第28話 トゥルバル国①
更新ペースゆっくりですが、まだまだ続きますのでよろしくお願いしますm(__)m
「面舵いっぱーーい!!」
モリー船長の声が聞こえて映画みたいなセリフやなぁ、と思いながら甲板に荷物を運び出していた。
「いよいよだな!俺も楽しみだぜ。」
「エルフの国かぁ。魔法とかいっぱい見れるのかな?」
『僕も初めてだから楽しみだー!』
「おい!無駄口叩くなよ。荷物は丁寧に運べ!商品は傷つけるなよ?」
「「はい!」」
着岸の準備が進み、ナイトだけでなく船員達も慌ただしく動き回っている。ピリピリとした空気が漂っていた。
港に近づくと、どんどん魔力が濃くなっていくのがわかる。
船が接岸すると船員のエルフ族が、トゥルバル国のエルフ族と何かやりとりしていた。
「船長!どうぞ、こちらへ!」
モリー船長が船を降り、「カイト!!荷を下ろせ!!」と叫ぶと
「お前ら行くぞー!」とカイトが号令をかけた。
「ゴウとメイは、船内からここまで荷物を運んでくれ。」ナイトからの指示。
「「はい!」」
船員達は次々に船を降りて行き、トゥルバル国のエルフやハーフエルフ達が魔法で荷物を運んでいる。
私達も指定された物は全て運んだため、ようやく陸に着地!
「あーようやく揺れない地面が踏める~。」
「ははは!そうだな。船酔いはしなかったけど、波が荒れるとけっこう大変だったよな。」
『わーい♪ちょっと飛んでくるー。』
周りを見渡すと港には倉庫が立ち並んでいた。人々が行き交う様子はなく、なんていうかイメージは軍の補給地みたい。
ここにいるエルフ達は男性ばかりで、海の男っていうよりは軍人の方がしっくりくるな。
「ゴウ!メイ!こっちに来い。」
ロゼに呼ばれて行くと、滞在する宿泊施設に連れて行かれた。
「「へー!」」
けっこうキレイな施設やな。でも時々視線を感じる。
「ここがお前たちの部屋だ。滞在中は2人部屋だぞ?よかったな!」
「俺達で使っていいのか?!父さんは?」
「俺もこの2つ隣の部屋に居るから、何かあったら連絡しろ。」
部屋に入ると見られている気配はなくなったので、ネイマに念話で辺りを偵察してもらった。
”ステータスブック”
うわ・・・。やっぱりここ軍の施設やん。
表向きは、他国との交易港として一見開かれているようやけど、真の姿は 兵站部?
兵站部・・・あ、戦闘部隊の後方にあって、人員・兵器・食糧などの前送・補給にあたり、また、後方連絡線の確保にあたる活動機能のことって、わざわざ補足で書いてくれている。
・・・よし。見なかったことにしよう。
「おーい。メイ?大丈夫かよ?さっきからボーッとして。疲れたか?」
「あ、あぁ。そうかも。ちょっと休んでていいかな?」
「俺はちょっと父さんの所行ってくる!お前はゆっくり休んでろよ?」
「うん。ありがとう。」
”ネイマ、ありがとう。僕ちょっと部屋で休んでるからね。”
『”わかったー。”』
そうや。ルイとリマローズに手紙を書こう。その前に・・・。”感知”
さすがに部屋の中は大丈夫かな?ネイマが帰ってきたらステータスブックで確認したろ。
敵意とか殺意とかの類のものは無いから、ひとまず安心かな。
ガイルやマリーにも珍しいお酒とか食べ物を届けたいな。
トゥルバル国滞在は5日間を予定しており、1日だけ休息日がある。基本的に港周辺の観光はできるみたいやけど、この国では制限ありそうやなぁ。
トントンッ
「はい?」
「メイいるか?ちょっといいか?」
「どうぞ。」
ナイトが入ってきた。ベッドに腰掛け、じっと見てくる。イケメンにじっと見つめられるとドキドキするなぁ。
「あの?どうしたんですか?」
「・・・お前・・・船長のこと、どう思ってる?」
は?
「どうって?いい船長だなぁって思います。」
「それだけか?」
「どういう意味ですか?それ以上特にないです。そんなに船長の事知りませんし。」
「お前、夜に船長と会ってただろ?」
・・・ヤキモチ?!
「偶然ですけど、夜の海を見てるとき船長がやって来て2回程話をさせて頂きました。」
沈黙してるので、私もナイトの言葉を待った。
気まずいムードの中ゴウが帰ってきた。
「あれ?ナイトさんどうしました?」
「・・・いや、何でもない。邪魔したな。ゆっくりしてくれ。」
「え?あの~・・・。」
とゴウが声をかけたが、さっさと出て行ってしまった。
「どうかしたのか?」
「知らないよ。こっちが聞きたい!」
私もイラッとしたので、そのまま布団に潜り込んで寝ることにした。
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トゥルバル国での休息日。
ゴウとはシフトが別のため、私はネイマと許可された範囲内で観光をすることにした。
宿泊施設から少し先に交易のための市場が開かれていた。
女性のエルフやハーフエルフもいるようで、いくらか華やかであった。
「坊や。コレお土産にどうだい?」
おばちゃんエルフが木彫り細工のペンダントやストラップみたいな飾り物を見せてくれた。
「素敵ですねー。これはお姉さんが作ったんですか?」
「坊やったら♪うちの旦那が手先が器用でね。趣味で作ってるのをこうやって私が売ってるのよ~。」
ルイとリマローズにペンダントとストラップでお揃いの彫り細工のものを購入した。
「家族にお土産だろ?ほら、あんたの分はオマケだよ!」
「ありがとうございます。じゃあもう1つ同じものを買います。」
「ありがとうね!ちょっと安くしとくわ。またいっらっしゃい♪」
「こちらこそ!じゃあ!」
ネイマにも同じストラップを渡した。
『兄弟でお揃いだねー。うれしいな♪』
「後で送ってみようと思ってるんだ。」
「何独り言いってるんだ?」
しまった!と思いつつ気付かなかったようにそのまま早歩きで行こうとした。
「おい?聴こえなかったのか?待てよ。」
と肩をつかまれたので、仕方なく振り返るとモリー船長とナイトがいた。