閑話④ リカの休日
週末に投稿続けられるように頑張りまっすo(^-^)o
『小鳥のさえずり亭』のテラス席で、リカ・バイヤーは1人お茶を飲んで休日を過ごしていた。
実践訓練では色々考えさせられることもあったが、ゆっくりと考えをまとめる時間がなかった。
改めて自分の将来の事、友達の事、家族の事・・・。
学校での座学の授業はほとんど終了しているし、あとは実践訓練と職場見学というか体験というか。
決められた道をこのまま進むのかどうかを見極めるための時間みたいなものだった。
”父さんと同じように【ドン】で国境兵士でもいいのよねぇ・・・。”
ジルは兵士になることに反対はしなかったが、娘が危険に晒されることに対してはいつも心配をしてくれていた。いくら剣術に覚えがあるとはいえ、そのうち体力的には周りの男達に差をつけられていく。
成長すれば女性であるがゆえの危険もあるだろうし、とさりげなく事務官を勧められた事もある。ただ、性格的に自分には内勤の多い職は合っていないと感じていた。身体を動かす方が好きだったから、兵士の方がいいと思っていた。
・・・「ふぅ。」お茶を一口飲んで、ボーッと景色を見ていた。
ふと、ミトラスとクラークの事を思い出した。
最近ミトラスが絡んでこなかったから、周りが静かだった。いや・・・そうでもないか。
フフ、とフォリアやピアの顔が浮かんだ。
実践訓練以後、2人がいつも周りに居て、他のクラスメイトも以前より話しかけてきてくれるようになった気がする。
そういえば、ミトラスとクラークは実践訓練だっけ?等と以前はクラスメイトの事なんてあまり考えることがなかったけど、私も多少は周りが見えるようになってきたのね、と思った。
「あー!居ましたよ~!フォリアこっちです~~。」
聞き覚えのある声がしたので振り返るとピアが立っていた。
「リカさん、ズルイですよー。お茶するなら誘ってくれないと!」
「ごめんねーリカ!たまには1人きりにさせてあげなって言ったんだけど、この子聞かなくって~。」
ピアの後ろからフォリアが見えた。
「見つかっちゃったか。」冗談っぽくリカが言うと、”ほら!”とフォリアがピアを見た。
「だってー。リカさんと一緒に居られるのもあと少しなんですもん~。」
「あのねぇ。たまには1人でぼーっとしたり、考えたりしたい時もあるでしょ?」
「フフ!冗談よ。こっちで一緒にお茶しましょ。」リカがニコッとすると急にピアは元気になって駆け寄ってきた。
”ゴメンね!”とフォリアが手を合わせて、席に座った。
「えっとー私はコレ!」「じゃあ私も同じのにするわ。すいませんー!」2人は注文を終え、さっそく話題は次の職場見学について。
「次は事務官のお仕事体験ですね~。私第一希望なんで、楽しみです~。」
「 国政館なんて滅多には入れるもんじゃないからねー。そういう意味では楽しみかなっ。」
「私は退屈で眠くならないか心配。身体動かしてる方がいいなぁ。」
「リカさんは、頭も良いんですから♪きっと色々お仕事頼まれて退屈なんかするヒマないいですよ、きっとぉ♪」
「良くも悪くもリカは目立つからねー。気疲れしないように身体動かす仕事のが向いてると思うけど。内勤でも全然イケると思うな。」
「・・・2人とも買被りすぎよ。剣術以外の成績はフォリアもピアも私と大して変わらないじゃない。フォリアなんて何でもできるし、人望もあるし私よりよっぽど優秀よ。ピアなんて後輩から人気があって女の子らしくてかわいいし、周りに人が集まる才能なんて凄いと思うわ。」
「何言ってるんですかー!」「何言ってるのよ。」同時にツッコまれた。
「それ全部リカさんのが当てはまりますからね!」
「そうそう!望めば全部リカが出来る事ばっかりよ?」
2人の勢いが凄かったので、どう伝えるか言葉を選んでいた。
「えっと・・・私が言いたかったのはね。嫌味とかじゃないわよ?私は人に囲まれたり、好意を持たれることに苦手意識があるのよ。だから上手く人付き合いができる2人が凄いって言いたいだけ。いつもフォリアやピアが私の事を良く言ってくれるけど、私もあなた達を凄いと思ってるんだからね、って知って欲しかったのよ。」
「リカさぁぁん・・・。」
「リカ・・・ありがとう。」
「何よ。それにピア!私達、友達なんだからこれからも会えるわよ?さっき一緒に居られるのも・・・て言ってたけど。働きだしたらそりゃなかなか会えなくなるけど、たまには集まりましょ。フォリアとピアはずっと友達でいてよね。」
「リカさーーん!!」「あ~~ピア!!」
ガバッと抱き着いたピアを引き止めようとフォリアが手を伸ばしたが間に合わず、勢いでフォリアもリカを抱きしめる形になってしまった。
「なんか、今生の別れみたね。」笑いながら3人とも席に戻り、お茶会を再開した。