第3章①お出かけ-前編-
ガイルと二人ではじめてのお出かけ♪
「あんまり先に行くなよー。」
今日はガイルと近くにある商店へ買いだしへ来ている。
ここ【ハラ王国】の東の辺境地【ドン】は、住人が50人弱程らしい。
国土全体は日本の本州くらいで、この【ドン】は
ん~と、兵庫県の大きさくらいかな?
大体やけどね。
近くと言っても往復で半日以上はかかるらしいし、馬車もないからガイルは荷車を引いている。
この世界に車はないみたい。
都市には転移魔法の装置があるらしいけど、
なんせ魔法を使える人が少ないから
多くの人は馬車か徒歩だと教えてもらった。
せめて自転車があったらいいのになー
「少し休憩しようか。」
ガイルが木陰に座り、マリーが作ってくれた
特製の疲労回復弁当とお茶を広げていた。
「まだ着いてないけど、お疲れ様。」
私がガイルに声をかけると
「お前も疲れてないか?
さぁ、これを飲め。」
とお茶と弁当を渡してくれた。
「ありがとう。いただきます。」
ガイルの方が疲れてるのに申し訳ないなぁ。。
“はぁ~~お茶おいしい~~~”
顔が緩む。
ーーーー 風が気持ちいい。
心地のいい沈黙。
草花の香りも爽やかで、このまま昼寝したい
気分や。
「メイ、ここでの生活は慣れたか?」
ガイルが弁当をほおばりながら、
ふと尋ねてきた。
「・・・うん。
まだ記憶は思い出せないけどね。
ごめん。」
「謝るな。
ゆっくり思い出せばいい。
ムリに思い出さなくてもいいしな。」
ガツガツご飯を食べ続けるガイル。
私もお弁当を広げながら
「ありがとう。 ございます・・・」
と敬語部分が小さくなってしまったが、答えた。
ーーーー本当に優しい人やな。いや、人達や。
今も
なんでこの世界におるんかはわからんけど
ちょっと前向きに生きていこう、と思った。