第2章③束の間
この世界にきて、初めてちょっと気を緩めた瞬間。。
「てゃぁ!やー!!」
ゼイゼイ、、、
・・・ヤバい。死ぬ。。
ガイルさん!
いきなりハードすぎやないですか!?
走り込み10㎞した後に、素振り200回。
その上、今は打ち合い。
これ、10歳男児に、しかも初回でやらせる内容ではなーーーーい!!!
あ。
気が遠くなって・・・き・・た・・
「はっっ」
気がつくとまたベッドの上だった。
これアカンやつや!!
私もある程度、スポーツはやってきたし、
運動神経も悪くはないけどね。
10歳で、これは。
無理!!!
何のスポ根物語やねんっっ
あいつぅ~
ガイルの頭は脳筋か。
身体が動かない代わりに、悶々と考えが巡る。
「あ、気がついたのね~
良かった・・・」
マリーがぎゅっと抱きしめてくれた。
あぁ。。。
温かいな・・・
それまでのイライラが、すーっと溶けてしまい
マリーの温かさに身を委ねた。
「ごめんなさいねぇ
あの人ったら、はりきっちゃって。」
うんうん。
「あなたがここに居て、一番喜んでるのは ガイルなの。
許してやってね。」
うんうん。
ん?
ん~~
ま、いっか。
そっと目を開けると、マリーが優しく頭を撫でてくれた。
その先に、申し訳なさそうに、心配そうにしているガイルが見える。
「ぷっ」
思わず笑ってしまうと、マリーも察したのか
ふふ、と笑っていた。
私はガイルに向かって
「大丈夫だよ。
でも、今度はもうちょっと手加減してよね」
と言うと
「お!
おお!!分かってる。
・・・すまなかったな。」
と言って部屋を出て行ってしまった。
私とマリーはまた顔を見合せて、クスクスと笑っていた。