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第40話 空魔法

令和元年、記念すべき1話となりました♪

明日、三国共有島を発つとモリー船長からの通達があった。


宿屋『まぜこぜ』で昼食を済ませ、休憩時間はここ3日程『蜜楼館』で魔法特訓を行っている。


ゴウにはかいつまんで事情を話しているので、何かあったら知らせてくれることになっており、安心して訓練に励んでいた。


ネイマやテテュスとの『同化』もしつつ、転移魔法や闇魔法、他にもカコは勇者時代に培った剣術や暗器の使い方を教えてくれた。あと転移魔法のような時空魔法は、こちらの世界でいうと属性としては『空魔法』らしい。


「今日は最終訓練よ。明日ここを発つワケだけど、これからも気軽に私の所へ来てほしいからね。そうね、ハラ王国の【ドン】に転移してみて?」


「え!ちょっ、どれくらいかはわからないけどかなり遠いのでは・・・。」

「あら、同化してれば魔力はかなりあるし、もし海上でもメイは『フロス』で飛べるわよね。それにテテがいるから海の中でも大丈夫よ♪」


『“そうよー。任せて!”』テテュスがめっちゃ頼もしい。


『“何とかなるなるー。大丈夫だよー。”』ネイマは家族に会えるかもしれないから浮かれている。ちなみにネイマは短剣に『エンチャント』中です。


人事(ひとごと)だと思ってー!まぁ、やってみるよ。」

「これ、渡しておくわね。」と、カコが回復薬を2つくれた。


「さぁ、準備万端!行ってらっしゃい。」

「うん!行ってきます。ふぅー・・・”転移(マイグレート)”。」


感覚的には一瞬のような、すごく長い時間のような不思議な気持ちになって、ヒュッと吸い込まれる感じ。

目を開けていようとしても眩しくて目を閉じてしまう。


ストンッ・・・

と小さく地面に足が着いた音が聞こえた。


目をゆっくり開ける。

「帰ってきたんだ・・・。」


もう何年も帰ってきていないような、懐かしい気持ちで自分の部屋に立っていた。



数秒後、「「ネー!!兄ちゃー!!」」とドアの外からこちらに走ってくる足音と声がどんどん近づいてきて、意識がはっきりとした。


「本当なの?!メイとネイマが帰って来てるって~。」とマリーの半信半疑の声も追いかけるように聞こえてくる。


ドアが勢いよく開いて、「ほらー!」「おかえりー!」とツインズが飛びついてきた。

遅れてマリーも登場し「メイ・・・お帰りなさい!」とツインズに被さるように力強く抱きしめてくれた。


「はは、苦しいよー。た、ただいま。って言ってもすぐ戻らなきゃだけど。」


「「えー!!」」「ふふ、でしょうね。でも少しは大丈夫でしょ?」と3人が同時に喋る。

「ちょっとだけね。お茶飲む時間しかないよ。」


それからマリーが急いで台所に向かい、いつものロダティーと手作りクッキーを用意してくれた。

私はかいつまんで家に戻ってきた経緯と、新しく仲間になったテテュスのことを話した。


「見えないけど、ネーのおともだちいるよ!」「うん!わかるー。ひんやりいい気持ち。」

『ルーとリマよろしくね!』テテュスも2人をギュッとした


「ガイルが残念がるでしょうけど、仕方ないわね。」マリーが苦笑いしている。

「母さん、これからは帰って来れると思う。実は、新しい師匠というか、友達がすごい人で色々教えてくれるんだ。転移魔法が上手くなったのもその友達のおかげなんだよ!」


「そう!よかったわ。じゃあ帰ってくる時は手紙を先にちょうだいね。ご馳走用意しておくから♪」

「ありがとう。ご馳走じゃなくていいから、母さんの手料理が食べたい。よろしくね!」

『僕も!楽しみにしてるからね!』ネイマも嬉しそう。


「ネーも楽しみにしてるって!」「わたしも手伝う!」ツインズも笑顔でかわいいなぁ。


あー、帰ってきてよかった。短い時間でもホッとできたわ。

「じゃあ、もう戻るね。休憩時間終わっちゃうから。」

「これ持って行きなさい。あと、そのお友達には・・・これをお礼に渡しておいてね。」


「でもこれ、ルーとリマのおやつでしょ?」

「兄ちゃ!いいよー。」「おともだちにあげて!」


「ルー、リマ・・・。すっかりお兄ちゃん、お姉ちゃんになって!」感動して2人を抱きしめたら「「兄ちゃくるしい!!」」と怒られた。


ネイマとテテュスも笑っていて、ここにガイルが居なかったのは寂しいけど、また帰ってきたらいっぱい話を聞いてもらおう。


「じゃあね!行ってきます!」『『いってきます!』』

「「「いってらっしゃい!」」」


「“同化(どうか)”、”転移(マイグレート)”!」



ーーーーーーーーーーーーーーーー


着いた先は、宿屋『まぜこぜ』の自分の部屋だった。

「あちゃ~。ちょっと目測を誤ったかな。」


急いで蜜楼館へ戻り、カコに転移魔法の成功を伝えた。あと、お土産も渡した。

「うわぁ♪ありがとう!本当に嬉しいわ。お母様にお礼を伝えておいてね。」

「うん。またいつか、僕らの家に招待するよ。」


「フフ、楽しみにしてるわね。」

『ママの料理はおいしいよ!』ネイマが自慢げに言った。


「母さんの料理おいしいから期待してて、ってネイマが言ってる。」

「本当!私も何か作って持って行くわね。」


「あ、もうそろそろ帰らないと。ありがとう!カコ。」

「ええ、色々教えたけど、時間をみてしっかり練習を続けてね。それと!また必ず遊びにきてよね。」


「はーい!」『わかってるよ!』『また来るわね!』

「これ、持って行って。』


指輪?


「これはね、 隠指(カクシ)といって、一見指輪にみえるけど、ココを押すと太い針が出るの。まぁ暗器の一種ね。いざって時に役に立つわ。身に付けておいてね。」

「本当にありがとうございました!また絶対来るからね。困ったことがあったら、僕の所に連絡して!」


「えぇ。ありがとう。私もメイが困った時には駆けつけるから!またね!」


カコと別れて仕事に戻った。

明日出発やから船に荷を運びこむ作業が多く、その夜はクタクタでぐっすりと眠った。



ーーーーーーーーーーーーーーー


「出航ー!」


朝になってあっという間に時間が過ぎた。気付けば船の上で、三国共有島がどんどん小さくなっていく。

『カコは見送り来てなかったねー。』『せっかく仲良くなったのに、なんか寂しいね。』

ネイマもテテュスも黄昏ていた。


”いつでも会いにいけるでしょ?カコもきっとそう思ってるんだよ。”

『そっかー。』『そうよね。』


次の目的地は・・・【マレ・リベロ国】!


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