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第42話 義兄弟の契り

部屋に戻り、ゴウから何があったのか聞かれたので話した。


「“義兄弟の契り”を交わしたのか?!」

「え、うん。だって船長酔ってたのか、勢いが凄くて断るもなにも押しきられた感じで・・・。」


「メイ・・・。お前さぁもうちょっと警戒した方がいいぞ?相手によっちゃあ利用されることだってあるんだからな?!」

「船長に限ってそんなことある?」


「まぁそう思いたいけどさ。カコさんと親密な事を知って、情報を手にいれようとしているのかも知れないし、何かの時に駒にされるのかもしれない。」

「“裏切るな”って、言ってた。それは船長に害をもたらすな、って意味かと思ってるんだけど。」


「そうかもな。ただ、『義兄弟の契り』は海の男にとって強力な効果を発揮するからなぁ。」

「そ、そうなの?」


「まぁ、“裏切り者には死を!”って感じだな。義兄弟が例えば殺されたりすると、一生をかけて相手に報復する奴とか、本人ならお互い殺し合いになったりさ。」

「そ、そんな感じなの?まずかったかな・・・。」


「いい面もあるぜ?特に船長や幹部クラスの人と契りを交わせば、その人が後ろ楯になったも同然だから、文句言う奴はいなくなるだろうな。」

「それって逆に嫉妬の対象にもなるんじゃないの?」


「・・・かもな。」

「ゴウ!秘密にしといてよね?!」


「わ、わかってるよー。誰にも言わねぇよ!」

「はぁ~・・・やっちゃったなぁ。」


その後、周りから何かされるかもってビクビクしてたけど、特に何事もなく【マレ・リベロ国】に到着した。



―――――――――――――――


港に着くと、物凄い人集りでガヤガヤと行き交う人や物で溢れかえっていた。


『【カタ】より大きいねー!』

『美味しいもの、たくさんあるといいな♪』

ネイマもテテュスも大興奮。さっそく聖霊体になって散策に出掛けていった。


私達もいつものように積み荷を下ろす作業に追われ、あっという間に日が暮れてしまった。


「終わったぁ。」「腹減ったなー。」

ゴウと2人で港周辺の屋台を食べ歩きし、そのまま宿屋に向かった。


港周辺は、宿屋、酒場、食堂や屋台と暗くなっても人が多く、客引もちらほらいる。


今までと違って露出の多い女性がいて、船員や冒険者、商人に声をかけて宿に消えていく姿もあった。


「噂通り、賑やかだよなぁ。」「そうだね。夜の街って雰囲気もあるね。」


「・・・そういえば、メイは彼女とかいるのか?」

「え?!急にどうしたの?・・・いないよ。」


「まぁ、俺も彼女はいないけど気になる奴はいるぜ?」

「そうなの?!どんな子?」


「人族で、ちょっと気が強くて職人目指してる奴なんだ。」

「へー。学校が同じだったの?」


「いや、幼馴染みだよ。」

出たー!!定番、憧れの幼馴染み設定。○ナンもタッ○もみんな幼馴染みカップルやしな。


「いいねー!幼馴染みって響きがいいなぁ。」

「そ、そうか?でも近すぎて今さら何て言っていいかわからないぞ?」


「いやいや、一緒にいて当たり前って思ってたのに、今回みたいに離れた後で急展開!とかあるかもしれないよ?」

「・・・なんでメイが盛り上がってるんだよ。」


「恋バナ最高!」「は?こ、コイバナ?」

「恋愛の話だよ。久しぶりでなんか楽しくって♪」


「なんだかなぁ。これが義兄弟の契りを交わした奴なんだから・・・気が抜けるぜ。」

「何か、進展があったら教えてよ?」


「まぁ、ないと思うけどな。」

「それはゴウ次第でしょ。」


宿に着くまで根掘り葉掘り、ゴウの想い人について詳しく聞いた。

さすがに照れて、”俺ばっかりズルいぞ!”と火の粉が降りかかりそうになったので話を止めた。



ーーーーーーーーーーーーーーー


『マレ・リベロ国』では、主に漁業と交易品の売買、船の補修や食料・衣料品の補充など、航海も残すところ半分という事もあり、遠洋漁業を最後まで無事に終えるための準備をする目的もあるらしい。


船の仕事も午前中だけとか、後は好きに行動してもいいいと言われている。

ただ自分の行動に責任を持って、自分の身は自分で守るようにといつも以上に私達下っ端はきつく言い渡されていた。


昨日ネイマとテテュスが自由に動き回ってくれていたから、色々と情報も手に入った。

これを元に休日は観光とか探検しようと考えている。


「ちょっといいか?」ライトにめずらしく呼び止められた。

”ついて来い。”と酒場に連れて行かれて、個室に通された。


目をキョロキョロさせていると「こんな所ですまないな。静かに話せる場所といやぁココしか思いつかなかったんだ。」ライトが自分に酒、私には果実ジュースを注文してくれた。


やっぱ船長のこと、かな?


飲み物がくると、一気に酒を飲み干して速攻で2杯目を頼んでいる。ペースが速いよ・・・。

「はぁ~。この1杯目が最高なんだよな!って、お前にはまだわからんか!」


「あの、ご用件は何ですか?」間が持たなくて、私から話を切り出した。

「あ、あぁ。お前とモリー船長の事だ。俺は回りくどい事はできないからな。昨日何があったんだ?」


諜報員疑惑を問われ、説明したら”義兄弟の契り”を交わすことになったとそのまま伝えた。


「・・・そうだったのか。俺はな、お前については気にとめていなかった。新しく入った下っ端程度だな。ただ、ナイトの奴がかなり気にしててな。カイトの兄貴はまぁ、どんな奴にも警戒してるんだが・・・。」


「僕は船長とそんなに親しくありません。でも、船長は下っ端にも色々声をかけてくれるから・・・。僕達も無下にはできないですし。それに船長自体は嫌いじゃないですから普通に話しますよ。」


「だよなぁ。・・・お前は悪くねぇよ。まぁ恐らく船長がお前を周りから守るために、あんな大層な儀式をしちまったんだな!あいつ(モリー船長)は本当に昔からお節介で世話焼きなんだ・・・。」


そういえばこっちも考えようによったら、キララ3兄弟とモリー船長は幼馴染ってことやもんな?

うわ・・・兄弟で恋のライバルの可能性もあるよなぁ。


「よし、わかった!俺もモリー船長を支持するぜ。お前を信じてやる。だから、 海の男の掟(義兄弟の契り)を破るなよ?!」

「もちろんです。僕が諜報員ではないことは誓います。」


「おし!それで十分だ。俺達3兄弟も、船長とは”義兄弟の契り”を交わしているから、お前は仲間だ。これからは俺の事も頼っていいぞ!」

「あ、ありがとうございます。」


それから5杯目まで付き合わされて、小さい頃のモリー船長やキララ3兄弟についても話をしてくれた。


厳つい系ではあるけど、話すと男気があって、単細胞っていうか一旦気を許した相手にはトコトン甘くなるタイプみたい。今までほとんど話したことなかったけど、おかげで一気に打ち解けたのだった。


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