初武器合成と新カップル誕生
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こんなにポイントが増えるなんて思ってもいませんでした。本当に感謝しています。
「玲奈! ゲームできる?」
自室に来て、すぐに僕は玲奈にそんな話を切り出す。
とりあえずは二人の共通の趣味であるゲームをやろうと考えたのだ。
「できるわよ!」
玲奈はそう言って、リュックの中からグレイド・リヴァー・オンラインをプレイするために必要なものを取り出した。
「用意がいいなぁ……」
「きっとこうなると予想してたのよ!」
「さすが!」
僕は喜びをほほに浮かべながら言葉を返す。
「とりあえず、トモに連絡するわ!」
僕はラインを開いて、友哉にメッセージを送る。
普段は一分もかからずに返信が返ってくるはずなのだが、十分経っても返信が返ってこない。
僕はもう先にゲームをプレイしてるのだろうと結論付けた。
「私はどこでログインすればいいの?」
玲奈が僕の部屋をきょろきょろ見ている。寝転べる場所を探しているのだろう。たが玲奈を地面に寝かせるつもりはないので、僕はある提案をする。
「僕のベッドを半分こしてログインしよ!」
僕は玲奈をベッドに座らせる。玲奈は少し顔を赤らめていたが、気にしない。
そして、玲奈はベッドの奥側に横たわった。僕も隣に寝転がりゲームにログインした。
***
僕とツキナは同時に起き上がる。現実世界で同刻にログインしたのでこうなる。
現実世界の体は今僕の部屋で仲良く横たわっている。親が来ても寝ているようにしか思えないはずだ。そんなことを気にする必要はないのだが……。
「よぉ! ツキナ!」
「ヒビト! こんにちは」
さっき現実世界であったばっかりなのだが、いつも通りに挨拶をする。
僕はさっそくフレンドリストを開いてトモがログインしているか確認すると現実世界で予想していた通りにログインをしていた。僕はトモにチャットを飛ばす。
ヒビト
今、ログインした!
トモ
遅いぞ! まぁいいけど……すぐに宿に行くわ!
ヒビト
了解!
「トモが今からすぐ、ここに来るって!」
「そう!」
トモがここに来るまで、二人で待つことになった。
待っている間、リンクメニューをいじっているツキナがあまりにも可愛かったので後ろから抱きついた。
「急にどうしたの?」
ツキナは恥ずかしがるそぶりも全く見せずに質問をしてきた。
「可愛かったから……つい……」
「ありがとう!」
ツキナはにっこりしながら僕に言葉を返した。(マジで可愛い‼︎)僕はツキナの笑顔を見てノックアウトされてしまった。
そんな事をしているうちにトモが宿に帰ってきた。
「おっす! ヒビト! ツキナ!」
「よぉ! トモ!」
「こんにちは、トモ!」
挨拶を交わす。
「報告があります‼︎」
トモが喜びを顔にみなぎらせながら言ってくる。トモがああ言う顔をするときは何かいいことがあった時だ。
「何があった?」
トモはリンクメニューを操作して、武器と防具を装備した。
トモを見てみると、緑色ベースの狩人服に緑色のマント。背中には服と似た色の矢入れ。そして体の半分以上の大きさで先端が鳥の羽のような形をした弓を持っていた。
「これは?」
「ユニークシリーズの装備で狩人!」
「おめでとう!」
僕とツキナは同時にトモを激励する。
どうやらトモも僕とツキナと一緒で、ユニークシリーズの装備を手に入れたみたいだ。
これでパーティー全員がユニークシリーズを手に入れた。
「シリーズスキルの【一望千里】が強いんだよな!」
「どんなスキルなの?」
「一キロメートル先まで、はっきりと見える」
「それはトモにぴったりのスキルだな!」
「だろ! だろ!」
トモは興奮して胸がぞくぞくしているみたいだ。
僕もユニークシリーズの装備を手に入れた時には同じような気持ちになったので、トモの感情が手に取るように分かる。
「ちなみに、武器の名前は?」
「霍公鳥だ」
「そうなのか……武器スキルは?」
「それは内緒!」
僕はトモが武器スキルを言うように誘導していたのだが失敗した。少し残念に思う。
「ツキナ! リリが作ってくれた装備を全く使ってないんだけど……どうすればいい?」
トモがユニークシリーズの話をした時にリリが作ってくれた装備を全く使っていないことを思い出したので、質問した。
「合成すればいいんじゃない!」
「合成?」
「ようは強化をすると言うことよ! スキルも引き継げるし、運が良ければスキルが手に入るかもしれないわよ!」
「そうなのか! なら今日はリリ武具店に最初に行こう!」
僕はわくわくする気持ちを抑えることができず、勝手に最初に向かう場所を決めてしまった。
それでもトモとツキナは僕の意見に賛同してくれたので、リリ武具店に向かうことになった。
「また、来てくれたんだ! ツキリンとヒビト!」
店に入るとリリが明るく出迎えてくれた。店に来るたびに人が増えているような気がする……。
「当たり前でしょ!」
「リリほど腕のいい人はいなかったからな!」
「ありがとう!」
リリはまぶしいような深い喜びを浮かべて答えてくる。
この顔もツキナに負けないくらい可愛い……。
「で、そち——」
リリはトモのことを聞きたかったのだろうが、僕たちに質問するよりも早くにトモがリリに近づいたので、びっくりして最後まで言葉を言うことができなかったみたいだ。
「俺と付き合ってください!」
(出たよ……トモの悪い癖……)僕はあきれ返って何も言えなかった。
今回もどうせ失敗で終わるのだろう……。
「いいよ!」
「え? マジ?」
僕はリリが予想を遥かに超える回答をしたので、心の声が表に出てしまった。
トモもまさか成功するとは思わなかったみたいで、目を丸くしている。
トモの表情を見て、(失敗すると思っているならやるなよ)と突っ込みたくなったが成功してしまったので、何も言えなかった。
「リリ! 考え直したら! トモは美人が目の前に現れるとこうするのよ!」
ツキナもトモの性格を理解したらしく、リリに考え直すように訴えかけている。僕もツキナと同じ考えなので頷く。
「一目惚れしちゃったから! それに……もし今後そのようなことをしたら殺す!」
リリはにやりと笑いながら、恐ろしいことを言っていた。リリは敵に回さないほうがいいかも……。
「ぜ、絶対しません!」
トモもリリの怖さを実感したのか、真顔になってしまっている。
「それならよし! ところでヒビト、今日は何を作って欲しいの?」
リリはさっき言ったことが無かったかのようにいつも通りの口調で話しかけてくる。
それでも僕は心臓の鼓動が早くなるのを感じている。
「今日は生産じゃなくて、合成をして欲しい」
「分かったよ! 何に何を合成させるの?」
「僕が今、装備しているものにリリがこの前作ってくれたものを……」
僕は少しビクビクしながら答える。
さっきのリリの殺すと言う衝撃的な言葉が頭から離れないからだ。
「いいよ! すぐやるから装備をこっちに渡して!」
「分かった……」
リリが作ってくれた装備を合成させると言ったら怒るのではないかと考えていたので、そうならなくてよかったとほっとする。
合成は五分もかからずに終了した。僕は再びリリに預けた雷鳴シリーズを装備する。
【雪月花を獲得しました‼︎】
「おっ! スキルゲット!」
「あいかわらず、運がいいわね!」
「ヒビトすごい! 合成でスキルを獲得できる確率は1%くらいなのに……」
ツキナとリリが頭に驚愕の色を浮かべていたので、僕はやっぱり運がいいと自負する。
僕は雪月花の説明を見てみることにした。
【雪月花、溜め技、四連撃。スキル発動中のみ一撃当てるたびにSTRが上昇し、最大五倍になる】
また強力なスキルを手に入れてしまった……。