレナーダーはリングに駆け寄り電撃を放ってリングを解放、巨女を倒す。
コーナーポストに逆さ吊りにされ悶絶痙攣、大ピンチで勝利が間違いないマリレを介抱…
「あ、姉様。思い切りピンチだから、私の勝ちですょね?ホラ!私、ピクピクしてますょ?」
「呆れたわ、マリレ」
「だって…TOのダマヤったら、この試合、私に賭けてルンです。負けられない…じゃなかった、勝つワケに行かないのん!」
第2章 メインイベント
とりあえず、労災?の関係もあって、ジャドー司令部メッドへと担ぎ込まれるマリレ。
「本当に平気?」
「デブ専の異次元女にブチのめされたのよ。平気じゃないです」
「スーパーヒロインの闘いを見せ物に?」
「今までの風俗とは次元が違うな」
ひとしきり盛り上がってから、ムーンライトセレナーダーに目配せされて僕が切り出す。
「実は、悪い知らせがアル」
「レイカ司令官が逝ってた女子、えっとキーンだっけ?彼女には裏の顔がアルの」
「裏の顔?」
怪訝な顔をして僕の方を向くレイカ司令官。
「彼女、ヒロピンクラブにいた。レギュラーでリングに上がってたわ」
「ええっ?!」
「リングネームは、ミスマーシャン」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その頃ジャドー司令部の隣室ではナウナがスーパーヒロイン能力のテストを受けている。
「ヒートビジョンもX線ビジョンもなしか。でも、腕力はズバ抜けてる」
「ヲタッカーズ並み?」
「彼女達には及ばない。スーパーブレスもなし。残念だね。空も飛べない。でも、跳躍力は凄い。見上げるビルもひとっ飛びだ。往年のスーパーヒーローを彷彿させるな」
"国民的ヲタク"ダマヤ分析官の言葉に大人しく頷くナウナが、率直な疑問を口にスル。
「ところで、ヲタクの言うスーパーヒロインって、結局のトコロ何なの?」
「アキバに現れ、悪と戦い、ヲタクを救う。ただ、最も重要な要件は、セクシーなコスプレだ」←
「そぉか!私も秋葉原に出たいわ。ココは息が詰まるの」
「ジャドーを出るなと言われてるだろ?」
「外に出たら空を飛べるかも」
「レイカ司令官には逆らえない。僕は、彼女に好印象を与えたいんだ」
「私も好印象を与えたい」
「そのためには、先ずセクシーなコスチュームが必要だ。ムーンライトセレナーダーが(年甲斐もなくw)着てるような奴だな」
「確かに彼女、少し痛いわょね?いくつなの?」←
「永遠の17才ってコトになってるけど、恐らく永遠を2回り…あのコスチューム、僕のデザインなンだぜ」
「ムーンライトセレナーダーの名付け親は?」
「…ソレは、テリィたんだ。彼女のTOだからね」
「ねぇ。私のも考えてょ」
「え?マジで?」
「コスチュームも頼むわ。セクシーな奴。頑張っちゃうから」
「なるほど、君の狙いは読めたぞ!」
「あら、バレた?…ってか、私の狙いって何ょ?」
「俺をおだてて丸め込むつもりだろう?コスチューム作りや命名を頼んでね。ジャドーの外へ連れ出してもらうつもりだ」
「そんなコト、少しも思ってないわ…ところで、ねぇ。せっかく友達になれたんだし、ふたりで実地テストをして手柄を立てない?面倒は絶対起こさないから。ねぇ良いでしょ?どう?ウフッ」
「うーん悪魔の囁きだな」
「貴方は、私の頼みを断れないわ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ワラッタ・ワールドワイド・メディア。
主筆のスズキくんが大騒ぎをしているw
「異次元人が殺された事件で新展開だ!」
「たった2行の警察発表が出たコトですか?」
「ソレが…闇の地下ファイトクラブと関係があるンだ!」
「おぉ。その続きをプリーズ!」
「地下リングの顧客リストにはギャンブル好きな秋葉原セレブ達の名前が!」
「素晴らしい」
校閲部長がキーを叩くと、第1面の紙面割りに「地下ファイトクラブ」の見出しが踊る!
「情報のウラは取れてますか?」
「早速見つけて報告スル」
「匿名の情報提供者は?」
「今はいない…が、コレは真実だっ!」
「証人が必要です。裏を取らなきゃ。ウチは素人ニュースとは違いますぞっ!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
再び異次元人メイドカフェ。
「おいおい!飲み過ぎだろ?コレは"実地テスト"ナンだぞ!」
「先ずは飲んでからよっ!火の星では、乾杯を断るのは最大の無礼なのん!」
「うーん文化は尊重しないとな。でも1杯だけだぞ」
「いっぱい?」
飲め飲め飲め。
ダーツに興じるナウナとダマヤ。
飲め飲め飲め。
ナウナはランジェリーアームレスリング。
「勝った!あら?彼女の腕、変な方に曲がってるわ…ね、ダマヤ。ん?沈没してる?」
ソコへスゴい剣幕で入って来る女子がいる。
ムーンライトセレナーダー?カウンターへw
「ミーン!貴女、ファイトクラブの件を隠してたわね?」
「な、何なの?ソレ、聞かれてナイし」
「だから、絆を結ぶのを断ったのね?バレるとマズいからでしょ?」
「何をしようと私の勝手だわ」
「胴元は?貴女に"ヒロピンクラブ"をヤメてもらうわ」
「彼女は…恐ろしい相手ょ。強力なコネも持ってる」
「私にもコネはアル。ソレに…貴女、自分のピンチを見せ物にされてウレシイの?」
「私は、自分のために闘ってる。コレが現実ょ。嬉しいも何もヲタクが作ったルールじゃない?私は、リングで闘うだけょ」
「目当てはお金?まさか…殺しのスリル?」
「何もわかってないくせに、私を責めないで」
「なら、わからせてあげるわ。貴女には、種族の記憶と誇りを守る責任と義務があるハズょ!」
「記憶も誇りもどぉでも良いの。ソコが貴女とは違うの。貴女は、過去にすがって生きている。でも、私は違うの。過去を忘れたいのょ」
「滅んだ火の星の同胞を忘れられる?」
「もう死んだの。でも、私は生きてる」
「正気じゃない。どうかしてるわ」
「…"ヒロピンクラブ"の主宰ょね?彼女の名はルーラ。ソレと…貴女はココにはもう来ないで」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
メイド通りを走り抜ける白いリムジンを電撃が直撃!路面に火の手が上がる!待伏せだ!
路地の幅ギリで疾駆してたリムジンは急停車!ドアが開いて男達がワラワラと飛び出る!
ムーンライトセレナーダーが立ち塞がるw
「"ヒロピンクラブ"を閉鎖して!」
ボディビルダーに手をとられ真っ赤なドレスの女が車を降りる。ん?手にはシャンパン?
「あら、ヲタッカーズのリーダーさん?でも、閉鎖は無理だわ」
「ルーレ。貴女は違法な賭け女子プロレスを主宰してる」
「あのね。彼女達は、秋葉原のヲタクとは違うの。"リアルの裂け目"から落ちコボレた彼女達には、そもそも人権がないのょ?それでも、法律違反だと言うの?」
「ヒドい話だわ」
「とんでもない!彼女達にとって、戦いは救いでアリ、祈りなの。私は、彼女達に活躍の場を与えている。自分のカラダで稼げるチャンスをね」
「AV女優のスカウトと同じ言い草ね」←
「そーゆージャドーは、彼女達に何を与えたの?ただ、閉じ込めているだけでしょ?」
「強引にビキニで闘わされる者の身にもなって!」
「私への借金を美しいカラダを張って返済しているだけょ」
「死んだら?」
「後釜は大勢いる。半島で闘猫を主宰して捕まったスターがいたでしょ?人間は異次元人なんて、どうでも良いの。猫は大事にしてもね」
「イカレてるわ」
「彼女達が闘うコトは、何者にも止められナイ。流血試合に大金を賭ける金持ちにもね。リングを閉鎖出来ても一時的ょ。ギャンブルを止めるコトなど出来っコない。虐げられた女が生きるために闘うコトもね」
「詭弁だわ」
「ソレから、私はね。勝てる勝負しかしないの。ムーンライトセレナーダー。私は、貴女みたいなお嬢ちゃんに負ける気がしないわ。リングの中でも外でもね」
そして、ルーラはシャンパングラスを目の高さに持って、遠い目をして小声でつぶやく。
「cheers」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ジャドー司令部。
「あの女!シャンパンごと電撃で萌やしてやれば良かったw闘いが彼女達の救いだナンてウソよっ!虐げられた女子の目を覚ますにはどーしたら良いの?」
怒髪天を突くムーンライトセレナーダーを持て余し、ジャドーメンバーは視線を落とす。
その中で、能天気でヤタラ明るいダマヤ分析官が全く空気を読まないコトを大声で逝う。
「いっそ"ヒロピンクラブ"でチャンピオンを目指したらどーかな?!」
「…ダマヤ」
「大丈夫ですょ司令官。僕は、二日酔いナンかじゃアリませんょ絶対…あ、あれ?強制体内アルコール分解光線?」
「ダマヤ分析官!」
「は、はい!司令官様。ナウナ親衛隊長なら、お元気です。ジャドーの中にいますよ…」
「昨夜、メイド居酒屋で身長180のスーパーヒロインが暴れたらしいンだけど?」
「物騒な世の中ですねぇ」
「連れは身長160の男」
「僕は175です…ムーンライトセレナーダー、何か?」
「ダマヤ!貴方、ナウナを連れ出したのね?死人が出なくて助かったわ。良く言い聞かせなきゃ」
「なぜ僕のせいだと?」
「私達はね。秋葉原で苦労してヲタクの信頼を勝ち取ってきたの。でも、貴方1人のせいで全部が水の泡ょ」
「おっと。ナウナ親衛隊長の話じゃないですょね?」
「昨夜…私は、キーンと話した」
しめた!とばかりにダマヤが反撃に出る。
「おーいムーンライトセレナーダーがキーンと会ったンだって!」
ヲタッカーズのエアリ&マリレが文字通り飛んで来る…地下司令部の中の話ではアルがw
「まさか怒鳴った?確かにキーンは問題あるわ。でも、姉様!たった1人の仲間でしょ?全てを失い孤独なハズ。悪党どもとは違うわ。説教してる場合じゃないかと」
「ソレに姉様…ひどい顔」
「ちょっと焦げちゃって…鏡ならさっき見たから」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その足で、ムーンライトセレナーダーは、お隣のメッドに顔を出してナウナのお見舞い。
「ムーンライトセレナーダー!ダマヤは悪くないの。私が…」
「彼は大丈夫。でもね…外出はダメ絶対!」
「レイカ司令官は安全のためと言うけど、ソレはヲタクの安全のためでしょ?」
ムーンライトセレナーダーは、溜め息をつく。
「アキバに来て初めてのパーティでテリィ様と踊ったわ。でも、テリィ様の足を踏んで指3本折った。時間がかかるの。スーパーヒロインがヲタクの生活に慣れるまではね」
「優しくなるのは無理なのかな、私が…」
「でも、私はアキバからはホントに多くのモノをもらった。私は、テリィ様からとても愛された。彼は"良きヲタク"ょ。それだけは、覚えておきたいの」
「と言うと?」
「リア充は完璧じゃない。どんなに頑張ってもアキバを救えない。この街を救うのは、リア充でも、スーパーヒロインでもない。ソレは、ヲタクょ」
「私の王は、風の星が滅びるのをただ観ていたわ」
「ソレも仕方がナイわ。風の王は悪くない」
「…わかった。今後は私、ムーンライトセレナーダーの言いつけを守る」
ナウナは、何か腹落ちしたのか、優しい笑顔をムーンライトセレナーダーに向けて話す。
「で、ムーンライトセレナーダー。ドレガと戦ったンだって?皇女の護衛で戦場に出た時、彼女を見たわ。ドレガは、右足に傷を負ったせいで右からの攻撃に弱いわ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
またまた異次元人メイドカフェ。
「あら、レイカ司令官。さっきヲタッカーズが来たわ。貴女、意外にお喋りなのね。とにかく!お説教なら、もうごめんょ」
「謝りに来たの。貴女のスーパーヒロインとしての生き方に干渉してしまったわ。でも、私は貴女を見捨てない」
「私は…ヒドい女ょ」
次の瞬間レイカ司令官は、背後からスタンガンで打たれて感電、痙攣しつつ床に転がるw
「だから…警告したでしょ?」
「この女を囮に、前回人気抜群だったMissライヒをリングに召喚するわ。コレで、次のメインイベントのカードは決まり。大入り満員間違いナシよっ!」
「私も、Missライヒなら相手にとって不足はナイわ」
のたうつレイカ司令官を見下ろすのはキーンと真っ赤なドレスの女。
スタンガンを手にした傭兵達が、ドレスとメイド服の女を取り囲む。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ジャドー司令部。
「どうしたの?」
「司令官が消えた。緊急事態を宣言。ジャドー全ステーションは第1級非常態勢へ!」
「司令官の携帯は?」
「衛星軌道上のコンピューター衛星"シドレ"が追跡中」
「異次元人メイドカフェ付近に司令官の携帯電波を確認」
「誰かにさらわれたのね?」
「ルーレだわ」
「誰ソレ?あ、ミユリ姉様!何処へ?」
「第2ラウンドょ」
第3章 タッグマッチ&バトルロイヤル
メイド通りの裏道にある廃ビル。
地下への階段を前リボンの真っ赤なフード付きケープを纏った女子が降りて逝く。
赤ずきん?いや、彼女はムーンライトセレナーダー、ケープの下は…リンコスだ。
「今宵のメインイベント!赤コーナー…」
ココで勢いよくケープを投げ捨てると、セクシーコスのスーパーヒロインが…
となるハズだが、誰もいない!あの夜、熱気溢れた地下アリーナは空ッポだw
「ジャドー司令部。問題発生ょ」
「モニターしてるわ、ムーンライトセレナーダー。赤いドレスの女は?」
「いないわ。彼女ドコロか、ヒロピンクラブ自体が姿を消してる!」
しまった!移動式のイベントか?
流行りのレイブみたいwお洒落←
「手がかりを失ったわ」
「招待状が来るハズもないし…どうする?」
「…でも、招待されそうな人を知ってるカモ」
ホント?赤ずきんちゃん、気をつけて。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ヘヴンコープHQビルの最上階ペントハウス。
ルナレCEO率いる複合企業体のアキバ本社。
「困ります!一瞬の隙に…」
「ルナレさん!突然すみません、ミユリです!大事なお話しが!」
「君、待ちたまえ!不法侵入だぞ!」
受付を強行突破したミユリさんに秘書とセキュリティと弁護士が束になって追って来るw
「あらあら。ミユリさんは良いのょ。みんなもミユリさんが来たら、いつでもお通しして」
「ええっ?!しかし、でも、そんな、まさか、CEO?!」
「はいはい。後は任せて…ミユリさん、大事な話って何かしら?」
CEO自ら関係者を追い出してくれるw
「実は。友人が怪しい事件に巻き込まれちゃって」
「お友達?まさか、テリィたん?」
「あ、テリィ様は今回は騒動の真ん中にいらっしゃらないわ。珍しい…で、その事件にルーレってセレブが絡んでルンですが…アキバのセレブならルナレさんが御存知かと?」
「真っ赤なタイトドレスに龍のタトゥでしょ?知ってるわ。ルーレって、ルーレットの略なのょ。ジュネーブで同じ寄宿学校だったわ」
「今宵、お会いしたくて」
「彼女の、あの…何て言ったっけ?」
「ヒロピンクラブ」
「そうそう。ピンチに陥った方が勝ちとか言う変わった女子プロレスょね?毎晩場所を変えてるから、招待状が無いと追えないし、そもそも入れないわょ?」
「今宵のカードに是非出た…じゃなかった、見たいのです!」
「もちろん、私は招待はされてるけど…で、でも、ミユリさんが出るの?私も見に行って良い?」
「え?いや、ソレは…あ、ソレに私じゃなくて…そのぉムーンライトセレナーダーが…」
「あぁ。あの年甲斐もなくセクシーコスの少し痛いスーパーヒロインね?じゃあ興味ナイわ。お友達なの?そー言えば同じくらいの…」
デスクの上を探し招待状を見つけてくれる。
「あ、あったわ。お持ちになる?」
「は、はい…とにかく!この御恩は忘れません」
「あら、そぉ?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
とある超高層ビル屋上のヘリポート。
眼下に遠くネオンが関東平野の形に広がる。
中央に組まれたリング上に赤いドレスの女。
「秋葉原にスリルは足りてる?」
「足りてなーい!」
「バイオレンスは?」
「足りてなーい!」
「今宵、全てを満足させてあげるわ!赤コーナー、ミスマーシャン!そして、今宵の青コーナーは…ムーンライトセレナーダー!」
予想しなかったスーパーヒロインの登場にヘリポートの熱気がヒートアップ!
そして、何よりヒートアップしてるのは、リング上のスーパーヒロイン達だw
「ム、ムーンライトセレナーダー?何で貴女がリングに?落ち目なの?」
「貴女までソレを逝う?とにかく!よりピンチに陥った方が今宵の勝者。ドンドン私に拷問技をかけてね!」
「変なプロレスょね。でも、貴女を勝たせるワケには行かないわ!」
イマイチ意味不な会話がなされる中、ソレを断ち切るように真っ赤なドレスの女が叫ぶ。
「開始!」
赤ずきんケープを投げ捨てると、ムーンライトセレナーダーは黒いセパレートのコス。
対するミスマーシャンことキーンも黒ビキニだが、その肌は萌えるように鮮やかな赤。
殴り合い、ロープに投げ、マットに転がし、最後に相手を組み伏せマウントを取るのは…
「私は、生き残るためならなんだってする。小惑星帯でも!リングでも!」
「人殺しもするの?でも、生きるためなら、ソレを恥じないで!」
「恥じてなんかいないわ!」
「どうやら、金欲しさじゃなさそうね?生きるためなら闘えば良いわ。だから、自分を責めるのもヤメて。もう許されて良いハズ。貴女も、私も!」
「ああっ!ムーンライトセレナーダー、やはり貴女とは闘えない!」
ムーンライトセレナーダーを組み伏せたママで天を仰ぐミスマーシャン。
振り上げたパンチはワナワナと震えたママ、振り下ろされるコトはない。
「フフン。予想通りだわ。さぁ!ドレガをリングに出して!」
「グルルル!」
「私もリングインして闘うわ!ココからはタッグマッチよっ!」
何と真っ赤なドレスの女もリングイン!
ムーンライトセレナーダーに、乙女の禁じ手マンハッタンドロップ炸裂!
絶叫し、股間を抑えてマットをのたうち回るムーンライトセレナーダーw
ドレガはミスマーシャンを卍固めに捉える!
「全員動くな!銃を捨てて…ん?技を解いて、かな?よくわかんないわw」
ソコへ万世橋警察署(アキバP.D.)の警官隊が突入!
現場の"手入れ"は慣れたモノだ。警備のボディガードや傭兵を次々と武装解除スル。
さらに、超満員のセレブ客を大人しく整列させ権利を読み上げ手際よく検挙して逝く。
「お前達には…弁護士を呼ぶ権利も何もない!」
「わかった!その代わり全ては内密に」
「OK!お前達は何も見てないし、何も聞いてない…」
抵抗の素振りを見せた巨女ドレガだが、警官隊に弱点の右膝を警棒で殴られ絶叫スル。
だが、その一瞬の隙をつき真っ赤なドレス改めリンコスの女がペントハウスへと逃走。
「女が逃げた!」
「追え!」
「逃すな!」
拳銃を構え追い詰める警官隊の前に用心棒レスラーがワラワラ出て来るw
警官隊と用心棒レスラーは約同数!睨み合い一触即発バトルロイヤルか?
ムーンライトセレナーダーが割って入る。
「みんな、闘うのはヤメて!確かに、異次元人の貴女達が生きて逝くのは大変だわ。でも、スーパーパワーを持つ者同士が闘うなんて、真っ赤なリンコスの彼女の思う壺でしょ?」
「ソ、ソレもそうだわw確かに…ねぇムーンライトセレナーダー、私達はどぉしたら良いの?」
「貴女達の敵は、リングの外にいるわ。真っ赤なリンコスの彼女、ルーレょ!こんな闘いを続けていると真の問題が見えなくなる。彼女は、貴女達は危険だとアキバ中に逝いふらしているわ。でも、その嘘を真実にしないで!」
ヒューマノイド以外にもトカゲやらウサギやら様々な姿の用心棒レスラー(ブラとボトムで辛うじて女子とわかるw)達が大きく頷く。
警官に取り押さえられた真っ赤なリンコスの女をグルリと取り囲む。女は観念して叫ぶ。
「ギブアップ!投降します」
「貴女を逮捕する」
「わ、わかったわ。でも、何の罪で?」
真っ赤なリンコスの女含むその場の全員が一斉に万世橋警察署のラギィ刑事に注目スルw
「えっ?えっと、そぉね。先ず無免許での酒類販売…かな?懲役2年から始めるけど、どぉかしら?」
第4章 つらい別れ
ところが、真っ赤なリンコスの女ことルーレは翌日釈放となる。
苦虫を噛み潰したような顔のラギィ刑事の前を余裕で歩き去る。
「ラギィ!何があったの?せっかくヒロピンクラブを一網打尽にしたのに!」
「上からの圧力で釈放するコトになった。所轄には抵抗出来ない」
「あら。仕事熱心だけど周りが見えないおまわりさん達に、コスはセクシーだけど少し痛いスーパーヒロインじゃない?全ては、どのタイミングでコネを使うかょ」
白いリムジンが神田明神通りに入って来て万世橋警察署のど真ん前につける。
ウヤウヤしくドアを開けて、ルーレを車内へと招き入れる巨女は…ドレガだ。
ムーンライトセレナーダーと故意に視線を重ねて挑発の眼差し。一触即発の火花が散る。
「昨夜のチャンピオンは、マンハッタンドロップに悶絶したアンタらしいょ。でも、次は譲らない」
「アレは…ウケじゃないの。ホントに痛かったんだから」
「また、いつでも遊びに来て。ムーンライトセレナーダーならいつでもメインイベントょ」
ルーレの挑むような眼差し。彼女を乗せた白いリムジンは須田町交差点方面へ右折スル。
「発信機を仕込むべきだったわ。バカょね」
「ラギィ。貴女は良い刑事だったわ」
「え?優しいのね」
「何だか癪に触るから、朝だけど御屋敷を開けるわ。気分直しに飲む?奢るけど」
「あ、今日は無理…お待たせ」
ラギィのガールフレンドが駆け寄り、彼女の胸に飛び込み、ふたりは優しくキスをスル。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ワラッタ・ワールドワイド・メディアHQタワービル最上階。
サリアCEOが不在中の主筆スズキくんが校閲部長と対決中だ。
「さぁ新しい記事が描けたぞ!」
「主筆、私がダメ出ししたスーパーヒロインの地下ファイトクラブの記事ですか?」
「今度は、万世橋の正式な報告書付きだ。鑑識結果もあるし、オフレコじゃない証言もアル」
「え?証言も?ホントですか?誰の証言?」
「テリィたん」
「ま、まさか…あの"伝説のヲタク"の?神出鬼没で"秋葉原のイリオモテヤマネコ"と呼ばれた彼にインタビューを?!おおっ!そりゃスゴい!」
「フフフ。実は、僕はテリィたんと親しいンだょ。地下ファイトクラブを追ってると話したら、快くインタビューを受けてくれた。だから、コレは彼の正式なコメントだ」
「うーん。いつもながら盛ってますね…冒頭がクドい。長文も多い。とりあえず、AP通信風に書き直して。45分差し上げます」
そう逝いながら"紙面の独裁者"は、キーを叩き、第1面の紙面割りに"地下ファイトクラブ"の見出しを無理矢理ハメ込んでいる。
スズキくんは、小さくガッツポーズ←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その頃スズキくんからインタビューなんて全く受けてない僕はジャドーのメッドにいるw
「ナウナ親衛隊長、調子はどう?」
「あら、テリィたん。絶好調…みたいょ?ミユリさんが、ドレガを倒したんだって?」
「うん。みたいだ。情報thanks」
「推しがスーパーヒロインだナンて、ヲタクにとっちゃ最強ね」
「その分、気苦労も多いンだ」
「テリィたん…私を避けてるでしょ?」
「え?ミユリさんの友達は、僕の友達だ。何で?」
「私は、皇女を護るために秋葉原へ来たの。護るコトが私の務めだったから。でも、実現出来なかった。だから、テリィたんを助けるコトで務めを果たすコトにスルわ」
「え。でも、僕はミユリさんに…」
「私、貴方を護るから」
何処かで聞いたセリフで僕を見るw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その頃最近僕を全く護ってくれないムーンライトセレナーダーは異星人メイドカフェで…
「ムーンライトセレナーダー?もう口もきいてくれないかと」
「ミーン。私のコト、そう簡単には追い払えないわょ」
「ごめんなさい。ガッカリさせたかしら」
「過去は問わない。大事なのはこれからょ。絆だって結ばなくて良いわ」
「わかってくれたの?ありがと」
「貴女に出会えてよかった。このアキバで」
心から安堵した顔をするキーン。
彼女には知られたく無い記憶が…
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
最後に、マチガイダ・サンドウィッチズ。
「"脳髄帝國"は、アキバを実験場にして人類侵略を始めてる…」
「え?独りでブツクサと何だょテリィたん。何か逝ったか?」
「あ。YUI店長、ゴメン。とりあえず、人生ってホットドッグだなって」←
「アキバには、そんな夜もあるサ」
「チリドッグの、この辛ささえあれば良いや」
「おっと。テリィたん。どうやら、今宵はソレだけじゃ足りナイみたいだ…コレで完璧」
バーボンのロック。
「黙って飲めょ。コレが1番美味いンだ」
おしまい
今回は海外ドラマでよくモチーフになる"地下ファイトクラブ"を軸に、クラブを率いる謎の女性、それぞれの事情からリングに立つ風の星の女親衛隊長、火の星の生き残りの女バーテン、そしてヲタッカーズの面々などが登場しました。
海外ドラマで見かけるNYの都市風景を、第2次コロナ宣言の前倒し解除がなくなる秋葉原に当てはめて展開しています。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。