第3章➀お出かけ-中編-
第一村人発見!
「やぁ~っと着いたか。」
お弁当を食べて2時間程歩いたあと、
ようやく一軒の民家が見えてきた。
「ガイル!
あれが商店?」
テンションがあがってきてしまい、
駆け足になる。
どうみても普通の一軒家なのだが。
ドアの前に立つと、
なんとなく入るのをためらってしまい
“ガイル早くーー!”とばかりに
手を振って待った。
「おーい。
アーロンいるか~!」
ドンドンッ、ドンドンッと
木の扉が壊れんばかりの勢いで、
叩いて呼びかける。
中から慌てた声で
「いるいるー!
そんなに叩かなくてもすぐ行くからー」
と小太りの親父が出てきた。
「おや?
お前さん、坊主なんかいたっけか?」
アーロンは不思議そうに、私の顔をまじまじと
覗いた。
サッとガイルの後ろに隠れる。
「あー・・
あ、コイツはちょっと前から
人から預かってんだ。」
そう言うと、“そうかー”と納得した顔で
家の中に案内してくれた。
“うわぁ”
漫画やアニメでの世界に出てくるような
武器や食べ物がごちゃ、と置いてあり
素朴な木で造られたカウンターがみえて
テンションはマックス!!
私がキョロキョロ、興奮していると
「なんだ坊主。
商店が珍しいのか?」
ハハッと
アーロンが笑って、アメちゃん(キャンディ)を
くれた。
「おじさん、ありがとう!!」
私のはしゃいだ姿をみて
ガイルが優しく微笑んでいる。
いや、素ではしゃいでます!
異世界って感じやなぁー
ようやく異世界に来た実感でてきたわ
この喜びを例えるなら
U○Jで初めてあの有名な魔法学校を見たときの感じ。
大げさやけど、ここにきて初イベントやしね。
ふつーに
異世界住人との触合い!
こういうのを求めてたんっすよー!
私はそれから、そんなに広くない店内を
ぐるぐる何度も歩きまわり、
その間にガイルは日用品などを購入していた。
小一時間ほどして、
「さぁ、
そろそろ戻らないとな。」
ガイルが帰り支度を終らせたのか、
呼びに来た。
「分かった。
おじさん、ありがとう!
また来るね。」
「ああ。
いつでもおいで。」
アーロンに別れを告げ、
荷物いっぱいの荷車を後ろから押し始めた。
「疲れたらムリするな。
押さなくてもいいからな。」
ガイルは時折振り返りながら
私を心配そうにみている。
「大丈夫だよ!」
「あーん!
ガイルおじさん、帰っちゃったのぉ~!!」
振り返ると遠くの方で、アーロンと
私より少し小さいくらいの女の子がみえた。
「ねぇ!
小さい女の子がガイルのことさがしてる!」
「ありゃ~
ミリュ帰ってきたのか。」
と引き返すわけでもなく、
むしろ若干荷車のスピードが早くなった。
「戻んなくていいのー?!」
「またいつでも会えるからいいんだよ!」
と、そのままかえり道を急いだ。