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一目ぼれ

 このゲームを始めてから一か月でトップランカーに昇りつめたツキナは街を歩いていた。

 一か月前にお兄さんにこのゲームを進められて、何となく始めたゲームだったのだが予想以上に面白く、一日に八時間以上もゲームをするくらいどっぷりとはまってしまったのだ。

 

「いつ見ても、この桜はきれいだわね」


 ツキナはこの街全体に咲いている桜を見て、このような感想を述べる。

 このゲームは島がテーマなので、ここは春の島とでも言っておこう。まだ分からないがいずれ別の季節をモチーフにした島が出てくるかもしれない。


「暇だわね……」


 ツキナは頭の中で、今から何をしようか考える。


「とりあえず、アイテムを売りに行ってから街を観光しようかしら」


 このゲームは観光しても全く飽きないくらい作りこまれているので、こんな考えが浮かんだ。ツキナはいつもアイテムを売っている鑑定屋に足を進める。


「いらっしゃい! ツキナ!」

「こんにちは、シギルさん」


 この男性プレイヤーのシギルさんはゲームを始めた当初にいろいろレクチャーをしてくれた優しい人だ。その縁があってかすっかり常連さんになってしまっている。


「ツキナが店に来てくれるおかげで、売り上げがうなぎ上りだ。本当にありがとう!」

「どういたしまして」


 ツキナはシギルに返事をした後、いつも通りにいらないアイテムを買い取ってもらう作業を始めた。売ったことで手に入ったお金はざっと一万ゴールドくらいだ。売れなかったアイテムは勿体ないけど捨てることにする。


「ありがとう! また来てくれ!」

「分かったわ!」


 ツキナはそれを言い残して鑑定屋を後にして、観光を始めた。この街はかなり広いので、一時間だと回れないかもしれない。

 三十分くらい街を歩きながら観光して、新規でこのゲームを始める人が最初に現れると言われている噴水広場の前に通りかかっていた。

 

「懐かしいわね」


 ツキナは自分がこのゲームを始めたときのことを思い出していた。ツキナが懐かしさに浸りながら、噴水広場を眺めていると光が発生し、男性が現れた。


「本当にここは、新規でゲームを始める人が現れる場所なのね」


 噂話だったので、あまり信じていなかったがこの現象を見て確信に変わった。

 男性は周囲をキョロキョロしており、不意に顔を見ることができた。その瞬間、長年探していたパズルの最後のピースを見つけたような気分になった。何だろうこの気持ちは……。

 男性は前から来た女性二人組の元へ駆け寄っていき、何かを話しているようだ。数秒後、男性は先程よりも落ち込んでいるように見えた。女性二人組に何かを言われたのだろうか……。

 ツキナは男性を慰めようと近づいていき、肩をたたいた。

 

 

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