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第19話 バイト

初めてのアルバイトは粉もん屋さんで、たこ焼きやいてたなぁ。

数日後、カノンがやって来て、アーロンが仕事を紹介できそうだと教えてくれた。


マリーには、バイトの件を伝えてなかったので外で離れて話をした。


「ただね、マリーとガイルが許可するかどうかわからないわよ?」

「母さんにはまだちょっと色々あって話せてないけど、父さんは大丈夫だよ!」


マリーが倒れてたことをカノンに話した。時々様子を見に来てほしいとお願いをした。


「わかったわ。顔色が悪かったのね?意識も失ってたのか・・・。しばらく気をつけておくわ。」

「ありがとうございます。よろしく頼みます。」


仕事は、なんと遠洋漁業の下働きだった。

毎回、ジュールド共和国の訓練生が、実習と小遣い稼ぎを兼ねてやる仕事なのだとか。


たまたま空きが出たのを聞きつけ、アーロンが交渉してくれたようだ。


ただ、遠洋漁業は一度航海に出ると少なくとも2~3ヶ月は帰って来れない。トラブルがあったときや天候によっては帰還が遅れることもある。


今は 春過(ハルカ)の中頃やけど、出発は早ければ下旬、遅くとも 夏来(ナツキ)の初旬には出港を予定している。


報酬は金貨10枚プラス出来高払い。あと、何があっても本人の自己責任やから、命懸けの初バイトやけどね。


『楽しそうー!行こうよ、メイ♪』

「僕達はぜひお願いしたいです!母さん達を何とかしてみせますから、話を進めて下さい。」


「そういうと思って、アーロンも船長には先に話をつけてあるわ。」

『「やったー!!ありがとうございます!」』


「でもね、流石に心配だから知合いに頼んどいたって言ってたわよ?」

「え?もしかしてロゼさん?!」


「そう言ってたわ。船で面倒みてくれるって。これで一つ、親に交渉しやすくなったでしょ?」

「アーロンおじさんには何かお礼をしなくっちゃ!」


「そんなのはいいのよ。ただ、無事に帰ってきてくれればね。アーロンもメイ君の事は、息子のように思ってるんだから。」

「本当にありがとうございます。絶対無事に帰ってきます!」


「じゃあ、私は帰るわね。マリーにまた来るって伝えておいてね。」

「はい!ありがとうございました!!」


家に戻るとマリーとツインズがおやつを食べていた。


「母さん、体調はどう?」

「大丈夫よー。あの時は心配かけたわねぇ。メイも座って一緒におやつ食べましょ?」


「おいしー!」「兄ちゃもあーんして?」

ツインズに食べさせてもらい、何だかとっても幸せな気分♪


3ヶ月いなくなるって言ったら悲しませるかもなぁ。

「ネーもあーんして?」「あー!リマのもたべて。」


ネイマも同じ事思ってるかもなぁ。

でもあと少ししたら何年も家出るし、これは“慣らし”としてはいい機会やと思おう!


「さっき誰か来てなかった?」

「カノンさんだよ。ちょっと色々あって、母さんの事も話したら心配してた。また来るって。」


「カノンにも心配かけちゃったわねー。もう大丈夫なんだけど、あなたやガイルが大騒ぎするから。」

「だってビックリしたんだよ。母さんさ、目の前が急に真っ暗になったり、なんか、クラっと目まいみたいな感じはない?」


「いつもじゃないけど、時々あるかも・・・。」

「目の下のところ見せて?」


「え?」

「痛くないから、ちょっとだけ目を瞑って。触るよ?」


少し白い、かな。

貧血なのは間違いないかも。


「なんなの?」

「母さん、貧血なんだよ。」


「ひんけつ?」

「血が足りてないってこと。妊娠中にもなかった?」


「そう言われれば、お医者さまがそういう事もあるって言ってたかしら?」

「こういうの食べたらいいよって何か言ってなかった?」


「そうねぇ。お肉とか卵とか魚って言ってたわねー。」

「あと緑色の野菜とか?バグの肝臓とかは?」


「言ってたかもねー。あんまり覚えないわよ。」

「母さん、一回お医者さまに診てもらおうよ?」


「そうねぇ。そのうちね。」

「もうー母さんったら!自分の身体大事にしてよね?」


「はいはい、わかったわよー。心配してくれてありがとう。」

「無理しないでね?」

「ええ、ガイルやメイもいるし。カノンもいるから大丈夫よー。」


今日の夜、バイトの事伝えようと思ったけど。

マリーの事心配やなぁ。


ーーーーーーーーーーーーーーー


ツインズを寝かせて、ガイルとマリーも一息ついていた。


寝る前にリビングで晩酌をしたり、二人だけでゆっくりと過ごす大切な時間。


「今日メイがね、一度お医者さまに診てもらっておけって。なんか血が足りてないって言ってたわ。」

「そうか。俺も一度ノグの医者の所へ連れて行こうとは思ってたんだ。」


「大げさねー。大丈夫よ?あれから特に何もないし。」

「そうは言っても倒れて意識がなかったんだぞ?チビがいるからゆっくりと休むこともなかなかさせてやれないしなぁ。」


温かいお茶を飲みながら話をしていると、



「父さん、母さん。ちょっといい?」


「お。お前の噂をしてたところだ。」

「もう、あなた!メイ、こっちにいらっしゃい。」


3人でテーブルを囲むのも久しぶりやなぁ。


「ふふ、なんか懐かしいわねー。」

「チビがいない時に戻ったみたいだな。」


「・・・あのね、僕ら旅の資金を貯めようと思って仕事探してるんだ。」

「あぁ。アーロンから何か言ってきたのか?」


「うん。今日カノンさんが来て、遠洋漁業の下働きの仕事見つけたって教えてくれた。」


「遠洋漁業?!それってしばらく帰って来れないんじゃないの?」

「うん。でも目標額の金貨10枚と出来高払いだし。覚えてるかな?ロゼさんって獣人の漁師の。あの人が面倒みてくれる約束なんだ!」


「危険は承知の上、か?」

「そりゃ僕らは冒険者になるんだよ?それに初めての仕事がちゃんと知合いの大人がいて、旅できるなんて幸運だと思わない?」


「俺は賛成だ。マリーは?」

「どれくらいになりそうなの?」


「んー。大体2~3ヶ月かな。今月末か来月の頭には出港予定だって。」

「ちょうどいいな。マリーを医者に連れて行くとのと、メイを見送りに行くためにさ、少し休暇もらって全員で旅行しよう。」


「ルーもリマも旅行初めてだし、いいよね!」

「・・・そう言われたら反対できないわねー。」


「いいんだね?!」

「わかったわ。2人とも気をつけてね。」


『「やったー!!」』


寂しそうな二人を見るのがちょっと辛かったけど、ワクワクして期待の方が大きかった。

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