第45話 聖霊と人と世界
ゴールデンウィーク最終日。私も疲れを癒しに行ってきます笑
「・・・それでネイマとテテュス、2人と居るのか。ふむ・・・そういう聖霊との出会い方もあるんだな。」
話を聞き終え、何かに書き留めていくグァレンド。
テテュスはフラムに興味津々で、話をしたそうにチラチラみている。
『何でフラムのこと気付けなかったんだろ?』ネイマもじーっと見ていた。
「あなた達、まだ幼体でしょ?私は成体だから。聖霊の気配を消すことができるの。」
『そんな事できるの?!』『どうやって?』
「そうねぇ。言葉で伝えるのは難しいわね。聖霊ではなく、人の気配に慣れるというか、成るというか?」
『わからないー。』『わからないわね。』
「ふふ、まぁ長く生きていたらだんだんわかってくるものよ。」
『そうなの?』『焦っちゃダメってことよね!』
なんかこうやってみてると聖霊って感じしないよなぁ。でも、私やグァレンド以外には見えてないんやから不思議やわ。
聖霊同士で話しているのを横で見ていると、肩をトントンと指で叩かれた。
「話しておきたいことがあるんだが。」
聖霊について、グァレンドは書物としてまとめているらしい。フラムと出会ってから色々と書き溜めているとか。それで、私にもそれを手伝って欲しいという相談だった。
冒険者として最初はそんなに稼ぎもないだろうから、”聖霊に関する情報集めの依頼”として受けてくれないか、と言われた。
「依頼じゃなくてもいいんですけど。聖霊の情報っていっても色々ありますよね?もう皆が知っているような事なのか新発見なのかがわからないから・・・。」
「そうか・・・。じゃあこれをやろう。」
小さい手帳を渡された。なんか魔力を感じる。
「この手帳は?」
古代の魔道具で、昔冒険者だった頃に手に入れた物らしい。何かを書きこんでページを破ると対になっている書物に転記され、不思議な事にページは後で元の状態に戻るんやって。
「古代の魔道具って、遺跡とかで手に入れられるんですか?!」
「そうだよ。世界中の商人達や貴族なんかが収集していることもあるから特別な店で売っている事もある。希少なものだし、数は少ない。一生のうちで必ず手に入れられるものでもない。」
「ただね、未発見の古代魔道具はまだまだ眠っているかもしれないな。だから冒険者稼業は夢があるんだよ!」
冒険者楽しそう~!やっぱお宝がないとモチベーション上がらんよな!!
「あ~話を戻すと、それにメイが見聞きしたことを書きこんでくれればいいと思ってな。報告書みたくきっちりではなくて、気になったことや噂話、絵でもいいんだ。些細なことでも聖霊の情報は貴重なんだよ。」
「わかりました!それならやってみます。手帳預からせて頂きます。」
「よろしく頼むよ。そのかわりというか、メイが困ったことや何か聞きたいこと、何でもいいが儂にできることがあれば手を貸す。その手帳で連絡してくれ。」
「ありがとうございます。」
その後も聖霊について色々話をしてくれた。自然界の魔力を常に一定に保っているのが、聖霊達の役割の1つではないかという。聖霊達の存在がこの世界の魔力に大きく関わっているのは確かだが、はっきりと世界と聖霊の関わりや人にもたらす影響などは解明されていない。
「魔法を使える者は、自然界の魔力を取り込んでいるのは知られている。それと最近魔法を使える者が増加していてな。それに反比例するかのように聖霊の存在が減っている気がするんだ。」
「どうして減ってるってわかるんですか?」
「はっきりとではない。・・・数年前は各国のギルドに寄った際には時々聖霊を感じたり、見かけることが多かったんだが。ここ最近はそれが少なくなったように思えるのだよ。」
「聖霊がそこかしこにいるのかぁ。」
「まぁ、フラムのように気配を消せるものもいるからなぁ。ただ、精霊と契約している者を『聖霊使い』と呼んでいるが、そういう奴もなかなかお目にかかれなくなってきたな。」
単純に聖霊という存在は謎が多いので調べたいと言う探究心と、聖霊が 魔力を発生させているとして、それを消費する人側が増えていることで聖霊に何か影響し、魔力の枯渇などになった場合、この世界にはどう影響するのか。
レイグラム・ドランダスは剣と魔法の世界やから、魔法だけで成り立っているワケではない。これから人の生活にどう影響するかも今はわからない。そういう事も含めての聖霊研究らしい。
「僕の集める情報がお役に立つかはわかりませんが、聖霊がこの世界にとって重要なのはわかります。お手伝い頑張ります!」
「ありがとう。1人でも多い方が助かるからな。他の冒険者や商人にも協力者はいるんだ。また機会があれば紹介しよう。」
「楽しみです。よろしくお願いします。」
話し終えたのを見計らったかのようにフラムがネイマとテテュスを連れて来た。それからは、皆でしばらくティータイムを楽しんだ。