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第20話 前の日

あれから一週間。ガイルの連休がとれるように、例のごとくマシュウさまさまにお願いをして手配してもらった。


ジンクス家は出港の見送りに行くと言ってくれたし、ゴウやチイにも一応手紙で知らせておいた。夏過(ナツカ)に船が帰還する時、いつも会う約束をしてるから、見送りには来ないかもしれないけどね。


あと、リカやミトラスにもしばらく出稼ぎに行くと伝えておいた。【ノグ】にも旅行で行くから、また時間が合えば小鳥のさえずり亭でランチしよう、とも書いた。


『ついに明日だねー。皆で旅行なんて嬉しいな!』

「手紙もそろそろ届いてるかな?まぁ間に合わなくても仕方ないか。」


『日本みたいに郵便配達員がいたら速いだろうけどねー。』

「アーロンおじさんの商人仲間に頼んだから、いつになるかは運次第だね。」


郵便に限らず、この世界で何かを依頼するにはギルドを使うことが多い。


・《冒険者ギルド》何でも屋。登録料さえ支払えば誰でも冒険者になれる。魔獣討伐から、草木の採取、人探し、等人殺し以外は大体依頼できる。


・《商人ギルド》商人になるならここに登録が必要。基本は推薦、紹介制での登録。推薦、紹介がない場合は、登録審査が厳しいらしい。正規の商品取扱店、というお墨付き。人以外の売買は主にここで行われている。


・《職人ギルド》武器や装備品、調度品やアクセサリー、建築など、専門知識が必要な職種の登録所。製造、販売、修理・修復もしているが、人の派遣は主にここが取り仕切っている。


・《奴隷ギルド》大体は借金のカタに売られたり、貧民街から連れ去られた者が、年単位での契約で所有物として扱われるため、現在では禁止されているが・・・。


・《闇ギルド》冒険者ギルド、商人ギルド、職人ギルド以外の国から認定を受けていない全てのギルドを指す。殺しや奴隷ギルドのような人攫いなど、非人道的なことや使用禁止の薬物を売っているなど怪しい商売をしている商人なども含まれる。


「冒険者ギルドに郵便頼んだら、いつ受けてくれるかわからないし、商人ギルドだったらアーロンおじさんのお陰で無料だからね!いつ届くかはわかんないけど。」


『そういえば、“無限収納(イベントリ)”できるようになったの?』

「ダメなんだよー。物だけを転送できても、取り出すのは出来ないんだよね。それに、転送先のイメージがいるから自分の部屋になるし。」


『それなら!ルーやリマに手紙や釣った魚とかは届けてあげられるんじゃない?』

「物を送るだけなら出来るかもね。ちょっと試してみよっか!」


ネイマは部屋に残り、私は家の外に出た。

紙を四つ折りにして、えーっとイメージ、イメージ。

転送(トランス)


紙は消えた。念話でネイマに話かける。

“どう?いったー?机の上をイメージしたんだけど。”

『“えーっとね、あった!白い紙?”』


“うん!四つ折りだよ?”

『“届いてるよー。”』


ただ距離が近いからなぁ。それに生モノって出来るかはわからんよな。

“じゃあちょっと、その紙をタンスの一番上の引き出しにいれてみてくれない?”

『“はーい。入れたよ。”』


私は持っている小袋の中に手を入れて、タンスと繋っているイメージを思い浮かべた。


手先に魔力(エナ)を集中させて、繋るイメージで

収納(ボックス)


袋の中に穴があいたみたいな感じになり、手を奥に突っ込んでみた。


指先に何か当たってる。

そーっと触ると服と紙っぽい感触?!


紙だけ取り出して・・・確認。

「やったー!!」


『“どうしたの?”』

“タンス開けてみてー♪”


『“紙ないよー?”』

“成功だよ!船の上からだと距離もあるからわからないけど・・・。”


走って部屋に戻った。

『よかったねー♪』

「うん!でも確実にできるかは分からないよ。船は移動するし、もしかしたら失敗するかもだけど、手数くらいは送れるかな。」


『トランス』も『ボックス』も限定的やけど、一応出来るようになってよかった。


無限収納はできるかわからんけど、冒険者になってから文献とか読み漁って調べてみよう。


「これで荷物減らせるかもね。自分の部屋から持ち出せるなら沢山持って行かなくていいし。」

『でも、あんまり荷物少なかったら周りが変に思うかもよ?』


「そっか。一応準備はしっかりしていこう。」

『そーそー。備えあれば憂いなし、だよ!』


旅行中にガイルとマリーには、この事伝えとかないとな。



―――――――――――――――


夜、ガイルは明日からの旅行で使う馬車に乗って帰ってきた。


「ばしゃー!」「のりたい!」

ツインズが走って出て行った。


「お帰りなさい、父さん。」

「ただいま。メイ、馬に水やっといてくれないか?」


「わかったよ。」『僕はツインズ見ておくね。』


馬の世話をしながら、星空を眺めていた。

日本にいたときは数える程しか見えなかったけど、ここでは星々が隙間なく埋め尽くされている。


「すごいな・・・。」




「みんな~、ご飯よー。」


マリーの呼び声で我にかえり、ツインズを連れて家に戻った。


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