スキル検証
ヒビト(Lv35)
ステ振り可能なポイント 0
HP 1800
MP 440
【STR+70】
【VIT+0】
【DEX+35】
【AGI+0】
【INT+0】
スキル
【達人芸】
【弱点特攻】
【麻痺無効】
【雷無効】
【帯電】
【瞑想】
【窮地】
【雷電】
【幸福】
【歌唱】
【兜割】
「やっぱりAGI上げていなかったか……」
トモは僕のステータスを見てそのようなことを呟く。
ここまでSTRとDEXにだけ振ってきたし、十分間だけAGIをSTRと同じにする【疾風迅雷】と言うスキルも持っているので、このままずっと突き進むつもりだ。
「上げてないな! そして今後もAGIを一切あげるつもりはない!」
「言い切るなよ……まぁ、ステ振りは本人の自由だからどうこう言うつもりはないけど……」
「トモはどんなスキル手に入れた?」
「俺はこんな感じだ!」
トモは僕にステータスとスキルを見せてくれた。
トモ(Lv20)
ステ振り可能なポイント 0
HP 1050
MP 290
【STR+30】
【VIT+0】
【DEX+16】
【AGI+14】
【INT+0】
スキル
【射手】
【貫通矢】
【幸福】
【歌唱】
【火炎矢】
【水冷矢】
【風流矢】
【射撃上手I】
「トモもたくさんスキル手に入ったな!」
「おかげさまで! スキルの検証をしたいな!」
「僕も同じく!」
僕もトモの意見に賛同する。
新しく手に入ったスキルの【兜割】を試してみたかったからだ。
「ツキナ! 溜めスキルって何だ?」
「溜めスキルはスキルを発動するまでに時間が少しかかるものよ! タイミングを考えないとやられてしまうわ!」
「なるほど……」
【兜割】を使う時はタイミングを考えないと簡単に攻撃を受けてしまうらしい。
頑張って使いこなさないといけない……。
「今から個々でモンスターを倒していきましょ!」
ツキナの一声でスキルの検証を始めることになった。
僕は三十メートル先にいる白色の花を頭につけた植物系モンスターに狙いを定めることにした。
【兜割】は遠距離攻撃ができるスキルらしいので、あの距離でも命中させることが可能だ。
遠距離攻撃ができるようになったのは非常にありがたい。
僕は星斗天雷刃を頭上に持っていき、振り下ろした。
星斗天雷刃を振り下ろすと斬撃が白色の花をつけた植物系モンスターに向かって飛んでいく。
斬撃は白い花をつけた植物系モンスターを真っ二つに斬り裂いてから十メートルくらい進んで消えた。
「おぉぉ! すげー!」
僕は感慨に打たれて、思わず声を上げた。
この攻撃の射程は四十メートルくらいあるので、戦闘幅がかなり広がった。
新しく手に入れたスキルの検証が終わったので、トモの方に顔を向ける。
トモは赤色の花をつけた植物系モンスターから六百メートル離れた距離から弓を構えて狙っていた。
何であの距離でモンスターを狙っているか気になったので、後で聞いて見ることにした。
「ウォーターアローウ‼︎」
トモは水属性を纏わせた矢を赤色の花をつけた植物系モンスターに放つ。
矢は見事に赤色の花をつけた植物系モンスターに命中した。
「やっぱり、すごいな……」
あの距離からでも的確にモンスターに当てるなんて、人の限界を超えてしまっているのではないか……。
その後もトモは同じ距離から新しく手に入れたスキルを使って検証を行うと同時にレベ上げを行なっていた。
僕もトモに追いつかれないようにレベ上げを行う。
ツキナはあいかわらず広範囲魔法でモンスターを倒している。新しいスキルは手に入ったのか、どんなスキルを持っているかが非常に気になるところだ……。
それからしばらくして、レベ上げとスキル検証は一時間近く続き、僕のレベルは37になった。
「そろそろ街に戻らないか?」
僕は少し離れた場所にいるツキナとトモに聞こえるように大きな声を発する。
僕の声を聞いたツキナとトモはこちらに近づいてくる。二人も休憩をしたかったみたいだ。
「トモ! 何であの距離からモンスターを狙っていたんだ?」
僕は一番、気になっていたことを質問する。
「あれは……【射手】スキルの検証で、あの距離からだとSTRが六倍になるんだ」
「そう言うことね……」
僕はトモが六百メートルもモンスターから離れて弓を射っていた理由が分かった。
トモのプレイスタイルに合ったスキルだと改めて理解した。
他のプレイヤーならこんな倍率を出すことができないと思う。
「ヒビトもトモも脳筋タイプのプレイヤーね!」
「ゲーム内の脳筋って何?」
ツキナが僕の知識外のことを言うので、質問する。
「脳筋と言うのは力押し一辺倒なプレイのことを指すわ!」
「力押しね……よく考えてみるとそうだな……」
僕は納得する。
ステータスはSTRを多めに振っているし、手に入れたスキルがSTRを上げると言うものが多いからだ。
僕たちはレベ上げを切り上げて街へと戻っていく。街に着いて、いつもログアウトする時に使う宿に戻ってきた。
一人、増えたのでお金を払って三人部屋に移動させてもらった。移動した部屋は二人部屋の時に比べて、圧倒的に広くなった。
「一旦、ログアウトしよう」
現実時間の時刻を確認すると十七時になっていたので、僕は夕飯を取るためにこんな提案をした。
「いいわよ!」
「りょ!」
ツキナとトモも賛成してくれたので、ログアウトをすることになった。
「じゃぁ! 次やり始める時にラインして!」
トモはそれだけ言い残してログアウトをした。
残されたのは僕とツキナだけになったので、今日ずっと話そうとしていたことを言う。
「今日、僕の家で夕食を一緒に食べない?」
「いいわよ……」
ツキナは緊張した口調で答える。
(これは家デートになってしまうか……緊張するのも当然だな……)とりあえず来てくれるみたいだからよしとしよう。
「家の近くの駅まで迎えにいくよ!」
「ありがとう……」
「ログアウトしてからすぐに向かうわね……」
「おう! 駅に着いた時に連絡して! すぐに迎えにいくから!」
「うん……」
(最後の返事は可愛かったな)僕はついついツキナを見つめてしまう。
「どうしたの?」
「何でもないよ!」
「そう、また後でね!」
「おう!」
ツキナはログアウトしていく。
僕はツキナがログアウトをしたのを確認してから、アサとヨルにご飯をあげて現実世界に帰還した。